人生に一度だけ舞い降りた競馬の神様

マーブル

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競馬の世界への魔のささやき

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「おはよう」

授業がない日はだいたい朝10時頃に起きていた。暇な時間はバイトにあてれば良かったと思うのだが、まとまったバイトはせずに単発のバイトをごくたまにやるぐらいだった。

父は「おはよう」とごく普通に返したのだが、まさかここまで喜ぶとは思っていなかったし、ここまで競馬にのめりこむとも思っていなかった。この一言が競馬をやるきっかけになったのだが、その日の夜、競馬のチャンネルでナイターが行なわれていた。

当時の私は競馬のことは全く分からなかったこともあり、まさか平日の夜に競馬のレースがあるとは知るよしもなかった。

これは地方競馬で川崎で行なわれていた、最終の12レースだった。父は当時契約していた競馬チャンネルでレースを見たり馬券を買ったいたのだが、朝の「おはよう」の一言がよほど嬉しかったのか、競馬に対して何も知らない私に「馬券でも買ってみるか」と言った。

居間には大量の競馬新聞があったのだが、当時の父は今よりお金があったせいか、地方競馬でも毎日、専門誌を買うことができる余裕があったのだろう。今では父も馬券を当てることはほとんどなくなったようだが、このころの父はよく的中させていたらしい。「16万儲かった」、「12万儲かった」などとよく言っていたのを覚えているが、今では全く聞くことはなくなった。

今ではWIN5や三連単などの当たれば高額配当が手に入る、的中させるのが難しい馬券があるものだが、当時は馬単、馬連、ワイドなど2つの馬を当てる馬券が主流で、それでも1000倍以上の大穴が良く出ていたのを覚えている。

この頃、東京競馬では、安田記念があり、馬連でも1200倍という超大穴が出ていたこともあり、競馬はそんなにも大穴が出るものなのかと思い知らされたことがよくあった。

この頃の私は馬券の種類のことも全く分からなかったが、父は私に「何番の馬が1着になると思う?」と聞いてきた。よく分からない私は適当に「12番」と言った。父は電話をかけて12番の単勝を100円買った。

今ではスマホやパソコンから馬券が買えるが、当時では電話投票が主流だった。馬券は、競馬上に行って買うのが当たり前だと思っていた私は、家にいながらにしてお金さえ自分の口座に入れておけば買える便利さを知った。

当時の自宅から東京競馬までは1時間半くらいかかるが、わざわざ出かけていくよりもこんな便利なサービスがあるなら活用しない手はないと思った。これが大きな落とし穴だった。

話は戻るが、何も知らない私の「12番」は的中することなく7着に沈み、実際に勝利した馬は8番人気だった。12番が7番人気ということもあったが、自分が来ると思った馬に近いものを買うと、的中させることができると知った。ひとつこの時点で勉強になった。

例えば、1番の馬が良いと思ったら、となりのゲートの2番や16番が来たり、となりの枠の2枠や8枠が来たりなどは数限りないくらい経験してきた。

この川崎の12番の単勝100円だけで終わらせていれば、良かったのかもしれないと思ったことがよくあるが、どうしたら馬券を当てることができるのだろうかと考えるように、どんどん競馬の世界にはまっていった。
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