2 / 27
第二話
しおりを挟む
会合の時間まで少しだけ時間が余った。
雪が降り始めた外から自室に戻ってから紅茶引き続き飲む。
2つだけ残して残りのタルトは、メイド達に食べるように言って渡した。
窓の外のゆっくりと落ちていく雪を見ながら、紅茶を一口。
「少し冷めてしまいましたね」
ティーポッドへ入れてあった紅茶は冷たくなっていた。
たまになら、アイスティーでもいいでしょう。紅茶の香りが鼻から抜けた。
そして、ソーサーの上にティーカップを静かに置く。
「ヴァン、あなたには副官として働いてもらいますよ?」
扉の前で立っている彼に声を掛ける。
彼は右手を心臓の位置に当てて、頭を下げる。
「姫様の為なら、わたくしは命懸けで尽くさせて頂きます」
その言葉を聞くと微笑み返す。彼が私の騎士でよかったと、つくづく思うことがある。
やがて、扉をノックされる。会合の時間という事だ。
ヴァンが扉を開けると執事が立っていた。彼に先導されて着いていく。
ドレスは赤と黄色の豪華なものに着替えた。誰かに会う度に服装を変えるのは辛くてたまらない。
会合が行われる謁見の間ではなく、その隣の部屋で待たされる。
一番奥には別の扉があり、謁見の間につながっている。
部屋の中には先に私の姉である、イネヴァ姉様がいた。
長いブロンズの髪に明るい緑のドレスを着て、本を読んでいた。
顔は垂れ目で大きく、おっとりしている印象を受ける。
姉様の騎士は右隣で腰の後ろで手を重ねて目を閉じている。
「あら、ヴァイオレットじゃない。座ったらいかが?」
正面の椅子へと手を伸ばして、左側の椅子に催促された。
私は指示通りに椅子に座るとヴァンは私の左側に立って、ロングソードの柄に手を掛けて、そのまま立つ。
そして、姉様が持っていた本の表紙へと視線を移した。
「光の旅人ですか?姉様」
この国が創成された物語が描かれている。ほとんどは、口伝えの物語を本にまとめてあるだけなのだけど。
絵本にもされており、一度は目にする物語になっている。
「王族である以上、歴史を知らないといけないと思いますよ?」
姉様は開いていたページにしおりを挟んで本を閉じた。
王族としての自覚は無いわけではない。
けれど、この国の歴史にはそこまで興味を惹かれる事は無かった。
過去の人達が何をしたって結局は勝者が書き記せば、歴史の闇に消えてしまう。
経験したことでしか人は前に進めないという事を肯定しているような気がする。
私はそれがどうしても許せない。
だって、新しい変化を否定する事になるようなものだから。
「気が向いたら、読んでおきますわ」
そう答えると、姉様は笑みをこぼした。
男ばかりの環境で唯一の女性という事もあるけど、姉様に心の扉を開くことはできなかった。
そして、今も信頼する事が出来ない自分がいる。
「姉様はどうして王位継承を破棄したのですか?」
イネヴァ姉様にどうしても聞いておきたかった。
王族として、一度でも王座に就きたいという風に考えるもの。
その権利を棄権するという事は、生きている限り、二度と王座に就くチャンスは無いという事だ。
父上に直談判してまで、王位継承権を破棄するその理由を私はどうしても知りたい。
「私は王様になる器ではないと思ったの。それに人の気持ちなんてわからないから」
姉様と共に過ごして、初めて本音を聞けたような気がした。
王座に就くという事は、姉様にとって何かが足りないと感じたのだろうか。
私はただ、父上や兄様達に認めてほしいと気持ちと共が一番大きい。
王座に就くことが出来れば、きっと皆が私を認めてくれる。
そして、母上が最後に言い残してくれた、心から理解してくれる友が必ず現れるという意味が分かるような気がする。
静かに紅いエメラルドのネックレスを両手で握った。
母上が唯一私にくれたプレゼントだ。レットベリルという名前の宝石で私の魔法の力を抑えてくれている。
どんな時も必ず持ち歩いている。あの日以来ずっと。
「ヴァイオレット。姉として、一つ忠告しておくね?私も含めて誰も王族は信じてはいけないという事を覚えておいて」
―――それはどういう意味ですか?
と言葉を発しようとしたら扉を開く音に遮られた。
「失礼します。お時間ですので準備をお願いします」
私達は二つ返事で答えると、一番奥の扉を開く。
姉様から先に入り、その後ろを着いていく。隣の席に座った。
私の座席は正面から見て、一番左側だ。中央には父上と母上が座る金の座席がある。
一番右側には3席の銀の椅子が有り、兄様達が既に座っていた。
私が席に座ると、後ろにヴァンが儀礼用の剣を持って、剣先を床に向けて私の右後ろに立つ
既に貴族と騎士団元帥たちは、既に中央の絨毯を挟んで、テーブルと椅子が二つの一組で座っていた。
唯一、母上の座席は空席だ。姉様を生んだ時に亡くなっているのだから。
父上が自身の座席の前に立つと一斉にこの部屋にいるすべての人が立ち上がる。
手を挙げてから静かに手を降ろすと同時に全員が座った。
「皆の者。はるか遠い地から呼び寄せてすまない」
最初の言葉は父上の労う言葉から始まった。
父上が一通り見直すと、一人の女性を見ると言葉を放つ。
「ロイが座る席に知らぬ女がいる。名乗れ」
黒い髪に青い瞳の私と同じぐらいの年齢の女性が立ち上がると、スカートのすそを少しだけつまんで、片足を下げてから頭を下げる。
隣の男が持っていた剣を抜くと、青く分厚い刀身が光に反射した。
剣はこの国の貴族にとって紋章と同じ意味を持つ。
「ロイ・ライト・イエルハートが娘。フィオラ・ライト・イエルハートでございます」
父上と騎士の一人として国内平定と領土拡大で活躍した人である。
国内が安定すると、自身の領土で過ごしていた。
私が幼少期に暮らして世話になった人でもある。
そして、彼女は共に過ごして、遊んでくれてた人だ。
あの頃より、凛とした顔立ちになってきれいな女性になっていた。
「父は不治の病を患っており、動けない為、私めが代理としてこの会合に参加させていただきました」
不治の病という単語を聞いて、一同が少しざわついた。
「そうか、ロイの娘か。失礼した下がりたまえ」
彼女は深々と一礼した。
父上の様子は、少し後悔したような雰囲気を醸し出していた。
最後に会っておきたかったのだろうか。
すぐに静かになり、抜いた剣は彼の騎士に渡して元の席に戻った。
「ヴァイオレット、前へ」
声を掛けられると、父上の前に移動する。
懐にしまっていた丸くなっている紙を広げた。
一度咳払いをしてから、大きく息を吸う。
「ヴァイオレット・エヴァン・イシュタール。かつてのわが領土で北方の大防衛要塞であるガルバード大要塞の攻略と周辺領土の奪還を命じる!」
謁見の間で動揺とざわつきに小言が一気に広がる。
やはり、戦争で武功を上げる事になった。泥沼化した戦場で勝利しなければならない。
今は冬でお互いに戦線を維持する事が難しいが、春になると確実に進行が再開されることが予想される。
勝てないことは無い。やり様では要塞は取り戻せる。
「父上、その命令承りました。ヴァイオレットは素晴らしき戦果を持って戻ってまいります」
手紙を受け取ると歓声が沸いた。
私がこの戦いに勝利する事が出来ればみんなが私を認めてくれる。
思わず頬が緩んで笑みを浮かべてしまう。
雪が降り始めた外から自室に戻ってから紅茶引き続き飲む。
2つだけ残して残りのタルトは、メイド達に食べるように言って渡した。
窓の外のゆっくりと落ちていく雪を見ながら、紅茶を一口。
「少し冷めてしまいましたね」
ティーポッドへ入れてあった紅茶は冷たくなっていた。
たまになら、アイスティーでもいいでしょう。紅茶の香りが鼻から抜けた。
そして、ソーサーの上にティーカップを静かに置く。
「ヴァン、あなたには副官として働いてもらいますよ?」
扉の前で立っている彼に声を掛ける。
彼は右手を心臓の位置に当てて、頭を下げる。
「姫様の為なら、わたくしは命懸けで尽くさせて頂きます」
その言葉を聞くと微笑み返す。彼が私の騎士でよかったと、つくづく思うことがある。
やがて、扉をノックされる。会合の時間という事だ。
ヴァンが扉を開けると執事が立っていた。彼に先導されて着いていく。
ドレスは赤と黄色の豪華なものに着替えた。誰かに会う度に服装を変えるのは辛くてたまらない。
会合が行われる謁見の間ではなく、その隣の部屋で待たされる。
一番奥には別の扉があり、謁見の間につながっている。
部屋の中には先に私の姉である、イネヴァ姉様がいた。
長いブロンズの髪に明るい緑のドレスを着て、本を読んでいた。
顔は垂れ目で大きく、おっとりしている印象を受ける。
姉様の騎士は右隣で腰の後ろで手を重ねて目を閉じている。
「あら、ヴァイオレットじゃない。座ったらいかが?」
正面の椅子へと手を伸ばして、左側の椅子に催促された。
私は指示通りに椅子に座るとヴァンは私の左側に立って、ロングソードの柄に手を掛けて、そのまま立つ。
そして、姉様が持っていた本の表紙へと視線を移した。
「光の旅人ですか?姉様」
この国が創成された物語が描かれている。ほとんどは、口伝えの物語を本にまとめてあるだけなのだけど。
絵本にもされており、一度は目にする物語になっている。
「王族である以上、歴史を知らないといけないと思いますよ?」
姉様は開いていたページにしおりを挟んで本を閉じた。
王族としての自覚は無いわけではない。
けれど、この国の歴史にはそこまで興味を惹かれる事は無かった。
過去の人達が何をしたって結局は勝者が書き記せば、歴史の闇に消えてしまう。
経験したことでしか人は前に進めないという事を肯定しているような気がする。
私はそれがどうしても許せない。
だって、新しい変化を否定する事になるようなものだから。
「気が向いたら、読んでおきますわ」
そう答えると、姉様は笑みをこぼした。
男ばかりの環境で唯一の女性という事もあるけど、姉様に心の扉を開くことはできなかった。
そして、今も信頼する事が出来ない自分がいる。
「姉様はどうして王位継承を破棄したのですか?」
イネヴァ姉様にどうしても聞いておきたかった。
王族として、一度でも王座に就きたいという風に考えるもの。
その権利を棄権するという事は、生きている限り、二度と王座に就くチャンスは無いという事だ。
父上に直談判してまで、王位継承権を破棄するその理由を私はどうしても知りたい。
「私は王様になる器ではないと思ったの。それに人の気持ちなんてわからないから」
姉様と共に過ごして、初めて本音を聞けたような気がした。
王座に就くという事は、姉様にとって何かが足りないと感じたのだろうか。
私はただ、父上や兄様達に認めてほしいと気持ちと共が一番大きい。
王座に就くことが出来れば、きっと皆が私を認めてくれる。
そして、母上が最後に言い残してくれた、心から理解してくれる友が必ず現れるという意味が分かるような気がする。
静かに紅いエメラルドのネックレスを両手で握った。
母上が唯一私にくれたプレゼントだ。レットベリルという名前の宝石で私の魔法の力を抑えてくれている。
どんな時も必ず持ち歩いている。あの日以来ずっと。
「ヴァイオレット。姉として、一つ忠告しておくね?私も含めて誰も王族は信じてはいけないという事を覚えておいて」
―――それはどういう意味ですか?
と言葉を発しようとしたら扉を開く音に遮られた。
「失礼します。お時間ですので準備をお願いします」
私達は二つ返事で答えると、一番奥の扉を開く。
姉様から先に入り、その後ろを着いていく。隣の席に座った。
私の座席は正面から見て、一番左側だ。中央には父上と母上が座る金の座席がある。
一番右側には3席の銀の椅子が有り、兄様達が既に座っていた。
私が席に座ると、後ろにヴァンが儀礼用の剣を持って、剣先を床に向けて私の右後ろに立つ
既に貴族と騎士団元帥たちは、既に中央の絨毯を挟んで、テーブルと椅子が二つの一組で座っていた。
唯一、母上の座席は空席だ。姉様を生んだ時に亡くなっているのだから。
父上が自身の座席の前に立つと一斉にこの部屋にいるすべての人が立ち上がる。
手を挙げてから静かに手を降ろすと同時に全員が座った。
「皆の者。はるか遠い地から呼び寄せてすまない」
最初の言葉は父上の労う言葉から始まった。
父上が一通り見直すと、一人の女性を見ると言葉を放つ。
「ロイが座る席に知らぬ女がいる。名乗れ」
黒い髪に青い瞳の私と同じぐらいの年齢の女性が立ち上がると、スカートのすそを少しだけつまんで、片足を下げてから頭を下げる。
隣の男が持っていた剣を抜くと、青く分厚い刀身が光に反射した。
剣はこの国の貴族にとって紋章と同じ意味を持つ。
「ロイ・ライト・イエルハートが娘。フィオラ・ライト・イエルハートでございます」
父上と騎士の一人として国内平定と領土拡大で活躍した人である。
国内が安定すると、自身の領土で過ごしていた。
私が幼少期に暮らして世話になった人でもある。
そして、彼女は共に過ごして、遊んでくれてた人だ。
あの頃より、凛とした顔立ちになってきれいな女性になっていた。
「父は不治の病を患っており、動けない為、私めが代理としてこの会合に参加させていただきました」
不治の病という単語を聞いて、一同が少しざわついた。
「そうか、ロイの娘か。失礼した下がりたまえ」
彼女は深々と一礼した。
父上の様子は、少し後悔したような雰囲気を醸し出していた。
最後に会っておきたかったのだろうか。
すぐに静かになり、抜いた剣は彼の騎士に渡して元の席に戻った。
「ヴァイオレット、前へ」
声を掛けられると、父上の前に移動する。
懐にしまっていた丸くなっている紙を広げた。
一度咳払いをしてから、大きく息を吸う。
「ヴァイオレット・エヴァン・イシュタール。かつてのわが領土で北方の大防衛要塞であるガルバード大要塞の攻略と周辺領土の奪還を命じる!」
謁見の間で動揺とざわつきに小言が一気に広がる。
やはり、戦争で武功を上げる事になった。泥沼化した戦場で勝利しなければならない。
今は冬でお互いに戦線を維持する事が難しいが、春になると確実に進行が再開されることが予想される。
勝てないことは無い。やり様では要塞は取り戻せる。
「父上、その命令承りました。ヴァイオレットは素晴らしき戦果を持って戻ってまいります」
手紙を受け取ると歓声が沸いた。
私がこの戦いに勝利する事が出来ればみんなが私を認めてくれる。
思わず頬が緩んで笑みを浮かべてしまう。
0
あなたにおすすめの小説
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
『25歳独身、マイホームのクローゼットが異世界に繋がってた件』 ──†黒翼の夜叉†、異世界で伝説(レジェンド)になる!
風来坊
ファンタジー
25歳で夢のマイホームを手に入れた男・九条カケル。
185cmのモデル体型に彫刻のような顔立ち。街で振り返られるほどの美貌の持ち主――だがその正体は、重度のゲーム&コスプレオタク!
ある日、自宅のクローゼットを開けた瞬間、突如現れた異世界へのゲートに吸い込まれてしまう。
そこで彼は、伝説の職業《深淵の支配者(アビスロード)》として召喚され、
チートスキル「†黒翼召喚†」や「アビスコード」、
さらにはなぜか「女子からの好感度+999」まで付与されて――
「厨二病、発症したまま異世界転生とかマジで罰ゲームかよ!!」
オタク知識と美貌を武器に、異世界と現代を股にかけ、ハーレムと戦乱に巻き込まれながら、
†黒翼の夜叉†は“本物の伝説”になっていく!
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる