悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

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⑪お茶会という名の女子会

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あのパーティーから二ヶ月経った頃、わたくしはいつもわたくしの近くにいる取り巻きの方の一人のミルフォード侯爵家のご令嬢、アンナ様のお茶会にお呼ばれしました。
アンナ様とは同じ侯爵家なのだけれど、ヘンリー王子の婚約者であるわたくしをいつも立てて下さいます。

「今日はお久しぶりにレイラ様のお顔が見れて本当に嬉しいですわ。」

アンナ様がそう言うと他のご令嬢もうんうんと頷いてそうですわ!と口々に言う。

「わたくしも皆様とお久しぶりにお会いできて本当に嬉しいですわ。」

あれから二ヶ月、やっと外出の許可が出たのだ。
わたくしは外出する時は高いヒールを履くので、まだダメだと言うミカをお茶会ならそんなに歩かないわと説得してやっとです。

「しばらくお姿を拝見しませんでしたけど、体調を崩されていたのですか?」

伯爵令嬢のリーゼ様が聞いてくる。

「少し足を怪我していまいまして、しばらく療養していましたの。」

私はニッコリと答える。

「まぁ、そうでしたの。もう大丈夫なのですか?」

リーゼ様他ご令嬢が心配そうにわたくしを見る。

「ええ、ありがとうございます。もう大丈夫ですわ。」

久しぶりに同年代のご令嬢方とお話するのは楽しいわ。
そう思っていると、アンナ様が話題を変えてきた。

「そう言えば、この前の夜会、レイラ様はご出席されていませんでしたので、ご存知ないと思いますけど、ヘンリー王子様とあのリサ様が仲良くお話されていましたのよ。」

アンナ様は告げ口するように扇子で口元を隠しながらわたくしに言う。
ヘンリー王子とリサ様が仲良くされるのはいい事だわ。

「まぁ、そうでしたの?」

「わたくしも、レイラ様が早々に退席されたパーティーで仲良くお話されているのを見ましたわ。」

別のご令嬢も同じように話し出す。

「レイラ様を差し置いて何様かしら。」

王子様と結ばれるヒロイン様よ。って言いたいけれど、わたくしは悪役令嬢でしたわね。

「本当に、わたくしを差し置いて何をお考えなのかしら。」

「子爵令嬢の分際で王妃の座でも狙ってるんじゃないですか?レイラ様に勝てるはずもごさいませんのに。」

勝てちゃうんですよ。わたくしがヘンリー王子に嫌われることをするので・・・
心の中で一人違うことを呟きつつ、皆さんの悪口に同調する。
それにしても、女って怖いわね、集まると悪口でこんなに花が咲くんですもの。
前世では身体が弱かったので、あまりお友達が居なくて女子会なんてしたこと無かったけれど、これが噂に聞く女子会なのね。

「レイラ様、リサ様にはもっと厳しく言わないと響かないのではなくて?」

アンナ様がわたくしに詰寄る。

「そうね、次会ったらご自分の立場を解らせて差し上げましょう。」

わたくしは悪態っぽく扇子で、口元を隠しながらニヤリと笑ってみせる。
すると他のご令嬢方も同調する。

「そうですわ!もっと痛い目を見なくては分からないのよ!」

え?痛い目は可愛そうですけど・・・わたくしがリサ様を庇うのはおかしいわよね・・・なら、

「まぁ、過激ですのね、でも、ご自分の立場が悪くならないよう、お気をつけになってね。」

これだとリサ様を気遣っているようには聞こえないわよね。わたくしは遠回しにあまりそういう事をしないように言った・・・つもりだった。

「大丈夫ですわ。誰にも見られないようにしますので!」

意気揚々と悪いことをします宣言するリーゼ様。
ああ、そう捉えちゃったのね、大丈夫かしら・・・

「ねぇ、今度はどうやっていじめます?」

そう言ってご令嬢方は悪巧みを相談し始めた。
わたくしはちょっと怖くて引き気味だったのだけど、悪役令嬢としては、それこそ乗らないといけないと思い、相づちを打って会話に入ることにした。





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