悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

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⑰俺の心の声(ミカエル)

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レイラお嬢様の寝顔を、こんな近くでずっと見ていられんなんて、なんて幸せなんだろう。

レイラお嬢様は昨日の盗賊のことが余程怖かったのか、あまり眠れなかったらしく、もう少し休むよう勧めると、俺にそばにいて欲しいと自分のベッドに俺を座らせた。

いやいや、普通男を自分の寝てるベッドに呼ぶなんてありえないだろう!
俺の事をそれだけ信頼してくれてる証拠なんだろうけど、レイラお嬢様は俺の事を男として見てないってことだよな・・・それはそれで悲しいな。

まぁ、今はこうして傍にいられるだけで幸せだからいいけど・・・それにしてもレイラお嬢様は相変わらず寝ている時も天使だな。
白銀の髪に白い肌が溶けてしまいそうだ。


しばらくしてレイラお嬢様が目を覚まされる。
色の無い綺麗な顔に紫の瞳がゆっくりと開かれる。
レイラお嬢様は俺を見るなり、かなり慌てていたけど、俺がずっといると思っていなかったようだ。
レイラお嬢様が起きるまでいて欲しいと言ったのに・・・

しばらく寝てスッキリしたのか、起きたレイラお嬢様はいつもどうりに戻っていた。

午後からはジェフリー公爵様のパーティーに参加する為、レイラお嬢様は準備を初め、出来上がった化粧をもう少しこくしてほしいと言っていたが、それは優秀な侍女のミーナには受けいれられなかった。

ジェフリー公爵様のところへ行くと、レイラお嬢様は公爵を見つけて挨拶を交わす。
ジェフリー公爵様は相変わらずお気遣いが出来る方で、レイラお嬢様に座るよう進めてくださった。
レイラお嬢様も、お言葉に甘えて座るために席の設けられた方へと向かったが、その途中でヘンリー王子に出会い挨拶をする。

何故かヘンリー王子の傍らには、リサ嬢が居てレイラお嬢様の方が部外者に見える。
そんなことを思っていると、曲が流れ始め、リサ嬢がレイラお嬢様に踊ってくるよう進める。
お前が進める立場でもないんだぞ!
それに、お嬢様は足がまだ完全ではないし、アップテンポの曲だ、コイツ!なんてことを言うんだ!と、見ていたらリサ嬢が僅かにほくそ笑んだ。
コイツ!わざとか!

レイラお嬢様が足を怪我した原因はリサ嬢だ。恐らく、レイラお嬢様が足を痛めたのを分かっていて、ダンスを進めたんだ。
その後何とか頑張って踊りきったお嬢様が戻ってくると、今度は自分たちの踊りを見ているように言う。
これでは座りに行けないじゃないか!
おのれ、リサ!!そこまでレイラお嬢様に嫌がらせするのか!


レイラお嬢様は、微笑みを絶やさず耐えていらっしゃるけど、恐らくドレスに隠れた足はガクガクだろう。
俺は周りから見えないよう、そっとレイラお嬢様の腰を支える。
本当は今すぐにでも抱き上げたい気持ちだがグッとこらえる。

その後はさすがに耐えきれないレイラお嬢様が、その場を離れる事になった。リサ!!当たり前のようにヘンリー王子の隣にいるが、本来お前が身を引く立場だろう!

俺は内心かなり怒っていたが、レイラお嬢様の取り巻き達が同じ事で怒っているを聞いて同調する反面、俺も女子か?とちょっと自問自答した。

けれど、その後意外なことが起こった。

ヘンリー王子がレイラお嬢様に無理をさせた事を謝りに来たのだ。
急にレイラお嬢様を気遣うなんて、何を考えているんだ?この男は・・・
何にせよ、悪いと思ったら認められるのはいい事だ。なかなかやるじゃないか、ヘンリー王子。
と上から目線で心の中で褒める。 
そういう意味ではヘンリー王子に情報を流したジェフリー公爵様にも感謝しないとな。

ヘンリー王子がお詫びにレイラお嬢様を送っていくと言った時のリサ嬢の顔、こんなはずじゃなかったのにと思っているんだろう。ざまぁみろ!と子供っぽく俺はほくそ笑んだ。(あくまで心の中で)

そのおかげでいつものレイラお嬢様との馬車デートを今日はヘンリー王子に取られた訳だが、今日は譲って差し上げよう。







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