悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

文字の大きさ
18 / 44

⑱レイラの決意

しおりを挟む


ヘンリー王子様に家まで送って頂いたのは初めてだったけれど、ヘンリー王子は紳士的でとても優しい方です。
ゲーム通りなら後半年で婚約破棄されなければいけないのだけれど、大丈夫なのかしら。
今日の事はシナリオにはないと思うのだけど・・・
わたくし、失敗していないかしら。

「レイラお嬢様、どうかなさいましたか?」

お屋敷に戻ってからアールグレイのミルクティーが飲みたくなって、入れてもらったお茶を飲みながらぼーっと考え事をしていたら、ミカが話しかけてくる。

ベルガモットの爽やかな香りが心を落ち着けてくれる。

「ねぇミカ、わたくしは悪役令嬢出来てないのかしら・・・きっと今日の出来事はシナリオにはない事なんだけど、ヘンリー王子様はどう思われたのかしら。」

「正直、ヘンリー王子の思いは分かりかねます。リサ嬢と、仲良くされているのも確かですが、レイラお嬢様の事を憎まれるような感じではございません。」

ミカは正直に答えてくれる。
ミカの人を見る目は信頼出来る。
ミカもわからない事があるんだ・・・

「うーん・・・わたくしもっとリサ様を虐めないといけないわよね。」

そうよ、わたくしの押しが甘いから変な展開になるんだわ。

「レイラお嬢様はそのままでいいと思うのですが・・・」

ミカが遠慮がちに褒めてくれる。

「それではダメよ。わたくしの行動が違ったせいで国が滅んだりしたらどうするの?」

「それはないと思うのですが・・・」

ミカは否定するけれど、何が起こるかわからないと思うと怖くて、わたくしは悪役令嬢として婚約破棄されなければと思ってしまう。

真剣に悩んていると、ドアをノックする音がしてお父様が入って来た。

「失礼するよレイラ、今からミカエルを少し貸してくれないかい?」

またいつものお父様のお手伝いね。

「お父様、良いわよ。ミカ、行ってらっしゃい。」

わたくしは手をフリフリしながらミカにお父様の所に行くように促した。

「では、失礼致します。」

ミカはそう言うとお父様と一緒に出て行った。
わたくしは一人になったので、前世の記憶の中のゲームのストーリーをもう一度思い出していく。

ヒロインが攻略する相手は全部で五人。わたくしはヒロインでは無いので、その内の二人とは面識がなくて、レイラが絡むのはヘンリー王子とジェフリー公爵様のお二人、もう一人、ヘンリー王子の弟君のエドワード王子も顔見知りではあるけれど、それ程お話をしたことがないので、ほとんど知らない。
ゲームの中ではジェフリー公爵様とレイラは仲が良かったのよね、リサ様はジェフリー公爵様に好意を抱いている感じは見受けられないし、他の方と接触されているのかもしれないけれど、今の所ヘンリー王子ルートが濃そうよね、ならばわたくしは婚約破棄されるのが筋よね。

そうしてわたくしは決意を新たにする。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃ある場所では・・・・・・




「かなり危険な状態ですよ。」

「もう少しだけ待ってくれ、まだ早い。」

「・・・動くべき時に動かなくては後悔する事になりますよ。」

「分かっている。いつでも動けるよう準備はしておいて欲しい。」

「それは理解しています。すぐに決断しなくてはいけない時がもう、すぐに来るでしょう。」

「ああ、・・・その時はレイラ嬢にどう話すかな・・・」





ーーーレイラの知らない所でそんな会話が繰り広げられていたーーー



しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

転生した女性騎士は隣国の王太子に愛される!?

恋愛
仕事帰りの夜道で交通事故で死亡。転生先で家族に愛されながらも武術を極めながら育って行った。ある日突然の出会いから隣国の王太子に見染められ、溺愛されることに……

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

急に王妃って言われても…。オジサマが好きなだけだったのに…

satomi
恋愛
オジサマが好きな令嬢、私ミシェル=オートロックスと申します。侯爵家長女です。今回の夜会を逃すと、どこの馬の骨ともわからない男に私の純潔を捧げることに!ならばこの夜会で出会った素敵なオジサマに何としてでも純潔を捧げましょう!…と生まれたのが三つ子。子どもは予定外だったけど、可愛いから良し!

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

王宮地味女官、只者じゃねぇ

宵森みなと
恋愛
地味で目立たず、ただ真面目に働く王宮の女官・エミリア。 しかし彼女の正体は――剣術・魔法・語学すべてに長けた首席卒業の才女にして、実はとんでもない美貌と魔性を秘めた、“自覚なしギャップ系”最強女官だった!? 王女付き女官に任命されたその日から、運命が少しずつ動き出す。 訛りだらけのマーレン語で王女に爆笑を起こし、夜会では仮面を外した瞬間、貴族たちを騒然とさせ―― さらには北方マーレン国から訪れた黒髪の第二王子をも、一瞬で虜にしてしまう。 「おら、案内させてもらいますけんの」 その一言が、国を揺らすとは、誰が想像しただろうか。 王女リリアは言う。「エミリアがいなければ、私は生きていけぬ」 副長カイルは焦る。「このまま、他国に連れて行かれてたまるか」 ジークは葛藤する。「自分だけを見てほしいのに、届かない」 そしてレオンハルト王子は心を決める。「妻に望むなら、彼女以外はいない」 けれど――当の本人は今日も地味眼鏡で事務作業中。 王族たちの心を翻弄するのは、無自覚最強の“訛り女官”。 訛って笑いを取り、仮面で魅了し、剣で守る―― これは、彼女の“本当の顔”が王宮を変えていく、壮麗な恋と成長の物語。 ★この物語は、「枯れ専モブ令嬢」の5年前のお話です。クラリスが活躍する前で、少し若いイザークとライナルトがちょっと出ます。

処理中です...