悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

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⑲盗賊(ミカエル)

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今日はレイラお嬢様は取り巻きの方のリーゼ嬢のお屋敷にお呼ばれしてお茶会に参加した。
相変わらず、女性はお喋りが大好きなようで、話の内容は美への拘りとか、洋服の褒め合い、流行りの話等、そして、陰口も大好きだな・・・なんでそんな話で花が咲くのか、さっぱりわからん。
つくづく平和な国だな・・・
レイラお嬢様も半分はついて行けず、頷くだけだった。

「今日も楽しかったわ。皆様お話上手で時間があっという間ね。」

帰りの馬車の中でレイラお嬢様が今日の事を嬉しそうに話す。

「そうですね、ご令嬢方は話に花を咲かせるのがお上手ですね。レイラお嬢様、お疲れではないですか?」

レイラお嬢様は本来ゆったりとお話される方なので、矢継ぎ早に次々と出てくる会話について行くのが大変そうだった。あれでは疲れるだろう。

「ええ、そうね、少し疲れちゃったかも。」

「帰ったらゆっくりしましょうね。」

「うん、甘いミルクティーが飲みたいわ。」

「分かりました。アッサムにしますか?ディンブラ?それとも甘い物をご所望ならルフナに致しますか?」

お嬢様はお茶が大好きで、前世とやらからそれは変わらず、しかもお茶の種類もほぼ同じ名前らしい。
それでなのか、お茶の話を始めるとレイラお嬢様はくすっと笑って嬉しそうする。

「そうね、どれも好きなんだけど、今日はなんだかスッキリしたい気分なので、アールグレイでお願い。」

お茶の話で少し疲れが飛んだのか、元気に答えるお嬢様。

「了解致しました。アールグレイのミルクティー、意外と合うんですよね。」

「そうなのよ!最近わたくしのお気に入りなの!」

紅茶の話となると嬉しそうだ。
俺もそんなレイラお嬢様を見るのは好きだ。
本当にキラキラした笑顔で俺を見て嬉しそうに話す。


そんな話をしていると、突然馬の嘶きと共に、馬車が揺れて停る。
俺は直ぐにレイラお嬢様を抱き抱えて剣に手を伸ばす。

「なに?また盗賊?」

レイラお嬢様の嬉しそうな表情が一気に不安の表情へと変わる。

この前の事があるので護衛は前に三人、後ろにも二人乗っている。御者は護衛が兼ねているので全員が戦える状態だ。
俺は外の様子を小窓から確認したが、不味い。今五人が戦っているが、相手の数が多すぎる。馬車を囲んでいるのは四十人ほどの男達だ。
これは、俺が外に出て戦うのは危険だ。
この人数なら俺一人で何とか出来るが、俺が戦っている間にお嬢様をさらわれる可能性がある。
これは、このままお嬢様を乗せて馬車ごとここを突破する方がいい。戦ってくれている五人には申し訳無いが、お嬢様の安全が最優先だ。
俺は咄嗟に判断したことをお嬢様に伝える。

「お嬢様、外は四十人ほどの賊が取り囲んでいます。私が今から馬車を走らせますので、どこかに捕まっていて下さい。」

一刻を争う為、俺はお嬢様の返事を聞かず外へ出ると、すぐに扉を閉めた。
そして、御者の席に着くと直ぐに馬車を走らせる。
取り囲んでいるヤツらの中を、強行突破して飛び出した時、前方の地面より少し上に一直線に張られたロープの様なものを発見した。俺は舌打ちをしながら慌てて馬を停めようと、方向転換しつつ、思いっきり綱を引いた。
だが間に合わず、馬がロープに掛って倒れる。
方向転換しようとしたおかげで馬車は吹っ飛ばず、横倒しに倒れた。

「お嬢様!!」

俺は倒れる瞬間御者席から飛び降り、なんとか着地した。慌ててお嬢様の元へ向かおうとすると、森からさらに十人ほどの男が出て来て俺を取り囲んだ。

「チッ、まだ隠れていたのか。」

俺は悪態をつきながら手にした剣を構え直す。
お嬢様は大丈夫だろうか、早く助け出さなければ、
俺に向かってくる盗賊をなぎ払いながらお嬢様の乗る馬車を見ると、数人の男たちがお嬢様を無理矢理引っ張り出している様が目に映った。

「お嬢様!!」

「おっと、お前の相手はこっちだぜ。」

レイラお嬢様の元へ向かおうとする俺の前に立ちはだかり、俺の剣を受けた男は明らかに周りの盗賊達と動きが違った。

「お前、何者だ?お嬢様をどうするつもりだ!!」

俺はキレる寸前で理性を保ちながら男に問掛ける。

「お嬢様は俺らの慰みもんになって貰うのよ。俺は元騎士だからな、そこらの雑魚と一緒にするんじゃねーよ!」

男は言い終わらないうちに俺に剣を突き立てる。
俺はそれを交しながら男の懐に潜り込むと腹に剣を突き立てた。

「元騎士?俺を抑えようと思うなら王国騎士団長クラスを連れて来る事だな。」

一瞬で方が着いたことへの驚きで、「バカな」とつぶやく男に俺は吐き捨てる。
俺の師匠は王国騎士団長だ。それを超える奴じゃないと俺は止められない。

崩れ落ちる男を振り返りもせず、俺はそのままお嬢様が連れて行かれた方へと走った。
雑魚が五月蝿い。走りながら雑魚を薙ぎ払う。さっきの男の言葉が頭の中に響いていた。

俺のお嬢様を慰みものになんかさせるか!!

森から少し入ったところで男たちが群がっているのが見えた。

居た!

囲む男達を剣で薙ぎ払うと、お嬢様の上に馬乗りになっている男が居た。

「ミカ!」

俺を見た瞬間、お嬢様が叫ぶ。
両手を別の男に抑えられ、汚い男がお嬢様の上に跨っている。
お嬢様の衣服は乱され、上半身の白い肌が顕になり、お嬢様の目には涙が溢れている。

その光景を見た瞬間、俺はブチキレた。









    
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