悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

文字の大きさ
29 / 44

㉙それは突然に

しおりを挟む


お城に着くと、ジェフリー様が馬車からわたくしを下ろしてくださる。
降りた時に、視線を感じてふと見ると、遠くからリサ様がわたくしを見ていた。
リサ様?お城になんの御用でいらっしゃっているのかしら。私が気がついたのを見て、どこかへ行ってしまいましたけれど、すごくご機嫌ナナメな雰囲気でしたわね。

馬車を降りた所でジェフリー様とマーカス様とはお別れして、わたくしの護衛はいつも通り、ミカが付いて来てくれる。お城の中まで入るともう安心ですものね。

しばらく歩くと、広いホールにたどり着く。
そこでヘンリー王子が待っていた。

「やあ、こんにちは、レイラ嬢」

「まぁ、ヘンリー王子様、ごきげんよう。わざわざお迎えに来てくださったのですか?」

わたくしはこんな所まで来てくださったヘンリー王子に笑顔を向ける。

「今日はリサ嬢も一緒に話したい事があってね、リサ嬢に来てもらったんだ。リサ嬢は城内が不案内だから迎えに来たんだよ。」

そう言うヘンリー王子の後ろを見ると、リサ様が立っていた。

「え?リサ様と・・・ですか?」

わたくしは、初めてこんな所まで迎えに来てくれたヘンリー王子に嬉しさを隠せなかっのだけど、リサ様の為に来たと聞いて、一気に気持ちが下がるのを感じながら考える。
こんな展開、ゲームにはなかったと思うのだけど・・・

「とりあえず、いつもの部屋まで行こうか。」

ヘンリー王子はそう言って私を促した。
いつもの面会のお部屋はここから階段を上がった左奥なので、階段へと向かう。
その後をリサ様も付いてくる。

階段を半分位まで上がった所で、わたくしはドレスに何か引っかかったのか、引っ張られるような感覚で後ろに倒れそうになった。

「きゃっ、」

わたくしはびっくりして、小さく声を出したけれど、数段下から付いてきていたミカが、駆け上がってわたくしを支えてくれたので、階段から転げ落ちずに済んだ。
何が起こったのか分からないでいる私の耳に悲鳴が届く。

「キャーっ」

リサ様の悲鳴?
悲鳴と共に階段を転げ落ちるリサ様の姿が目に入った。

その悲鳴に、先頭を歩いていたヘンリー王子が振り返る。

「リサ嬢!」

ヘンリー王子は慌ててリサ様を助けに向かう。

わたくしは突然の出来事にびっくりして、動くことが出来なかった。

転げ落ちて、しばらく動かなかったリサ様がヘンリー王子の呼び掛けに目を開ける。

「リサ嬢、いったい何があったんだ!」

「レイラ様が・・・レイラ様の使用人が私を突き落としたんです!!レイラ様が命令されたんです!」

え?
ミカが突き落とした?
わたくしが命令したんですの?
えっと・・・ミカ、まだわたくしを両手で支えたままですけれど・・・
足?足で蹴ったのかしら?

わたくしはミカを見上げる。
ミカはわたくしを見て、小さくフルフルと首を横に振っている。
そうよね、ミカに限ってそんな事するはずないわ。

わたくしは状況を把握しようと一生懸命考えていると、ヘンリー王子が私を睨みつける。

「レイラ嬢!どういう事だ!」

どういうと言われましても、わたくしもどういう事か聞きたいですわ。

「レイラ嬢!今日だけでなく、リサ嬢への嫌がらせの数々、聞いているぞ!噴水に突き落としたり、シャンパンを掛けたり、足をかけてリサ嬢を皆の前で転ばせたり、化粧室に閉じ込めた事もあっただろう!水をかけたことも!そして、今日はこれか!」

ヘンリー王子がつらつらとリサ様への嫌がらせの数々を述べる。

まぁ、そんな事が?わたくし半分も心当たり無いのですけれど・・・全部わたくしのせいになっているのね?

ヘンリー王子が立ち上がってわたくしを見据える。

「レイラ嬢!お前との婚約は破棄させてもらう!後程家に書面を送るから、早く俺の前から消えてくれ!」

怒鳴るようにわたくしを睨んで吐き捨てるヘンリー王子。

わたくしは呆然とその言葉を聞いていた。これは・・・シナリオとは随分違うけれど、予定の婚約破棄ですわ!

「分かりましたわ・・・」

嬉しさを隠しながら、わたくしは俯いて階段を降りてエントランスへと向かった。



しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ

しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”―― 今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。 そして隣国の国王まで参戦!? 史上最大の婿取り争奪戦が始まる。 リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。 理由はただひとつ。 > 「幼すぎて才能がない」 ――だが、それは歴史に残る大失策となる。 成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。 灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶…… 彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。 その名声を聞きつけ、王家はざわついた。 「セリカに婿を取らせる」 父であるディオール公爵がそう発表した瞬間―― なんと、三人の王子が同時に立候補。 ・冷静沈着な第一王子アコード ・誠実温和な第二王子セドリック ・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック 王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、 王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。 しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。 セリカの名声は国境を越え、 ついには隣国の―― 国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。 「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?  そんな逸材、逃す手はない!」 国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。 当の本人であるセリカはというと―― 「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」 王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。 しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。 これは―― 婚約破棄された天才令嬢が、 王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら 自由奔放に世界を変えてしまう物語。

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

やけに居心地がいいと思ったら、私のための愛の巣でした。~いつの間にか約束された精霊婚~

小桜
恋愛
ルディエル・アレンフォードは森に住む麗しの精霊守。 そんな彼が、いよいよ伴侶を迎えようと準備を始めているらしい。 幼馴染という関係に甘んじていたネネリア・ソルシェは、密かにショックを受けていた。 そろそろ彼との関係も終わらせなければならないけれど、ルディエルも精霊達もネネリアだけに優しくて――? 「大丈夫。ずっと居たいと思えるような場所にしてみせるから」 鈍感なネネリアと、一途で奥手なルディエル。 精霊に導かれた恋は、本人だけが気づかない。

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

【完結】捨てられた皇子の探し人 ~偽物公女は「大嫌い」と言われても殿下の幸せを願います~

ゆきのひ
恋愛
二度目の人生は、前世で慕われていた皇子から、憎悪される運命でした…。 騎士の家系に生まれたリュシー。実家の没落により、生きるために皇宮のメイドとなる。そんなリュシーが命じられたのは、廃屋同然の離宮でひっそりと暮らすセレスティアン皇子の世話係。 母を亡くして後ろ盾もなく、皇帝に冷遇されている幼い皇子に心を寄せたリュシーは、皇子が少しでも快適に暮らしていけるよう奮闘し、その姿に皇子はしだいに心開いていく。 そんな皇子との穏やかな日々に幸せを感じていたリュシーだが、ある日、毒を盛られて命を落とした……はずが、目を開けると、公爵令嬢として公爵家のベッドに横たわっていた。けれどその令嬢は、リュシーの死に因縁のある公爵の一人娘……。 望まぬ形で二度目の生を享けたリュシーと、その死に復讐を誓った皇子が、本当に望んでいた幸せを手に入れるまでのお話。 ※本作は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さんにも投稿しています。 ※表紙画像はAIで作成したものです

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

処理中です...