悪役令嬢は訳あり執事に溺愛される

さらさ

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㉟俺の意思(ミカエル)

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俺は全てを思い出した時、グレイシス侯爵への協力を申し出た。  

俺の名前はクロード・セフィアス・ルシリア。ルシリア帝国の第六皇子だ。

俺は色んな勢力から命を狙われている為、クロードがここにいる事が分かれば、レイラお嬢様の命をも危険に晒すことになる。
だからこのままレイラお嬢様付きの使用人、ミカエルとして過ごす方が安全だ。
その事をグレイシス侯爵に話し、今まで通り、俺を雇ってもらうことを承諾してもらった。
グレイシス侯爵は俺が言わなくても最初からそのつもりだったようだが。どちらにしても、侯爵家を危険に晒すことになる。俺としては、本当はここを立ち去るべきなのだろうが、グレイシス侯爵を利用させてもらう事を選んだ。

俺がなぜ狙われているのか、それは、俺がルシリア帝国の時期皇帝に選ばれたからだ。
俺の上には五人の腹違いの兄がいる。
兄達は皆、穏健派の皇帝とは違い、攻撃的な性格の持ち主で、俺が皇帝を継ぐ事を反対している。
父皇帝が俺を時期皇帝に指名した日から、俺は兄達それぞれを押そうとする派閥から狙われる事となった。
俺には後継者の印となる代々受継がれた指輪がある。だが、それも俺が未成年の間は効力を発揮できないのが俺の国の仕来りだ。
今は俺が持っていてもただの飾りなのだ。
だが、この指輪がなければ皇帝の座を受け継ぐことが出来ないのも事実。
だから、兄達は秘密裏に俺を殺して、指輪を手に入れようと躍起になっていた。

そんなある日、俺は変装して市井を見に行った帰り、何処から聞きつけたのか、暗殺者が俺を狙ってきた。
俺を狙ってきた暗殺者には俺の変装した姿を見られたので全て消した。消したのは良かったが、場所が悪かった。次第に追い詰められていた俺は最後の一人を殺った後、体制を崩して、そのまま谷を転がり落ちた。幸い下は川で、そのまま流されたらしく、気が付くと河原で倒れていた。
俺はひどい怪我をしていたが、河原に居ては危ないと思い、何とか河原から這い上がった。
そこで俺の意識はまた途切れた。

その後、レイラお嬢様に拾われた訳だが、今思うと本当によく命があったな・・・と思う。
あの時レイラお嬢様に拾われなかったら、俺は確実に死んでいただろう。

俺が生きている事はグレイシス侯爵に協力して貰って、皇帝に伝えてある。皇帝も、俺が成人するまでは身を隠すよう言ってくれた。そして、俺が成人した暁には、皇帝の座を譲り渡すと言って、正式な書面も受け取っている。俺は成人すれば皇帝を継ぐことになるのだ。

俺が行方をくらましてから7年、兄達は俺を探し回っていたようだが、まさか隣国で使用人をやっているとは思わなかったようだ。
そして、何度も皇帝に、「死んだやつをいつまでも時期皇帝にしておくのはおかしい!」と講義していたらしい。
その度に、皇帝は「クロードは生きている。」とだけ告げていた。

そんな中、別々に俺を狙っていた兄達が共闘してクーデターを企てようとしている噂が耳に入った。
皇帝が危ない。俺はすぐにでも駆けつけたいところだが、俺は、今はただのお飾りの指輪を持った子供なのだ。
もう少しだけ耐えて欲しい。
そう思っていたら、今朝、皇帝が拘束され、幽閉されたと連絡が来たのだ。
このままでは、争い好きの帝国が誕生してしまう。俺は直ぐにでも向かわなければいけない。

なんの思し召しか、明後日は俺が成人を迎える日だ。

グレイシス侯爵にはイルザンド王国の兵を借りる為、以前から準備してもらっている。兵と共に馬を走らせれば、明後日の朝にはルシリア帝国の国境にたどり着く。ルシリア帝国国境付近には俺の兵も待機させてある。俺が兵と共に帝都に入れば、他の兵も呼応する筈。これで一気に兄達を捕らえる。



ーーーその前にレイラお嬢様に別れを告げなければ・・・
幸い、レイラお嬢様を狙っていた奴もジェフリー公爵に任せられそうだ。
昨日、ジェフリー様に告白されたと言った後からレイラお嬢様の様子がおかしかったが・・・大丈夫だろうか?









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