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②こんな私に縁談が来ました。

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私はこれからどうすればいいのか分からなくて、しばらく部屋にとじこもる日々を過ごしていた。

そんなある日、お父様が慌ただしくやって来た。

「リリアーナ!リリアーナ!居るかい?」

「お父様、どうされました?」

なんだか嬉しそうな表情ですわね。
何があったのかしら?

「リリアーナ、お前に縁談の話だよ。」

「え?」

私はダリアン様に婚約破棄されて以降、仮面令嬢の異名を頂き、世間に広く知れ渡ってしまっていた。
なので、私を妻に望む方等現れないと思っていたのに、私に縁談?
どんな方?とても年配の方?

「どのような方ですか?」

「それがなんと、王子なんだよ!」

え?王子様?
我が国には現国王様にご子息が五人いらっしゃるけれど、まさか王子様からお声がかかるなんて、信じられないわ。

「ただ、・・・」

お父様が言い淀む。
どうしたのかしら?

「お父様?」

「リリアーナ、お前を妻に迎えたいと仰って下さっているのは第二王子のラルフレッド様なんだ。」

まぁ、・・・ラルフレッド様と言えば、王子様の中でも一番の麗しい容姿をお持ちだと聞くのだけれど、少し変わった方のようで、今はお城には住んでいらっしゃらないとか・・・
何やら不可思議な言動も多い方なので、変人王子とか、変わり者王子とか呼ばれていらっしゃるとか・・・

そのお方が私を?

「リリアーナが嫌なら断るからいいんだよ。」

お父様は私の顔色を伺うように話かける。

ここでお断りしても、私に縁談が来ることなんて無いわよね、家はお兄様が継ぐので、そのうち私は出ていかなくてはならないのだし・・・年配のオジサマに嫁ぐよりはましだわ。

「お父様、私、お受け致しますわ。」

そうよ、多少変わり者でも、私を求めてくださる方が居るのよ。今度こそ愛されるように努力するわ!





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