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③王子様との出会い

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縁談をお受けしてすぐに、王子様からお迎えが来ました。
こんなに早く話が進むとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしたけれど、私の噂でもちきりの王都から離れられるのは嬉しかった。

第二王子のラルフレッド様がどんな方なのか、私はお会いしたことがないので分からないし、何故私をご指名下さったのかも分からない。
お会いして聞きたいことが沢山あるわ。

ラルフレッド王子は郊外にあるお屋敷に住んでいらっしゃいます。
今年確か二十一歳だったと思います。

到着したお屋敷は外から中の様子が伺えないよう、周りに木々が植えられていて、門をくぐってからしばらく馬車を走らせた場所にありました。

とても立派な建物に圧倒されていると、執事長だという方が出迎えてくれました。

「リリアーナ様、この度は遠路お越し頂きましてありがとうございます。私当館の執事長をしておりますサーシスと申します。これからリリアーナ様には何不自由なく過ごして頂けるよう、尽力させていただきます。どうぞよろしく申し上げます。」

深々と頭を下げるサーシスさん。
執事長ってくらいだから年配の方かと思ったら意外とお若い。二十代後半から三十代前半くらいかしら。

「リリアーナです。よろしくお願い致します。」

私はにっこり笑うつもりが、またどう笑っていいのかわからず、素っ気ない表情になってしまう。

「リリアーナ様のお部屋にご案内させていただきます。どうぞお入りください。」

私はサーシスさんに促されてお屋敷の中へと足を踏み入れた。
中に入ると、メイドさんがずらりと並んで私を迎えてくれる。
メイドさん・・・よね?
なんだかとってもおかしな格好をしているのだけど・・・異国のお洋服かしら?

「リリアーナ嬢、ようこそ、我が屋敷へ。」

そう言って現れたのは言動からラルフレッド様だと思われるのだけど・・・私はラルフレッド様を見て固まってしまう。
こんなに素敵な方がこの世にいらっしゃるなんて・・・

ラルフレッド様はお噂通りとても美しい方で、黒髪に綺麗な透き通ったブルーの瞳。線の細い整ったお顔立ち。こんな素敵な方に出会うのは初めてで、とても緊張してしまう。

「俺の事はラルフと呼んでくれ、突然こんな所まで連れてきてしまって申し訳ない。君を少しでもあの王都に置いておきたくなくてね。」

ラルフ様はとても優しい、柔らかな声でお話される。

「リリアーナと申します。よろしくお願い致します。」

私は淑女の礼をとったけれど、緊張といつものどうすればいいのか分からない無表情で、強ばった顔になってしまう。

そんな私を見てラルフ様はクスクスと笑う。
・・・笑われてしまったわ。私そんなに変な顔をしていたのかしら・・・。

「ああ、ごめん、やっぱり君は可愛いなと思って、つい笑ってしまった。」

私が笑われたことにショックを受けているのに気が付いたのか、ラルフ様が謝る。

強ばった顔をして可愛いなんて言われたのは初めてだわ。

「そ、そんな事、言われたのは初めてですわ・・・」

きっと社交辞令だと思いながらも、私は恥ずかしくて横をむく。

「うん、ツンデレだよね。」

私の表情を見て、ラルフ様が謎の言葉を口にされる。

「ツン・・・デレ?」

それはなんでしょう?

何故かラルフ様は嬉しそうににこにこと微笑んでいらっしゃいます。

「俺、ツンデレ好みなんだよ。わかんないと思うから気にしないで。」

気にしないでと言われても、気になる。ツンデレがお好み?ツンデレって何かしら?

「とりあえず、部屋を用意してるからゆっくりしてくれ、夕食は一緒に食べよう。」

疑問だらけの私にラルフ様は話を進める。

「君の侍女にこの子達を付けるから遠慮なく使ってくれ。」

ラルフ様がそう言うと、紹介された奇妙な格好をしたメイドさんが三人前に出て頭を下げる。

「あ、・・・よろしくお願いします。」

「ああ、ごめんね、きっとこの子達の姿に戸惑ってるんだよね?」

ラルフ様が私の様子に気がついて尋ねる。

「ええ・・・異国のお洋服ですか?初めて見ます。」

「ああ、遠い異国の衣装だよ。着物って言ってね、本当の着物とは違うけど、俺好みの着物メイドさん風をイメージして作らせたんだ。」

キモノ?何でしょう?やっぱり初めて聞く言葉だわ。
ラルフ様は博識なのね。

「嫌だったら普通の給仕服を着させるよ。」

「いえ、初めて見る衣装なので興味深いですわ。」

とても変わっているのでどうなっているのか興味あるわね。
それにしても、ラルフ様はとても気さくな方で、お噂に聞くような感じの方には思えないのだけど・・・
変人と言われるのはこのキモノとかいう衣装を作られたからなのかしら・・・

少しくらい変わった方でもこの美貌ではそんな事些細なことと霞んでしまうわ。



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