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④ラルフ様の理由
しおりを挟む「リリアーナ、突然こんな所に連れてきてしまって本当に申し訳ない。」
夕食の時、ラルフ様が改まって私に頭を下げる。王子様が頭を下げるとは思っていなかったので、私はびっくりして焦る。
「何を仰っているのですか?私の方こそラルフ様に相応しいとは思えませんのに・・・私などでよろしいのでしょうか?」
第二王子のラルフ様の妻が仮面令嬢などと呼ばれているような者では、ラルフ様の顔に泥を塗ってしまうことになるのではないかしら。
「いくらお呼び頂いたからとはいえ、のこのことやって来てしまって申し訳ございません。」
そうだわ、ラルフ様は王都から離れた場所にお住いだから私の変な噂をご存知ないのかもしれないわ。
「リリアーナ、自分をそんなに卑下しなくていいよ。」
私の不安を打ち消すようにラルフ様はにっこり笑って私を見る。
ああ、天使のような微笑み、私には絶対出来ない笑顔。羨ましい・・・
「ラルフ様、私の王都での噂はご存知ですか?」
後で知られて嫌われるより、最初に話しておいた方がいいわ・・・
「知ってるよ。酷い言われようだね、婚約破棄したダリアンも全然君のことが分かってないね。」
「え?」
私はラルフ様の言葉に少し驚く。
全部知っていらっしゃるの?
「でも、ダリアンが婚約破棄してくれたおかげで、こうして君を妻に迎えることが出来た。俺にとっては嬉しい展開なんだけどね、」
そう言った後、ラルフ様は改めて私を見つめる。
「でも、君にとってはとても辛いことだっただろう?俺はそんな事絶対言わないから安心して?」
「そ、そんな事仰っても、いずれお気持ちが変わるかもしれませんわ。」
そうよ、笑えない私と一緒に居るとそのうち飽きちゃうわ。
私はラルフ様の優しい言葉が嬉しいのだけど、素直に受け取れなくて、ついツンとした表情をしてしまう。
「どうして?こんなに可愛いリリアーナと居て飽きるなんて事ないと思うけど?」
か、可愛い??
「わ、私は可愛くなどありません!」
「うん、やっぱツンデレだね。」
また謎の言葉をおっしゃいました。ツンデレって何でしょう?
私の事を可愛いと言ってくださったり、やっぱり少し変わっていらっしゃるのかしら。
にこにこと私を見つめるラルフ様。
ラルフ様は私の事をご存知のようだけど、社交界でも会った記憶はないわ。こんなに素敵な方が社交界に参加されていたら注目の的だと思うのだけど、容姿端麗だという噂だけで、具体的にお話しされている方も居なかったわよね。
「ラルフ様は私の事をご存知のようですけど、どこかでお会いしましたかしら?大変失礼ですが、私覚えていないのです。」
こういうことは最初に聞いておかないと、後々余計聞きにくくなるものね。
「会うのは初めてだよ。俺が勝手に影から見てたんだ。ごめんね、気持ち悪い奴だよね。」
少し照れくさそうに私を見るラルフ様。
影から?社交界にすら姿を表したことがないのに?
「気持ち悪いだなんて・・・そんな事思いませんわ。でも、どこで?」
「ああ、俺、社交界に出た事ないからね、不思議に思うのも当たり前だよね。」
ラルフ様が私の疑問に気付いて話される。
「城主催のパーティーは基本出てるんだよ。と言っても、影からね、自分達を支えてくれてる貴族の顔も知らないんじゃ王族として恥ずべきことだからね。」
そう言うラルフ様はやっぱり変人には見えません。とても立派な王子様だわ。
「影から?」
「王族の座る席の後ろにはカーテンがあって、そこから会場の様子をいつも見てる。後、たまに使用人の姿で会場に入って人となりを確認してることもあるよ。リリアーナにも一度シャンパンを渡したことがあるんだよ。」
ラルフ様はいたずらっぽい笑顔を向ける。
「まぁ!そんな事を?全然気が付きませんでしたわ。」
「貴族は使用人に興味なんて持たないからね。でも、リリアーナは俺に笑顔でありがとうって言ってくれたよ。」
え?笑顔で?
私笑顔なんて作れないのに・・・見間違いじゃないかしら・・・
「でも、そんな回りくどい事をして、何故社交界に出られないのですか?」
「それはね、俺の立場と、この顔を、割と自分なりに理解してるからなんだよ。」
ラルフ様の答えが少し難しくて分からないのだけど、どういう事かしら?
私が首を傾げていると、ラルフ様がクスクスと笑う。
「俺って、第二王子って微妙な立場でしょ?」
微妙なお立場って・・・第二王子様は微妙なのかしら?
「それって、第一王子、つまり兄に何かあった時のスペアでもあり、めんどくさい事に、兄を蹴落として王座を狙えちゃう位置なんだよね。」
そうですわね。でもそれがなんの関係があるのかしら?
「だから、俺が表に出ると政治的目的で寄ってくる奴が後を絶たない。加えてこの容姿じゃん?自分で言うのもなんだけど、女性が寄ってくるのは必然でしょ?」
「ええ、そうですわね、きっと人気者になれますわ。」
「うん、それがめんどくさいんだよね。どうせなら俺、第四とか第五王子で良かったんだけど・・・生まれた順番は変えれないよね。」
ラルフ様は天を仰ぎながら自分の運命を受け入れるかのように嘆息する。
「だから出来るだけ目立ちたくないんだよ。」
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