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⑩ラルフ様とサーシス
しおりを挟むそれにしても、ラルフ様はいったい何者なのかしら。
すごい魔力をお持ちのようだし、とても聡明でいらっしゃる。
もしかして、こんな所に住んで変人王子と呼ばれているのは、ラルフ様が仕掛けたことなんじゃないかしら?
・・・確かに、たまにおかしな言動はなさるけど・・・、ラルフ様のお人柄と能力があればみんなついてくると思うのだけど・・・
ラルフ様はそういった人とのお付き合いが苦手なのね。
聡明で、美しい美貌をお持ちだけど、めんどくさいって言えちゃうおちゃめな所、好きだわ。
ラルフ様が目立ちたくないとおっしゃるのなら私はラルフ様に従って、変わった王子様だと言ってあげる。
少しラルフ様の事が分かったようで嬉しい。
今日はラルフ様は戻ってこないと思うので、お屋敷の中の事もっと色々と教えてもらおうかしら。
この前、案内してもらったけど、やっぱり所々変わったところがあったのよね・・・
「サーシスさん、少しお屋敷のことを教えていただいてもいいかしら?」
私は執事長のサーシスさんの元へ向かった。
ラルフ様がこの家の中でラルフ様の能力の事を知っているのはサーシスさんだけだと言っていた。
それってそれだけサーシスさんの事を信頼してるって事よね。
「リリアーナ様、なんなりと。後、使用人にさんはいりません。サーシスとお呼びください。」
「わかりました。・・・サーシスはラルフ様とはお付き合い長いの?」
ラルフ様が信頼してる人ってどんな方なのか少し興味があるわ。
彼は身長が高くて細身で、身のこなしもキレイなのよね、薄紫の髪に黒い瞳で見目もいい。この間歳を聞いたら29歳だと言っていた。
「ええ、そうですね、私はラルフ様がこのお屋敷を建てて住まいを移された時から執事長を賜っておりますが、それ以前からラルフ様の身の回りのお世話係をさせて頂いておりました。」
「まぁ、そうでしたの?」
「はい、ラルフ様が三歳の頃よりお傍におります。」
そんなに小さな頃から?
サーシスに執事長を任せるくらいだから余程信頼されているのね。
「ラルフ様は小さい頃どんな方だったの?」
私は聞きたいことが沢山出てきてしまってサーシスを見ると、サーシスがクスッと笑って私を見る。
「お話が長くなりそうですのでお掛けになって話しましょうか?」
「あ、そうね、ありがとう。」
私はサーシスに案内されてテーブルに着くと、サッとお茶が出される。
さすが執事長、仕事が早いですわ!
「ラルフ様ですが・・・お小さい時からあんな感じですよ。」
私がお茶に手をつけたのを見てからサーシスが話し出す。
あんな感じ・・・自由奔放な感じかしら?
「とても可愛かったのでしょうね。」
なんだか想像出来てしまうわ。
「可愛い・・・と言えば、確かにお姿は天使のようにお可愛らしかったです。」
ん?サーシスの言葉が妙に引っかかる言い方ね。
「違うの?」
「ラルフ様は小さい時からあのままですので。」
あのまま?サーシスは何が言いたいのかしら?
「ラルフ様は私がお会いした時にはもうはっきりとお言葉を話されていて、子供のように泣きわめいたりすることも無く、大人の言うことを理解していらっしゃいました。」
まぁ、ラルフ様は小さい時から聡明さが現れていたのね。
「たまにわかならない事を言って私を困らせたりするのですが、それもわざとやっているように見えるので、可愛らしいのですがね。」
そういった後、思い出しながらくすくすと笑うサーシス。
「子供っぽい所は幼少期からあまりありませんでしたね。」
「では、手のかからない子供だったのね。」
「まあ、基本私がお叱りすることはほぼありませんでしたけど、ラルフ様は小さい頃はご自分の能力を試すように色んなことをされていましたので、隠蔽が大変でしたね。それも直ぐに誰にも見られらずに魔法を思う存分使って試す方法を編み出されていましたので、一時だけの事ですが・・・私が消えたラルフ様をお探しするなんて事も多々ありました。その時は、せめて私に言ってから消えてくださいとお叱りしましたね。」
そう言ってまた、くすくすと笑う。
なんだか羨ましいわ。
私もそんな小さなラルフ様を見てみたい。
「ラルフ様のお子様もきっとあんな感じになるのではないでしょうか?今から楽しみですね。」
サーシスにそう言われて思わず赤面してしまう。
そうだわ、私がラルフ様のお子を産む日が来るかもしれないのよね?
「ラルフ様は変わった方ですので、リリアーナ様も戸惑われていると思いますが、決して悪い方ではございません。お小さい時から聡明で、達観したところがある方でしたので、周りからは避けられていた事もあり、ラルフ様もわざと距離を取られてお寂しい思いをされていらっしゃいます。そんなラルフ様に愛する方が出来て、私もとても嬉しく思っているのです。どうか、暖かく愛してあげてくださいませ。」
サーシスはまだ私が本当の妻になっていないのは知ってるのよね・・・そうね、私はラルフ様を理解して、愛して差し上げられる存在になりたいわ。
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