11 / 49
⑪やっぱりラルフ様は変わってる?
しおりを挟む「お屋敷の何処をご覧になりますか?」
サーシスが私に確認を促す。
さっきのお話、サーシスはラルフ様の事をとても愛していらっしゃるのね。あ、変な意味ではなくてね。
だからラルフ様も信頼していらっしゃるんだわ。
「この前案内していただいた時に、1階に不思議なお部屋があった気がするのだけど・・・あれは何かしら?」
「ああ、和室ですね、初めてご覧になるでしょう?分かります。」
サーシスが苦笑を浮かべる。
「あれはなんなのですか?またラルフ様の案ですか?」
「ええ、ここに屋敷を作る時にどうしても作りたいから空けといてくれって言われた場所にラルフ様が作られました。あれも、着物同様、異国の地の部屋だそうです。」
「ラルフ様はあの空間魔法で遠い異国を体験なさったのでしょうか?」
あの空間魔法があれば異国を旅するのも夢ではないわよね。
「いえ、それは無いと思います。」
私の考えをすぐにサーシスが否定する。
「あの魔法は繋げる地のことをよく分かってないと危険ですし、繋げた場所に誰がいるか分からないと、ラルフ様の能力を知られてしまう可能性もあります。なので、基本あまり使われません。今回は国内だと言うことと、人の多くない僻地、しかもアレクシス様も同行されてますので使われたのでしょう。城に行く時も内密な訪問以外の公式なものは基本馬車で移動されます。ラルフ様は極力疑われる行動は取られません。」
そうだったのね、とても便利なのに、ラルフ様も目立たないためとはいえ、窮屈じゃないのかしら・・・
「じゃあ、本か何かで勉強されたのかしら?」
「それも無いです。ラルフ様が仰るようなものはどの書物にも出てきません。私にも不思議なのです。まるで観てきたかのように再現なされる。それがラルフ様の頭の中での想像なのか、本当にどこかで見たものなのか・・・後者はありえないのですがね。」
サーシスの困ったような顔に、ラルフ様の聡明さがさらに際立ってしまうのが分かる。
ラルフ様が想像で作られているのなら、ラルフ様は本当の天才ではないかしら。
「着きましたよ。こちらです。」
話してるうちに和室と言う部屋に到着した。
入口は普通の部屋のドアなんだけど、入るともう一度壁があって、横に空けるドアがある。
この前はここまでしか見ていないのよね。
ドアの中にドア?なんでって思ったのだけど・・・
「入口のドアはカモフラージュです。」
サーシスが答えてくれる。
横に開けるドアを開けると中は不思議な空間になっていた。
変わったカーペット。
一枚のカーペットではなくて、何枚かに区切られている。窓には不思議なブラインドが掛けられていて、ソファーも何も無い質素なお部屋で、部屋全体がとても変わった香りのするお部屋。
「ここは靴を脱いでお入りください。」
「え?そうなの?」
「ラルフ様はこの上に直にお座りになったり、寝転ばれたりしています。」
「そうなの?」
床に寝転がるなんて・・・本当に変わってるわ・・・
「入りますか?」
「いえ、ラルフ様とご一緒の時の方が良さそうね。」
この部屋をどう使っていいのか私には分からないもの。
「かしこまりました。この部屋、ラルフ様は落ち着くと仰るのですが、私にはよく分からないのです。」
確かに、その気持ちはよく分からないわね。
私も頷いて同意する。
「他になにか気になるところは?」
「あ、気になるといえば、お風呂!シャワーと言うの?とても便利なものがあったのだけど、あれもラルフ様が?」
「ええ、あれはラルフ様が魔法で作られたのでよく分かっていないのですが、この屋敷のみのものなので外ではお話されませんように。」
「ええ、わかったわ。ラルフ様は本当に多方面で博識なのね。」
なんだかラルフ様の事がとても頼もしくて、誇らしくなる。
「ええ、そうですね。私も傍使えとして誇らしくあります。」
なんだかサーシスと心が通じあってしまったみたい。
おかしくなってくすくすと笑う。
そんな様子をサーシスはニッコリ笑って眺めていた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日7時•19時に更新予定です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる