仮面令嬢と変わり者王子の甘い日々

さらさ

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⑭ラルフ様の不思議な知識

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「リリアーナ、着物ドレス、出来たよ!」

ラルフ様が私用の着物を作ってくださると仰ってから二日後、ラルフ様がにこにこと大きな箱を持って現れました。

「もう出来たのですか?」

「うん、開けてみて。」

そう言われて箱を開けてみると、中にはブルーの生地に白い花とポイントに赤い花が描かれたとても綺麗なお洋服が入っていた。
この前の脚の出る短い物ではなくて、今度のは長くて、裾に向かって流れるように広がるドレスで、後ろは前より長くなっている。重ねの部分には白いレースが二重に施されていてとても可愛い。

「とても綺麗だわ。ラルフ様、ありがとうございます。」

真顔でお礼を言った私にラルフ様は微笑みかけてくれる。

「着てみて、サイズ微調するから。着方はマリナ達に任せてくれればいい。俺が着せてもいいなら手伝うけど?」

「い、いえ、マリナにお願いします!」

ラルフ様に着せてもらうなんて、恥ずかしくて出来ないわ!
そう言えば、この前もマリナ達は帯という物の結び方も難しそうな着物の着せ方も知ってたわね。
ラルフ様が教えたのかしら。

「うん、俺に着せられるのは恥ずかしいよね、行ってらっしゃい。」

ラルフ様に見送られて、私はマリナ達に着替えを手伝ってもらうため、一度ラルフ様のいる部屋から移る。

着せてもらった着物ドレスとやらは異国情緒たっぷりのとても素敵なドレスだった。

「リリアーナ様、素敵です!」

三人が嬉しそうに褒めてくれる。

「そう?」

「早く旦那様に見せて差し上げましょう!」

「ええ、そうね。」

促されてラルフ様の待つ部屋に戻ると、ラルフ様が私を見てまた目をキラキラさせた後、目を細めて微笑む。

「リリアーナ、綺麗だよ。このままどこかに連れ去って俺一人のものにして、君を誰にも見せたくない。」

ラルフ様、そんな恥ずかしい褒め言葉、どこから思いつくのでしょうか?

「あ、ありがとうございます。」

ダメだわ、こういう時どんな顔をすればいいの?

「ああ、既にこんな場所に連れてきてしまって、俺のお嫁さんになってくれてるんだったね、俺って幸せ者だね。」

ラルフ様がさっきの自分の言葉に照れたのか、我に返って取り繕うようにいつものにこにこ天使の笑顔を見せる。

「こんな素敵なドレスで社交界に出たら注目の的でしょうね。」

私はそう言ってから、今の自分は注目なんてされたくない事を思い知る。
社交界には私の居場所なんて無いものね、ラルフ様も社交界には出られないのだし、私ももうそういう表舞台に出なくていいのよね。

「リリアーナ、どうしたの?」

私が一人思いにふけっていると、ラルフ様が心配そうに顔を覗き込んでくる。

せっかく素敵なドレスを作って頂いたのに、皆さんにお披露目する事がないんだと思うと、少し寂しくて・・・

って素直に言えたらいいのに、どんな顔をして話せばいいのか分からない。
ラルフ様が社交界に出ないのを責めたいわけじゃない。
私も噂だらけの社交界なんて好きじゃない。
だから、今の状況はなんの問題も無いのだけど、こういう時どうすればいいのかしら・・・

「なんでも無いです。」

ああ、結局逃げてしまった。

つい、ツンとした顔で目を逸らしてしまったけど、ラルフ様、素直じゃなくてごめんなさい・・・

「君のその姿を誰にも見せたくないけど、こんなに素敵な奥さんが居るんだって皆に自慢したいな。矛盾してるよね。」

そんな私の様子を気にすること無く、ラルフ様は私の思いを代弁するかのような事を仰ってはにかむ。

「微調するから少し腕を横にあげてじっとしててくれる?」

ラルフ様に言われて、そうだったと我に返る。

「直すと言っても、違和感なくピッタリですわよ?」

私はとりあえず言われたことに従って手を横に広げながら話す。

ラルフ様は少し全体を眺めてから右手を差し出して目を閉じる。
すると、全然違和感のなかったドレスが更に体に合ったようになる。

「どう?苦しい所はない?」

「ラルフ様、凄いですわ!ピッタリです!」

私が感激して訴えると、また天使の笑顔で微笑みかけて下さる。

その微笑みが眩しすぎて、私は目を逸らしてしまうのだけど、何このドキドキ?
少し息が苦しい。

「今回着物ドレスともう一着、本物の着物も作ったんだけど、これはドレスを着慣れてるリリアーナからすれば、苦しくて動きにくいものだと思うんだ。」

ラルフ様はそう言ってもうひとつの箱を出す。

開けてみると、レースやリボンの付いていない質素な生地?のような物が入っていました。

生地自体は薄桃色でとても綺麗な繊細な柄が入っていて素晴らしいものだと分かる。

「とても繊細なお花がいっぱいで綺麗ですわね。」

「リリアーナをイメージして辻が花にしてみた。」

ツジガハナ?
何でしょう?

「ああ、ごめん、気にしないで。」

ラルフ様は気にしないでというけれど、ラルフ様の不可思議な発言は実際に見て知っている事のような発言です。
ラルフ様は本当に不思議な方です。

「これは着てみてはダメですか?」

「着てくれるなら嬉しいけど、これはさすがに俺でないと着せられないよ。それでもいい?」

ラルフ様に?
さすがにそれは恥ずかしすぎるわ。

「すみません。またの機会でお願いします。」

「だよね。」


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