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㉞安全の為に(ラルフレッド)
しおりを挟む父上の言葉に、宰相である自分よりも重要な事を任されていた人物がいたのかという驚きと、ショックで固まる侯爵。
「・・・国王陛下直属の騎士・・・アレクシス第四騎士団長・・・ですか?」
さすがコーデリア侯爵、すぐにアレクにたどり着いたか、まぁ、俺の乳兄弟でもあるから推理は簡単だよな。
「そうだ。」
父上が答えるのとタイミングを計ったかのようにドアが鳴り、アレクシスが姿を現した。
「国王陛下、遅くなり申し訳ございません。」
「いや、ちょうど良かった。今コーデリア侯爵にお前の事を話していたところだ。」
「私の?」
そう言いながら顔を上げて俺がいるのに気が付く。
「やぁ、アレク。」
「ラルフ様?こんな所で会うなんて珍しいですね。」
「うん、ちょっとコーデリア侯爵に俺の力の事を知られちゃってね。」
そう言うと、察しのいいアレクは何となく事情を飲み込んだようで、
「ああ、」と頷く。
「アレクシス殿がラルフレッド様のお傍で動いていたのは納得ですね。」
侯爵は自分の知らないことがあった事に少し嫉妬しているようだったが、すぐにいつもの侯爵に戻った。
さすが大人だな・・・
侯爵は確か34歳、俺は前世の記憶がそのままあるから27年分の前世とラルフレッドとしての21年を足せば48・・・俺の方が経験的には上なのに俺って変わりないな・・・未だ子供っぽいとか、ちょっとキツイかな?
まぁ、俺の容姿は21には見えないし、このキャラで今まで来てるんだから今更気にしなーい。
「で、なんで城に戻れって言うの?」
俺は最初の父上のお願いをそのまま流そうかと思ったが、これだけ関係者を集められると、そのまま返してくれるなんてことはないだろう。
「実は、こんな事頼むのもお前だから恥を忍んで言うんだが、私達の安全の為にも、城にいて守ってくれないだろうか?何かあった時、ラルフレッドの力はとても頼りになる。これは侯爵も、昨日の事件を目の当たりにして直ぐに私の所に言いに来たんだ。」
「うーん・・・俺がここに居ると目立つから嫌なんだけど・・・別に守るのは構わないよ。俺の魔力が役に立つならいくらでも受ける。だけど、それによって俺に対する崇拝者が生まれることは裂けたい。」
「そう言うと思ったよ、だからアレクシスにも来てもらって、他の案を考えたい。」
父上は俺の性格をよくわかってる。
だけど、あえて戻ってきて欲しいと言ったのは、それが本当の希望なんだろう。
「なにか異変があった時だけこちらに来て貰ったらいいんですよね?」
アレクが確認する。
「基本ないと思いたいが、そうだな。」
「ちょっと待ってください。何かあってからでは遅いのでは?ラルフレッド様のお屋敷からでは馬を飛ばしても一時間は掛かります!」
侯爵が反論をするけど、他の三人は至って冷静だった。
「侯爵、ラルフレッドは瞬時に自宅とここを行き来出来るんだ。実は誰にも内緒で何度も私とラルフレッドは会っているんだよ。」
父上がそう言うと、侯爵は訳が分からないという表情をした。
まぁ、そりゃそうだわな。
俺は自分の家の執務室へと空間を繋いで侯爵を呼ぶ。
「侯爵、見た方が早いでしょ、こっち来てみて?」
俺の言葉に、侯爵は俺が魔法で繋げた先の空間を見て驚く。
「ラルフレッド様のお屋敷の執務室?」
俺と一緒にあっちに行って戻ってきた侯爵は放心状態になっていた。
「・・・な・・・あれはなんですか?あんな魔法見た事も聞いた事もありません。」
「だろうね、完全俺オリジナルだからね。」
「そんな無茶苦茶な・・・」
「侯爵、ここまで知ったのだ、隠さず言うが、ラルフレッドの魔力はちょっと高いというレベルでは無い、底無しだ。」
「うん、ラルフ様の魔力は規格外すぎて、まともな精神じゃ付いてけませんよね。」
父上の言葉に、アレクも頷く。
「ははは、底無し・・・規格外ですか・・・私はラルフレッド様のお力を魔道士より少し高いくらいのレベルだと思っていたのですが・・・貴方は神ですか?」
「あはは、神な訳ないよ。ちゃんと父上の子だ。」
俺の事を尊敬の眼差しで見る侯爵。
早速崇拝者を作ってしまったようだ。
「話戻すけど、ここの異変をすぐに知らせる方法か・・・スマホとか電話的な物があればいいんだけどな・・・」
「スマホ?デンワ?」
首を傾げる侯爵に父上とアレクが、
「ラルフレッドは案出しをしている時、意味不明な言葉を連発して、出す案も、作るものも見た事もない物が多いから気にするな。」
と伝えていた。
うーん、魔力で電話?念話とか出来ないかな。
少なくともここにいる者はみんな魔力を持っている。何か特定の物に電話の様な機能の術式を施しておいて、そこに魔力を流し込むと繋がるように出来るかな?
応援ありがとうございます!
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