35 / 49
㉟兄上の凄い所(ラルフレッド)
しおりを挟むとりあえず適当な物・・・一番身に付けていられる指輪を四個用意してもらって、それに魔力を流し込んだら繋がる術式を練りこんだ。
念の為やってみたらちゃんと繋がったので、電話機能が使えるようになった。
これに一番喜んだのはアレクだった。
「これで城とラルフ様のお屋敷を何度も往復しなくていいんですね?!」
そうか・・・今まで必要と思わなかったから作らなかったけど、アレクには大変な思いをさせてたんだな・・・気が付かなくてスマン。
個々に一つずつ持つ。
「繋げたい相手の名前を唱えながら魔力を流し込んでね、受ける方もここが光ってる時に魔力を流し込んだら繋がるからね。」
「分かった。」
皆がいい返事をする。
まるで子供が新しいおもちゃを与えられた時のように目が輝いている。
「それと、この事はここに居る四人だけの内緒ね、俺はリリアーナには話すけど、他の人にはバレないようにしてね。」
そう言うと、三人ともこくりと頷いてくれた。
「それで、兄上を狙いそうな奴に心当たりは?」
「・・・怪しいと言えば、マドラス大臣か、バドルド伯爵・・・ですかね・・・」
コーデリア侯爵は目星を付けていたようで、スラスラと名前を上げる。
「マドラス、バドルドか・・・確かに、二人ともいつもゴマすりと作り笑いの怪しい奴らだよな。」
「ラルフレッド様が何故そのような事をご存知で?」
侯爵が不思議そうに質問する。
俺が社交界に出てないと思ってるからその反応は正しい。
「城主催のパーティーは影からこっそり覗いてるんだ。だいたいの人となりは把握してるつもり。」
「そうでしたか、さすがラルフレッド様です。」
「あのさ、兄上の前では俺の事普通に扱ってね。」
ちょっと心配になって侯爵に念押しをする。
「もちろんです。」
任せてくれと言わんばかりに力強く返事をするけど、・・・不安・・・
「マドラスとバドルドのどちらかか、二名共かがライアンと接触しているのかもな、暫くは注意した方がいいね。」
「そうだな、少し動きを探るか。」
父上の言葉に二人も頷く。
そして、その場は解散となった。
父上の執務室を出た後自室へ向かうと、部屋の前に兄上が立っていた。
「ラルフレッド!」
俺を見てニッコリ微笑む。
「兄上、何か用でした?」
「うん、昨日の礼がまだ言えてなかったからね、遅くなったけど、昨日は助けてくれてありがとう。本当に助かったよ。」
兄上は変人の俺にもちゃんと接してくれる律儀な人だ。
「そんなに大したことはしてません。」
「いや、ラルフレッドがあんな事が出来るなんて驚いたよ、やっぱりラルフレッドは凄いね。」
兄上はいつも俺の事は疑わず信じて素直に褒めてくれる。
「俺も夢中でしたから、どうやったのかも覚えてません。」
俺は兄上の治療について、聞かれたらそう答えるよう、他の四人にも言ってある。
「いや、ラルフレッドは本当は出来る子なのに、私の為に隠してるのは知ってるよ、でも、ラルフレッドが騒がれたくないのも知ってるから誰にも言わないよ、安心して。」
にっこり笑う兄上、何でそんなに感がいいんだろう。
俺は全て見抜かれていることに、兄上の観察眼に改めて驚かされる。
「・・・ありがとうございます。」
兄上は俺の事を見抜いていてそう言ってくれている。
変に詮索されるよりはいいので、とりあえず甘えておこう。
暫く兄上と話をしてから別れて、俺は部屋に入った。
部屋にはリリアーナの姿は無い。
まだ戻ってきてないのか?
そう思った時に、ドアが鳴った。
リリアーナが帰ってきたかな?
「どうぞ。」
声をかけると、扉を開けて入って来たのはセリーヌだった。
「失礼するわ。あれ?リリアーナさんは?」
部屋の中にリリアーナが居ない事を不思議そうに俺に尋ねる。
「え?姉上達と一緒じゃ無かったの?」
どういう事だ?リリアーナは姉上達と話をしていたんじゃないのか?
「ラルフレッドに聞きたい事があったんだけど、中々父上の所から戻ってこないので、一度解散したのよ。さっき、エリオット様が帰って来て、話は終わったと言うので、ラルフレッドも戻っていると思って来たのだけど・・・」
「リリアーナは部屋に戻ってたの?」
「ええ、道が分からないというので、私が案内して、この部屋の前で別れたのよ?」
どういう事だ?
リリアーナが勝手に城の中をうろうろするなんて考えられない。
俺は慌てて部屋の中を確認する。
パウダールームも他の部屋も確認したけど、やはり居ない。
俺の鼓動が一気に跳ね上がる。
まさか、誰かに連れていかれた?
俺は魔力探知を城中に展開してリリアーナの魔力を探す。
リリアーナの魔力は弱いので中々引っ掛からない。
感度最大まで上げて探ったけど、見当たらない。
「城の中に居ない・・・」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日7時•19時に更新予定です。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
うっかり結婚を承諾したら……。
翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」
なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。
相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。
白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。
実際は思った感じではなくて──?
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話
よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。
「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる