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㊷決断(ラルフレッド)
しおりを挟むあれから本当に帝国は攻めてきた。
砦で全て返り討ちにしたんだけど、第二陣とかも返り討ちにしたから今は大人しくなった。
(ちなみに俺は何もしてないよ)
「・・・で?俺に用って何?」
今うちにコーデリア侯爵と、兄上が来てる。
兄上が我が家に来るのは初めてだ。
うちのメイド達を見て戸惑っていたけど、さすが兄上、もう受け入れたみたいだ。出されたお茶に「ありがとう」と微笑み返している。
「先ずは先の帝国の件、ラルフレッド様のお陰で事なきを得ました。ご教示頂き、防衛強化にご尽力頂いた事、心より感謝いたします。」
侯爵が恭しく頭を下げて挨拶をする。
「うん、大したことしてないから感謝しなくていいよ。」
この二人の訪問、嫌な予感しかしない。
「またラルフレッド様はそのような事を、貴方様が居なければこの国は今頃大惨事を迎えていました。」
「大袈裟だよ。俺がいいって言ってるんだから気にしないで。」
「しかし・・・」
侯爵が困ったように俺を見る。
「ラルフレッド、今日来たのはラルフレッドにお願いがあって来たんだ。」
兄上が改まって俺を見る。
嫌な予感しかしない。
「なんでしょう?」
「ラルフレッド、公の場に出てくれないだろうか?」
「嫌です。」
やっぱりその話か・・・
「ラルフレッドが表に出たくないのは知ってる。だけど、敢えてお願いする。第二王子として、私を支えて欲しい。」
「兄上を支えるのは影からならいくらでもします。俺は公の場には出ません。」
「それは、私の為を思って言ってくれているんだろう?」
兄上はこの前の事件で、俺の事は全て知ってしまっている。
それ以前から俺は「能ある鷹は爪を隠す」状態だと思ってたらしいが・・・
「・・・俺は兄上と争う種になりたくないんです。」
「うん、ラルフレッドが優しい子だっていうのも分かってる。私は第一皇子として、もっと相応しくなるよう努力するから、ラルフレッド、私の力になってくれないか?」
ただ面倒臭いだけなんだけどな・・・
「それに・・・リリアーナ嬢をこのままにしとくつもりかい?」
兄上の言葉にドキリとする。
「分かっているんだろう?」
諭すように話す兄上。
「ラルフレッドが社交界に出たくないのは分かってるけど、リリアーナ嬢をいつまでも閉じ込めておいたら、変な噂が残ったままだよ。・・・ラルフレッドを引っ張り出す口実にしたくないけど、リリアーナ嬢の為にも、ラルフレッドは表に出ないといけないんじゃないかな?」
兄上に言われた事は以前からわかっていた。
リリアーナを傷付けた奴らを見返してやりたい気持ちはある。
リリアーナに自信を持たせるためにも、皆にリリアーナを認めさせるのが一番だと思う。
だけど、俺も公の場に出たくないという気持ちがあったから、このままでいいと自分に言い聞かせていた部分があった。
改めて言われると、リリアーナの事を守っているつもりで、実は大事なことに蓋をして隠していただけなんだと実感する。
「兄上はどうして俺を公の場に出したいんですか?」
「それには少しお願いもあるんだ。ラルフレッドの力を全てとは言わないが、皆に知ってもらいたいんだ。」
「何故?」
「この国の第二王子の力を公の場に示す事で、他の国からの抑止力にしたい。もちろん、そんな事をすればラルフレッドが今以上に命を狙われることになりかねないのは分かってる・・・」
そう言って言い淀む兄上。
俺だけじゃなく、リリアーナも危険に晒すことになる。
でも、そこまでしてでも俺を必要としてくれているのはわかる。
正直面倒臭いけど、兄上が覚悟して俺の事を受け入れてくれている。俺が兄上を超えてしまう事を恐れているのも分かってくれている。それには応えたい。
覚悟を決めないといけないか・・・
「・・・分かりました。ただし、条件があります。」
「なんだ?」
「アレクをリリアーナ専属騎士にしてください。俺がずっと守るつもりだけど、俺も父上や兄上の元に行くこともある。この屋敷にいる間は安全だけど、一度社交界に出たら俺の目の届かない事もある。安心してリリアーナを連れて行けるようにしたい。」
「分かった。父上にすぐに話そう。」
兄上は二つ返事で承諾して侯爵を見る。
侯爵もそれを見て頷く。
「ラルフレッド、決断してくれてありがとう。」
そして、兄上達は帰って行った。
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