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⑫出発!
しおりを挟む朝から俺はメイドさん達に、今まで着ていたラフなワンピースとは違い、お出かけ用のドレスを着せられた。
まさか俺がドレスを着る日が来るとは・・・
ねーちゃんたちに着せ替えにされて、ワンピースを着るのには意外と慣れてたから今までは違和感無かったけど、ドレスは抵抗あるなー・・・
落ち着いたピンク色に白いレースが沢山付いていて、ポイントに薔薇とリボンが使われているとってもメルヘンチックなドレス。
髪型も可愛く編み込みしてもらって、リボンを付けてもらう。出来上がった時にはメイドさん全員から「可愛い~~ ︎❤︎︎」と声を揃えて言われてしまった。
確かに、自分でも鏡を見て似合ってると思ってしまった・・・
元の顔のままでドレスが似合う俺って・・・
「シンラ・・・とっても可愛いです!」
俺を見たユリアンさんまで目をキラキラさせる。
「ありがとう。」
微妙な気持ちで返事をしたら、ユリアンさんが「気に入らなかったですか?」と聞いてきた。どうやらこのドレスはユリアンさんが用意してくれた物らしい。
うん、可愛いんだよ。可愛いんだけど、それで喜ぶべきなの?俺の心境は微妙なの。
「シンラちゃん・・・俺んとこおいで。」
チャラ男のジョシュアが俺を見るなりなんかおかしな事を口走る。
「ヤダ。」
俺はキッと睨んでからユリアンさんの背中に回って言う。
「もう、その行動が可愛いね、俺ロリコン趣味じゃないのに、シンラちゃんはOKだよ。」
どうしたチャラ男、なんか急に俺にメロメロになってない?怖いんだけど!
俺はさらにユリアンさんの後ろでしっかりとユリアンさんの腰に捕まりながら威嚇する。
「ユリアン、いいなー。」
チャラ男が羨ましそうにユリアンさんを見る。
「普段の行いの差だよ。」
ユリアンさんは嬉しそうにチャラ男に言う。
「シンラ、魔族領までは馬で二~三時間、魔族領に入ってから魔王城まで二時間ほどです。ちょっと長いですが、馬での移動になります。ゆっくり行きますが、大丈夫ですか?」
ユリアンさんの問い掛けに、もちろん馬に一人で乗れない俺はユリアンさんを見る。
「ユリアンさんが乗せてくれるんだよね?」
「ええ。」
そう言って俺を軽々と抱き上げて馬に乗せてくれる。
またがって乗ろうとしたら、「そのドレスで跨ぐのはやめてください。」と言われてしまったので、ユリアンさんの前に横乗りで乗ることになってしまった。
うゔ・・・なんか屈辱・・・
「魔族の住む街って意外と近いんだね。」
馬に乗って出発した後、俺は横乗りなのでユリアンさんと目を合わせられる事に気がついて、ユリアンさんを見上げる。
もっと遠いのかと思ってた。一日で行けちゃうんだ。
「この辺りはかつて魔王を倒さんとする勇者が集った町が国まで発展した場所なのです。」
「へぇーそうなんだ。魔王を倒そうとしてた事あったんだ。・・・でも倒せなかったんだね。」
「ええ、魔王の力は強大すぎます。人間は討伐を諦め、贄を捧げて安息を得る道を選んだのです。」
そうだったんだ。
それが今でも続いてるって事?でも、その生贄には神様が絡んでること、知らないんだよね?
神様、なんでそんな変な風習植え付けたの?
しかも、神が魔王のために性奴隷送り込むってどういう事だよー!
とりあえず俺はエロ親父をぶっ飛ばすけどさ。そんでそんな風習変えてやる!
「ねぇ、シンラちゃんは何処から来たの?」
チャラ男が横から話しかけてくる。
横向いて乗ってるから真正面にチャラ男が見えて景色悪い。
なので俺はチャラ男は無視してユリアンさんの胸に顔を埋めてしがみつく。
「ユリアン・・・それヤバくね?」
「何が?」
チャラ男の言葉にユリアンさんが素っ気なく答える。
それ?チャラ男は何を言ってるのかな?
ユリアンさんにしがみついたまま、顔だけを上げて見上げるとユリアンさんの顔が少し赤くなって困ったような顔になってる。
ん?
「ユリアンさん、どうしたの?」
「何でもありませんよ。」
「そう?」
なんか隠してそうだけど、まぁ、いっか。
俺と目が合うと照れくさそうに笑ってるから困ってるわけじゃないよね?
その後も俺達はチャラ男が話しかける。俺が無視する。を繰り返して、しばらくしてからちょっと可哀想になって答えてあげるようになった。
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