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⑬初実践
しおりを挟む約二時間ほど走った所で、ふと馬が足を止める。
「どうしたの?」
俺が尋ねなから見上げると、ユリアンさんが真剣な表情に変わっている。
「シンラ、少し馬を降ります。馬と一緒にここにいてください。」
ん?何かあったの?
「馬をやられちゃこの先の足が無くなるからな、シンラちゃん、危なくなったら馬に乗って街まで走るんだ。」
チャラ男も、真剣な顔になる。
ん?
「前方にゴブリンの群れが居ます。」
「え?」
ゴブリンって、あのゴブリン?ゲームや物語の中には必ずと言っていいほど登場するあれ?
遠くを見ると、確かになんか緑な塊がいる。
「数多いな。」
ジョシュアがこぼす。
「なんでこんな所にゴブリンの群れが居るんだ?」
二人は剣を構えながらゴブリンの群れに向かっていく。
ゴブリン、めちゃくちゃ数多くない?
大丈夫なの?
てか、これって俺の魔法の練習の成果を試す時なんじゃないの?
大チャンス?
わーい!俺も、俺も混ぜて~!
俺は思わずユリアンさん達の後ろを付いて行く。
「!シンラ!何で付いてきてるんですか!」
ユリアンさんがびっくりして立ち止まる。
「ユリアンさん、俺、魔法使えるよ?戦えると思うんだ。」
俺は魔法が実践で試せると思うとワクワクして、ニコニコと答えた。
「確かに・・・魔法が使えるとは聞いてましたが・・・戦ったことあるのですか?」
「ない。ないから戦ってみたいの。ダメ?」
俺は上目遣いでユリアンさんを見上げる。
すると、ユリアンさんは眩しそうに俺を見てしばらく考える。
「では、私達の後ろから後方支援をお願いします。出来ますか?できるだけ離れたところからお願いしますね。危なくなったらすぐに逃げてください。」
ユリアンさんは渋々といった感じで案を出してくれた。
「分かった。ユリアンさん、ありがとう。」
嬉しくてにっこり笑うと、ユリアンさんは微妙な顔をしてこぼす。
「ゴブリンの群れ、怖くないんですか?」
「怖いより、今は魔法が使えるって思う方が勝ってるの。それに、ユリアンさん達が居るから怖くないよ?」
そう言うと、ユリアンさんはやれやれって顔で、「分かりました」と答える。
「我らが姫が頼ってくれてるんだ。姫に指1本触れさせる訳にはいかないな。」
ジョシュアがその様子を見てユリアンさんに話しかける。
「ああ、そうだな。」
そうして二人は俺がいる所からさらに前に出てゴブリンを迎え撃つ。
ユリアンさんが「地面よ、沼と化せ!」と魔法を唱えると、ゴブリンたちの目の前の地面が沼化してゴブリン達の動きが鈍る。
おお、ユリアンさんも呪文かなり短いんじゃないの?兄とは大違い。
俺も、どう攻撃しよう?
うーん・・・ユリアンさん達が前にいるからストレートな攻撃は出来ないよね?
弧を描いて落ちるイメージ・・・弓かな。
あ、槍でもいいかも。
数が多いから一気に沢山倒したいな・・・
「数多の炎の槍」
俺が空に手をかざして唱えると無数の槍が現れる。うん、出来たできた。
俺はそれをゴブリンの群れめがけて「えい!」と投げつけた。
空から無数の槍が降ってきて、ゴブリン達を串刺しにする。
わーい!当たった!成功!
って喜んでると、二人がこっちを見てる。
ん?
あれ?こっちに戻ってくる。
「ゴブリンは?」
「片付きました。」
「え?ユリアンさん達すごーい!早い!」
尊敬の眼差しで見上げると、呆れた目で俺を見つめる。
「姫にいい所全部持ってかれたな。」
ジョシュアさんが言う。
「え?」
「シンラが全部片付けてしまったのに、気付いてないんですか?」
ええ?そうなの?
二人の後ろを見ると、・・・ホントだ。みんな倒れてる。
「あれ、全部俺がやったの?」
「シンラ、貴方はどれほどの魔力を持っているのですか!」
ユリアンさんに詰め寄られちゃった。
あれ、やっちゃ不味かったかな?
「え?・・・さぁ・・・?」
魔王と同等とか言わない方が良さそう。
「測定した事ないのですか?」
あ、測定?そんなのあるんだ。
「うん。」
俺はヘラりと笑って誤魔化そうとしたけど、二人が呆れた顔で俺を見る。
「この中で一番強いのは姫だな。」
ジョシュアさん、何その姫って、俺の事?
「そうですね。」
ユリアンさんが俺を見る。
怪しいヤツだと思われた?
「でも、良かったです。自分で身を守る術を持っていてくれて。私も少し安心です。」
あ、良かった。ひょっとして認めてくれたのかな?
「うん、安心してくれて大丈夫だよ。俺、強かったみたい。」
にっこり笑うとユリアンさんが頭を撫でる。
「でも、泣き虫なので目は離せませんね。」
ガーン・・・俺ユリアンさんに泣き虫認定されてる。確かに、ユリアンさんの前で泣いてばっかだったけど・・・
「何?姫は泣き虫なの?可愛いね。」
横からジョシュアさんが覗き込んでくるので、俺は泣き虫なのが恥ずかしくて、またユリアンさんの背中に隠れてしがみついた。
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