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⑭魔王と対面
しおりを挟むゴブリンの群れを退治してから馬に乗って進む事一時間ほどで、魔族領の入口まで到着した。
途中何度か魔物に出会ったけど、やっぱり魔王の力が溢れているかららしい。
「ジョシュアとはここでお別れだな。」
「ああ、姫とお別れするのは残念だけど、仕方がない。後は頼んだぞ。」
「ああ、分かっている。」
ジョシュアさんの言葉に、ユリアンさんが頷いて答える。
「シンラちゃん、元気でね、シンラちゃんは強いから魔王に負けないかもね。」
いつもは明るくてなんも考えてなさそうなジョシュアさんが少し寂しそうな、悲しそうな顔で俺を見る。
きっと、俺が魔王の所に行ってからの事を考えているんだと思う。
「うん、大丈夫だよ。魔王のエロ親父はぶっ飛ばすって決めてるから!」
「あはは、シンラちゃんは顔に似合わず頼もしいな。」
顔に似合わずは余計だよ!ジョシュアさん!
「じゃ、元気で。」
俺はジョシュアさんに見送られて、ユリアンさんと魔族領へ入って行った。
魔族領の入口で門番らしき人?にユリアンさんが話をすると通してくれた。
城まで道案内してくれるとの事、人間だけで魔族領を歩いてると襲われるらしい。
そりゃ、そうか、獲物が飛び込んできたようなもんだもんね。
賑わう町を通り抜け、お城にたどり着いたのはお昼を回った頃だった。
道中色んな人?からじっと見られていた気がする。きっとよそ者に興味深々だったり、威嚇したりで見られていたんだと思う。
とりあえず、俺は魔王の客だから襲われることはないと思うけど、ちょっと怖い。
ユリアンさんの服の袖をきゅっと握ったまま歩いた。
「魔王様に話を通してくるのでここで待て。」
案内してくれた人が城の一室に通してくれて待つように言うと出て行った。
「ユリアンさん、魔王城ってどんな暗い場所かと思ったら意外と明るいね。」
なんか、普通の城と変わらない。
「そうですね、雰囲気は悪くないですね。」
ユリアンさんも窓の外を観察して頷く。
そして、俺の近くに来たと思うと、そっと俺を抱きしめた。
「ユリアンさん?」
急にどうしたのかな?
「こうしてシンラを抱きしめることができるのも最後ですね、少しこのままいてもいいですか?」
ユリアンさん、どうしちゃったのかな?
そういえば、ユリアンさんはこの後どうするんだろう?帰っちゃうの?ずっと俺と一緒にいてくれるの?
そんな事を考えていると、しばらくしてさっきの人が戻ってきた。
「今から魔王様が会われるそうだ。こっちへ来い。」
そう言われて、ユリアンさんは名残惜しそうに俺から離れた。
案内された先は謁見の間らしく、大層な扉を案内人が重々しく開く。
中に入ると、広い室内、高い天井。華美すぎないけど、目を見張る装飾を施されたシャンデリアが目に入る。
そして、正面にある階段の先に一人の人が座っているのが見えた。
まだ遠いからよくわかんないけど、魔王だ。
とうとう魔王とご対面だ。どんなエロ親父かじっくり見てやる。
「魔王様、人間からの捧げものを連れて参りました。」
「ああ、ご苦労。もっと近くまで連れてこい。」
案内人が言うと、魔王が低すぎず、威厳を感じさせつつよく通る声で話す。
その声に俺はドキッとする。
あ、この声、俺好きだ。俺の好きなアニメの声優さんの声に似てる。
ってエロ親父だよな、ギャップが半端ない。
俺達は魔王に言われてさらに近くまで移動した。
魔王ってどんな奴だ?
ちょっと・・・いや、かなりドキドキする。
俺は階段の上に居る魔王を見上げた。
え?親父・・・じゃない。若いよ?
二十代前半くらい?あれ?人違い?
・・・え?めちゃくちゃ男前なんだけど!
シルバーの髪に赤い瞳。清潭な顔立ちで、黒い衣装が綺麗な顔を引き立てている。
「魔王陛下、お初にお目にかかります。私はイルフォード王国第二騎士団のユリアン・グラウロットと申します。魔王様に捧げる女性を連れてまいりました。」
ユリアンさんがかしこまって挨拶をする。
「・・・男連れとは初めてだな。お前、名は?」
魔王が俺に向かって問いかける。
背もたれの高い椅子に座って、長い足を組んで、左肘を肘掛に付いてその手に顎を乗せて、気だるげに話す。
「真羅。」
俺は緊張のあまり短く答える。
「シンラか、えらくか細いな。」
魔王が俺を品定めするように見下ろしている。
「魔王陛下、私の話を聞いて頂きたい。」
ユリアンさんが魔王に話しかける。けど、その声が途中で途切れ、辺りが一瞬ゆらいだと思った瞬間、気が付くと俺は違う部屋に来ていた。
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