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⑱西の庭園
しおりを挟む翌朝、目が覚めると、部屋にたくさんの箱が積まれていた。
これ何?そぉーっと開けてみると、中にはドレスや髪飾り、靴なんかが入っていた。
ドレスがたくさんあるんだけど・・・ひょっとしてこれ、俺に?
用意してもらった部屋は、ユリアンさんの家で使わせてもらっていた部屋よりさらに広くて、薄ピンクの可憐な花が舞う壁紙に木目調の家具が並ぶ可愛い部屋だ。
そこにプレゼントボックスが沢山並んでると、なんかクリスマスみたい。
コンコンコン、
箱の中をぼーっと眺めていると、ドアが鳴った。グレンかな?
「はい。」
開けてみると、ドアの外にいたのはユリアンさんだった。
「シンラ、おはようございます。昨夜は眠れましたか?」
相変わらず、俺の事を心配してくれる。
「うん。よく眠れたよ?」
俺はにっこり笑って返す。
「あれは?」
ユリアンさんが俺の頭を越えて箱の山を見つけて尋ねる。
「うん・・・俺にプレゼントなのかな?ドレスとか靴とかいっぱい入ってるの。」
「そうなんですか?魔王陛下から?」
ユリアンさんが尋ねるけど、俺も分からない。でも、多分そうだよね?
「たぶん・・・」
俺の自信なさげな返事に、ユリアンさんはにっこり笑う。
「では、魔王陛下を探して確認しましょうか、そうならお礼もしないといけないですしね。」
「うん、そうだね。」
そっかー、そうだよね、ユリアンさんさすがー!
では、とりあえず着替えて行きましょうか。
そう言われて寝間着のままだったことに気がつく。俺、ドレスの着方わかんない・・・
「シンラ、部屋の前に待機していらっしゃいましたよ。」
ユリアンさんが促すと、二人のメイドさんが入って来た。
おお、待っててくれたんだ。この時だけは助かるー!しかもユリアンさん、俺が何に困ってるか分かってるなんてさすが!
俺はメイドさんに言われてプレゼントボックスの中の一着を着せてもらった。
「本当にこれ着ていいの?」
水色のふんわりしたドレスに、ブルーと白の薔薇が添えられたドレス。可愛い。
「はい、大丈夫です。」
メイドさんはそう言うとテキパキと着せてくれて、髪型も整えてくれた。
「ありがとう。」
お礼を言ってから待っているユリアンさんの所に行くと、ユリアンさんがにっこり笑う。
「シンラは何を着ても似合いますね、とっても可愛いです。」
「ありがとう。」
ストレートな褒め言葉にちょっと照れる。
俺、ドレスが似合うって言われる男・・・微妙だよ。
「魔王陛下は今どちらに?」
ユリアンさんがメイドさんに尋ねてくれる。
「今のお時間でしたら、恐らく裏庭の西の庭園かと・・・」
「西の庭園?どうやっていけばいいの?」
「ご案内させていただきますが・・・西の庭園にはお入りならない方がいいかと思いますが・・・」
メイドさんは少し困ったように言う。
「なんかあるの?」
俺の問いかけに、メイドさんは困ったように俺を見る。
まあいいや、グレンに直接聞けばいいか。
「とりあえず連れてって。」
「かしこまりました。」
俺とユリアンさんはメイドさんに案内されて西の庭園の入口まで移動することになった。
「ここでお待ち頂いた方がいいかと存じます。」
「そうなの?でも、この中にグレンがいるんだよね?」
「ええ、・・・恐らく・・・」
「ここまで案内してくれてありがとう。俺、行ってみる。」
早くプレゼントの事を確認したいし、もしそうならこのドレスも見てもらいたい。
「シンラ、私は、ここで待ちます。危険にったら瞬間移動か、大声を出してください。」
「うん、分かった。行ってくるね。」
俺は一人庭園の中に入って行った。
しばらく歩いたけど、グレンの姿が見当たらない。何処にいるのかな?ひょっとしてここにはいないの?
そう思い始めた時、一番奥の、綺麗な花が沢山咲き乱れる中に佇んでいるグレンを見つけた。
近ずこうと思ったけど、グレンの様子がおかしい。
俺は思わず足を止めてしまった。
グレンは小さな石碑の前に佇んでいた。石碑の前には花が手向けるられている。
誰かのお墓?
石碑を見つめるグレンの表情は今にも泣き出してしまいそうな、悲しい顔をしていた。
その雰囲気に、俺は固まってしまう。
しまった。メイドさんの言う通り、ここには入っちゃ行けなかったんだ。
俺はそーっと立ち去ろうと、足を後ろに踏み出した・・・んだけど、ドレスだって忘れてたよ!
俺はドレスの裾を踏んで後ろにひっくり返りそうになった。
「わっ!」
思わず声を出して転ぶ!って思った。
次の瞬間、抱きとめられていた。
「え?」
俺を助けてくれたのはグレンだ。
超イケメンの顔が突然目の前に現れてさらに焦る。
「気づいていたの?」
「シンラが入ってきた時から分かっていた。」
グレンは素っ気なく答えながら俺を起こしてくれる。
「ここ、グレンの大事な場所なんでしょ? 何も聞かずに入っちゃってごめんなさい。」
俺は素直に謝る。
さっきの感じ、誰にも入って欲しくない場所なんだと思ったんだ。
「別に、シンラなら構わない。」
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