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㉑誘拐されました。
しおりを挟む「うっ・・・」
気が付くと、知らない部屋にいた。
何も無い、シングルのベッドだけが置かれた小さな部屋。
ここはどこ?
俺・・・誰かに捕まったっぽい?
俺は両手両足を縛られて、口には猿ぐつわをされている。
この状況って絶対誘拐だよね、グレンはこんな事しないよね?
とりあえず、グレンのところに戻ろう。
そう思って、俺はグレンを思い浮かべる。
口が塞がれてるけど、瞬間移動は頭の中で思い浮かべて、移動って思うだけで行けてしまう。他の魔法とは違うみたい。
・・・・・・なのに、なんで?
飛べない・・・どういう事?
「んうーー!」
えーーーー?移動できないよ?
声出せないから魔法も使えない!
俺ピンチ?てか、俺をここに連れてきたのは誰?
しばらく手を縛っている物を解こうと頑張ってみたけど、どうしても取れない。
ベッドの上で横になった状態で、後ろ手に縛られてるから起き上がることも出来ない。
俺どうしたらいいの?
ユリアンさん、助けてーーー!
って、ユリアンさんは俺が家に送っちゃった。だから助けに来るはずないし、俺が攫われたことも知らないよね。
グレン・・・気付いてくれるかな・・・
誰も気付いてくれなかったらどうなるんだろう。
・・・ずっとこのまま?
殺されちゃう?それとも売られちゃう?
放置されて餓死?
そもそも、俺は何で誘拐されたの?城の中にいたのに、誰が?
・・・考えても俺に分かるわけない!そのうち犯人が来るかな?
猿ぐつわされてるから聞けないけど、理由が知りたい!
でも・・・怖い人だったらヤダな・・・俺をイタズラ目的とかで誘拐したんだったら?
瞬間移動が出来ないんじゃ逃げれないよ。
・・・怖い・・・
最初は疑問と怒りで意外と冷静だったけど、良くない事を考え出すと、連鎖的に嫌なことばかり考えてしまう。
考え出すと、じわりと涙が溢れてくる。
「ゔゔっ・・・・・・」
泣いても抱きしめてくれるねーちゃんはいない。ねーちゃんの代わりに抱きしめてくれていたユリアンさんもここに俺がいるの気付くはずがない。
誰か・・・助けて・・・
ぐすぐすと泣き明かして目が腫れてるのを自覚しだした頃、外が騒がしくなって、扉が突然開いた。
助けが来た?
と思ったのに、入ってきたのは知らない男達。獣人もいる。魔族だ。
俺は知らない人達に恐怖を覚えてブルブルと震えが出る。
「おう、目覚めてたか。」
一人が俺に気付いて見下ろす。
「悪いが、お前は暫くここにいてもらうぞ。」
「ゔーーーーーっ!」
なんで?何で俺は攫われたの?
言いたいけど話せない。
「何、魔王様が恐怖の魔王様に戻るまでの間だ。そうすれば魔王様もお前の事も忘れるだろう。」
何言ってるの?この人。
「ああ、魔王様がお前の事を忘れたら始末してやるよ。」
他の男が話す。
始末?始末ってまさか・・・嫌だーーーー!
「ゔゔーーーーー!!」
「そう怖がるなよ。今はまだ殺さないさ、お前は魔王様に見つかった時の保険だからな。」
そう言った後、男達は持ち込んだ食事を始めた。
この人達何考えてるの?グレンの事を魔王様って呼ぶって事は敬意を払ってる。
怨恨とか、嫌悪、憎悪とかでは無い。
敬意を払うほどのグレンにとって大事な俺にこんな事するって、どういう事?
なにが目的?
怖いよ・・・
男達は食事を終えるとそれぞれ出て行く者、仮眠を取る者に別れた。
一人の男が俺が転がされてるベッドにゴロリと横になる。
俺は怖くてモゾモゾと動いて出来るだけ壁際によけた。
しばらくして男はガーガーといびきを立て始めた。
怖いよー・・・ユリアンさん、グレン・・・
俺はまた涙がぽろぽろと落ちるのをどうする事も出来ず、泣いている事がバレないようにシーツに顔を埋めるしかできなかった。
どれくらい経ったんだろう?
この部屋には窓も無いから今が夜なのか朝なのかも分からない。
でも、交代で仮眠を取っているらしい連中が三人ずつ三交代で寝ているのはわかった。犯人の数は俺が見ただけで九人。
全員が居なくなる時間は昼間なのかな?
男達がいる間は怖い。
たまに、横に寝るやつが俺のおしりを触ったり、胸を触ったりしてくる。
服を脱がされたりはしないけど、怖くて震えが止まらなくなる。
交代での仮眠が二巡目を終えようとしている。って事はここに連れてこられてから三日目の朝が来ようとしてるのかな?
俺は怖くて一睡も出来ていない。猿ぐつわを外すと何するか分からないという理由で、水も食べ物もあたえてもらってない。
朦朧とする意識の中、涙だけが溢れる。
俺は今どこにいるんだろう?
ユリアンさん、探してるだろうな・・・
ぼーっと扉を見つめたその時、扉が開いた。
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