異世界転生したら女の子でした。しかも魔王の抑止力とか何?

さらさ

文字の大きさ
23 / 33

㉓グレンの役割

しおりを挟む


ドアが急に開いて、またあいつらの仲間が入ってきたんだと思った。

「シンラ!」

その声に、慌ててドアの方を見ると、そこにはキラキラのイケメンが怒り狂った顔で立っていた。

「ゔーーー!」

叫びたいけど、口が塞がれてるから叫べない。
来てくれた!嬉しい。ずっと不安だったんだ。俺このままここで死ぬのかと思った。

来てくれた。

「シンラ、遅くなってすまない。酷いことをされていないか?」

部屋の中に居た奴らをあっという間に始末して俺の元に駆けつけてきて、手足を縛られてる紐と猿ぐつわを外してくれる。

「グレンっ・・・!」

俺は泣きながらグレンにしがみついた。

「怖かったよぉ・・・!」

泣きつく俺を、グレンは優しく包み込むように抱きしめてくれた。

「シンラ、本当にすまない。少しでいい、お前に触れさせてくれ。」

そう言った後、涙でボロボロの俺の顔を見て顎を持ち上げると、唇を重ねる。
最初は優しく触れてから、次第に激しく求めるように・・・

俺はその口付けを呆然と受け入れていた。
普段の俺ならいきなり何すんだよ!とか言ってそうなのに、安心と、グレンの温かさに、不覚にも触れる唇が気持ちいいとか思ってしまった・・・

長い口付けの後、グレンから黒い固まりが出ていくのが見えた。
そっかー、俺としばらく会ってなかったから、グレンも苦しかったんだ。

「いきなりすまない。」

唇が離れた後、俺を見つめてグレンが呟く。

「ううん、助けに来てくれてありがとう。」

そう言った後、後ろにユリアンさんがいるのも目に入った。
ユリアンさんも来てくれたんだ。

安心した途端、俺は気を失った。





「う・・・ここは?・・・」

目が覚めると閉じ込められていた部屋のベットでは無い所にいた。
薄ピンクの花の舞う壁紙・・・俺の部屋?

「良かった。目覚めたんですね。」

横を見ると、ユリアンさんが心配そうに覗き込んでいた。

「俺、寝ちゃったの?」

そうだ、助けて貰って、そこから記憶が無い。

「ずっと眠れていなかったのでしょう?ゆっくり休んでいていいんですよ。」

起き上がる俺に優しく微笑みかけてくれるユリアンさん。
ああ、俺、助かったんだ。
そう思うと、また涙が溢れてくる。

ぽろぽろと涙を流す俺をユリアンさんが優しく抱きしめてくれた。

「怖かったよーっ」

ユリアンさんの温もりに安心したら涙が止まらなくなって、わんわん泣いていたら、いつの間にかグレンも来ていて、俺のベッドに腰掛けて頭を撫でてくれていた。

「シンラ、なにか酷いことされませんでしたか?」 

ユリアンさんが優しく聞いてくれる。

「・・・おしり触られた。胸も触られた。」

「なっ!」 

「アイツら・・・殺すだけじゃ足りん!もう一回殺してくるか!」

「ええ、そうですね、賛成です。」

グレン、怖いよ。死んだ人はもう殺せないからね?それにユリアンさんまで!目が座ってるよ?そんな性格だった?

でも、俺の為に怒りを露わにする二人を見て思った。俺、二人に愛されてるみたい。
嬉しくなってへらりと笑う。 

ぐぅーー。

その時雰囲気をぶち壊すお腹の音が盛大に鳴り響いた。

「・・・お腹空いた。」

「くすくす、そうですね、食事を用意してもらいましょうか。」

ユリアンさんが笑う。
グレンがくくっと笑いながら、控えていたメイドさんに用意をするよう伝えてくれている。

「何も食べさせて貰えなかったからお腹すいちゃった。喉乾いた。」
 
「水飲みますか?」

すかさずユリアンさんがお水の入ったグラスを渡してくれる。

「ありがとう。」

お水がこんなに美味しいなんて・・・

「シンラから食事を取り上げるなど、やはり、殺すだけでは物足りんな。四肢を引き裂いてやれば良かった。」

いや、だから怖いって!やめて!
ところで、俺はなんで誘拐されてんだろう?

「犯人はなんの目的で俺を攫ったの?」

「それは、俺を魔王にする為だ。」

グレンの言葉に俺は首を捻る。
ん?グレンは魔王だよね?
 
「グレンは魔王じゃないの?」

「ああ、俺を恐怖の魔王にしようとしていたんだ。」

ん?余計わかんないよ?

「どういうこと?」

「今の俺は、自我を持って悪気をコントロールしているけど、以前の俺は悪気を吸収するだけして、自我を失い、目に入るもの全てを焼き付くさんとする悪の魔王だった。その頃に戻って欲しい輩がいたんだよ。」

「んん?グレンは怖い魔王だったの?今は怖くないよね?」

訳分からん。

「そうだな、俺は怖くないか?」

「うん。」

グレンはたまに意地悪だけど、基本優しいんだよね。

「シンラが居てくれるからだよ。」

そう言ってまた頭を撫でてくれる。

「どういう事?」

「俺はこの世界の悪気を吸い続けている。それを吸いすぎてコントロールできなくなる前に、シンラが浄化をしてくれるから俺は正気を保っていられるんだ。俺は世界を悪に向かわせない為の役割を果たしているのだが、シンラはそれを中和する存在なんだ。俺とシンラは一緒で無ければこの世界を守ることが出来ない。」

へー、そうなんだ。そういえば、神様が魔王はこの世界との繋がりが大きいから殺すことは出来ないって言ってたな。
そういう事なんだ。

「グレンはこの世界を守ってるんだね!すごい!カッコイイ魔王様だね!」

俺はグレンが凄くかっこよくて頼もしい人に見えて、にこにこしながら尊敬の眼差しでグレンを見上げた。

グレンはそんな俺の頭を撫でてくれる。

「怖い思いをさせてすまなかった。」








しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です

山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」 ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

千年に一度の美少女になったらしい

みな
恋愛
この世界の美的感覚は狂っていた... ✳︎完結した後も番外編を作れたら作っていきたい... ✳︎視点がころころ変わります...

処理中です...