侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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6話 自主練習

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「なんか不完全燃焼~」 

部屋に戻ってからギルに愚痴る。

「ほんと、口だけの奴らだったな、もうちょい張り合いあるかと俺も期待したのにな。」

ギルもどうやら物足りなさを感じていたようだ。

「ねぇ、ギル!今から手合わせしない?」

今日の練習は終わったけど、外はまだ少し明るい。
自主練習に練習場を使うのは問題ない。 

「おう、やろうぜ!」

僕の提案に、ギルも乗ってくれる。
男として認めて貰えるよう、僕は毎日稽古に明け暮れてきた。
体を動かすのは好きだ。
思いっきり動き回ってる間は、クリストファーの事を思い出すこともない。

僕達は剣を手に取ると、練習場へと向かった。

「そういえば、クリスの体術ってキレがあって凄いよな、俺みたいな図体のでかいヤツでも軽々投げ飛ばすとか、ビックリしたぜ、どこで習ったんだ?」

「ああ、あれはうちの執事に教えてもらったんだ。」

「執事?お前ん家の執事は戦える執事なのかよ、スゲーカッコイイな。」

素直に驚きを表すギル。

「じいちゃんだけどね。」

じいちゃんはこの国の生まれじゃない。遠い東の国から来たと言っていた。
僕はレティシアだった頃からじいちゃんに体術を教えて貰ってたから、もはや身体に染み込んでいると言ってもいいくらい自然に手足が動く。
ギルみたいに大きな相手も難なく投げることが出来る。

「スーパー爺さんだな!俺にも教えてくれよ。」

「いいよ。」

僕はギルに掴み方のコツから体裁きを丁寧に教えてやる。

「あれ?ひょっとして、僕がこれ教えたらギルに勝てる要素無くなるんじゃない?」 

座って休憩しながら話していて、ふと我に返る。体術は僕の自慢だったのに、ギルがマスターしちゃったら、僕絶対勝てない!

「そんなすぐに出来るようになんねぇって、お前みたいに自然な流れで出来るようになるには、相当時間かかりそうだから安心しろ。」

ギルにそう言われて、そうか、と納得する。でも、いつかギルに越されそうだよな・・・

「クリスもここまで出来るようになるまでかなり努力したんだろ?分かるよ。」

ギルにそう言われて、ちょっと嬉しくなる。
 
「うん、まあね。」

ニコニコとギルを見ると、何故か目を逸らして反対方向を見る。
あっちに何かあったのかな?

「なんかあった?」

僕も何があったのか見ようとギルに顔を近づけて同じ方を見る。と、振り返ったギルと、間近で目が合う。

「っ!何でもねーよ!」

またギルが慌てて違う方を見る。
・・・何だろう?

「・・・それより、お前はなんでこんなに鍛えてるんだ?侯爵家の坊ちゃんならこんなに鍛えなくても、二年の騎士団任務だけで済むんだろ?」

「・・・強くなりたいからに決まってるだろ。」

僕が強くなりたいのは、クリストファーを探しに行く為の準備だ。
これまでも、何度か森に行ってるけど、森の奥に入るにはまだ実力が足りない。
入口近くにいる魔物は何度も倒してるけど、奥深くに住む魔物には勝てないと思う。僕はもっと強くならないといけない。

「ふーん、お前充分強いと思うけどな。」

「まだまだだよ、剣ではギルに勝てないし。」

ギルは深くは追求しない。
あまり入り込まれるとボロが出そうで、今までも同期との付き合いには一線を置いて付き合ってきたけど、ギルはそれを最初から分かってるかように接してくる。
ギルを信用していない訳じゃないけど、僕としてはありがたい。

「ギル、もう少し練習に付き合ってよ。」

「ああ、いいぞ。」

そしてギルと僕は辺りが暗くなって見えなくなるまで手合わせを続けた。





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