侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

文字の大きさ
14 / 88

14話 再会

しおりを挟む


「ギル、今日の休暇なんかやる事ある?」

「いや、別に無いけど?なんだ?」

今日は休暇日なのでみんな思い思いのことをしている。
街に出たり、ダラダラしたり、家が近い者は顔を見せに帰ったりと過ごし方はさまざまだ。
僕も何度かは家に帰った事もある。
父上が顔を見せろとうるさいからな・・・

でも、今日は帰るつもりは無い。

「もし暇なら今日はぼくにつきあって欲しいんだ。」

「いいけど、何する?」

「二人でやることって言ったら決まってるだろ?」

僕はギルが了承してくれると確信があるから、わざとおどけてみせる。

「はいはい、分かったよ、すぐやるのか?」

「うん!」

ギルは僕の言いたい事を理解してくれて準備を始める。
僕もさっと支度を済ませてギルと一緒に部屋を出た。


「お前、本当にストイックだよな。」

ギルが歩きながら僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「自分に厳しいって言って欲しいな、僕は今の自分に満足してないんだ。もっと強くなりたい。」

僕の言葉に、ギルはにっと笑う。

「クリスは努力家だよな、身体のハンデを自分で何とかしようと頑張ってるもんな。」

「僕の練習に付き合わせてごめんね。」

「気にするな、俺もやること無かったし、少しでも強くなれるならメリットはあるしな。」

ギルは僕が危ない目にあって以降必ず一緒にいてくれる。
過保護なお父さんみたいだ。
そんで、僕の練習にもずっと付き合ってくれるから、お互い腕は上がったと思う。

「それに、来月は部隊への配属だろ?少しでも実力を上げておかないとな。」

「うん。」

ギルは僕が強くなりたい理由を聞いてからも変わらず、前以上に僕の事を理解して協力してくれるようになった。

本当にありがたい。

「ギルが相方で本当によかった。」

僕がにっこり笑うと、ギルは照れてまた僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「早く行くぞ!」

ギルは照れるとすぐに僕の頭を撫でる。最近それがわかってきた。

「もう!撫でるなよ!髪がくしゃくしゃになるだろ!」

「わるいわるい。」

そう言って笑いながら今度は撫で付ける。


練習場に着くと、僕達はお互いのいい所、良くない所を剣を交えながら意見し合う。
しばらくそうしてお互いの欠点を話し合った後、手合わせをする。
剣を交える相手に見てもらった方が、自分でも分かっていない欠点が分かる。
僕達は何度か休憩を挟みながら手合わせを繰り返した。

「なあ、そろそろ終わりにしないか?」

ギルに言われて、僕も頷く。

「後もうひと試合したら終わろうか。」

「ああ。」

二人とも結構フラフラになっていた。限界までやって、体力を付けるのも大事だからこのやり方を何度もやっていて、少しずつ限界が伸びているのも実感している。

これはギルが僕と対等に付き合うことが出来る奴だからで、僕は恵まれてると思う。

最後だと言った手合わせで、僕はギルが打ち込んだ一撃を受けるタイミングを逸して持っていた剣を弾き飛ばされた。

「あ!」

剣が僕の腕から離れた瞬間、剣の飛んだ先に人がいるのが目に入った。

いつの間に人が居たんだ?てか、当たる!

「危ない!」

そう叫んだ瞬間、そこにいた人がサッとギリギリで避けて、剣は地面に突き刺さった。

危なかった、当たるかと思った。
避けてくれて助かった。

剣を避けた人は地面に突き刺さった剣を引き抜くと、こっちに向かって歩いてくる。 

「あれ、騎士服だな、白いから第二のだぞ。」

ギルが僕の横で呟く。
八つに分かれる騎士団の服の色は第一から黒、白、青、緑、赤、紫、茶、灰と色に分けられているので、すぐに何処の騎士団かわかる。

「すみませんでした。」

僕は向かってくる人に頭を下げてから顔を上げた瞬間、固まってしまった。

この人は・・・前に森の前で会った人だ。
淡い栗色の髪にグリーンの瞳、整った綺麗な顔立ち、入隊前に森の前で出会って思わず見とれてしまった人だ。

向こうも僕の顔を見て足を止めると、固まって僕を見る。
明らかに僕の事を思い出した顔だ。
ヤバい、あの時僕はレティシアだった。
僕がレティシアだとバレるのはまずい。

「・・・君は・・・」

やっぱりそうだ、気付いてる。

「初めまして、第二騎士団の方ですか?」

僕は今日が初対面だと強調するように話しかける。

「・・・何処かであったこと無かったかな?」

「え?初めてですけど・・・あたなの様なイケメンさん、見たら直ぐにわかりますよ。」

僕はにっこり笑って初対面をゴリ押しする。

「・・・そうだな、あれは女性だったし・・・」

イケメンさんは独り言のようにボソリとつぶやくと、僕を見る。

「すまない、私の勘違いのようだ。」

そう言って持っていた僕の剣の束をくるりと回すと僕に渡してくれる。




しおりを挟む
感想 58

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る

水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。 婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。 だが―― 「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」 そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。 しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。 『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』 さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。 かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。 そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。 そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。 そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。 アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。 ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

処理中です...