侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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16話 入団

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「二人とも獲得するのは難しいかと思ってたんだけど、私が要望を出す前に君達から希望を出してくれて嬉しかったよ。」

にっこりとほほ笑みを浮かべるのはクラウス様。

「第二騎士団への配属おめでとう。」

「ありがとうございます。これからよろしくお願いします。」

僕達は白い騎士服に身を包んで入団式に挑んでいた。

「クラウス様、あの時のあの言葉は俺達への警告ですか?それとも、自分の元に来るようにさせる為の話術ですか?」

ギルの質問に、クラウス様は肩を少し上げてクスリと笑う。

「さあ?どっちだろうね?」

「まあ、どっちみちあんな気になる言葉を残されちゃ調べざるを得ないし、調べてしまったら俺達は貴方を選ぶより他ない。俺達は自分の意思で決めたようで、上手く貴方の手の内で転がされたって所ですかね。」

「さぁ? まぁ、私としては君達が兄上の餌食になるのを分かってて見過ごすのは忍びないと思ったけど、こればっかりは本人がそれを望んでるかもしれないしね。君達の意思に任せたんだけど?」

「俺達の意思って・・・上位に入れてなかったら選ぶことも出来ませんけどね。」

「君達は確実に上位に入ると思ってたよ。」

クラウス様の言葉には何故か確信のようなものがあって、ギルも参ったという表情をしている。

「それは過大な評価、ありがとうございます。」

「過大なんかじゃないよ、この前腕前は見させてもらった。人格も、少ししか会話してないけど、人柄は伺えた。君達なら確実に上位に入ると思ってたよ。」

クラウス様がにっこり笑ってそう言うと、そうかと納得してしまうのは何故だろう?
この人は人を惹きつけるなにかを持っている気がする。

「それに、君達が第一を好まないだろうって事もね。」

楽しそうにウインクしながらおちゃめに笑うクラウス様は、やっぱり僕等が第二を選ぶと確信していたんだと思う。



ーーーー  結果として僕等が第二を選んだ理由。

それは第一の隊長であるカルロス様にあった。
今までは何となく王都にある騎士団に入りたいとだけ思っていたんだけど、第一の事をよくよく調べると、変な噂を耳にした。

それは、カルロス様が好色家で、男女問わず気に入った者はそばに置きたがるんだそうだ。
もちろん、騎士団任務中は男ばかりなので、気に入った団員を部屋に呼んだりすると聞いた。
王子で、団長の命令で呼ばれると団員は逆らえない。

僕が襲われた事件で、男同士でもそういう事をするってギルに教えて貰ってなかったら、なんの事かさっぱりわからなかったと思うけど、今度はそれを聞いてすぐに理解出来た。
カルロス様は危険人物だと。

この前、クラウス様がボソリと呟いた言葉は僕には聞こえなかったけど、ギルには聞こえてたらしく、どうやら僕達はカルロス様の好みなんだそうだ。
特に僕・・・そんな危険なところには行けない。
なので、女だとバレる危険性はあるけど、襲われる危険性のないクラウス様の元を選んだんだ。

そう思うと、あの時クラウス様に出会って、気にかけてもらえてよかったと思う。
気にもかけてもらえてなかったら、僕はカルロス様の事も知らず、第一を選んでいたかもしれない。

クラウス様に出会ってなかったら・・・2分の1の確率で僕は危なかったかもしれないと思うと、ゾクッとする。

「さあ、入団式が始まる。君達が来てくれたので、力のバランスの関係で他の団員は貰えなかったけど、二人が居てくれたら十人力だ。兄上が君達を見た時の顔もちょっと興味あるけど、危険だからあんまり目を合わせないようにね。」

そう言って本当に楽しそうに笑うクラウス様、実はちょっと性格S?

「はい、気をつけます。」


入団式は各団長に続いて会場に入る。
第一騎士団のメンバーが会場に入ったと連絡が入り、僕達はクラウス様の後について会場に入った。

第一騎士団の横に来た時に、僕達団員の方を向いて前に立つカルロス様がじっと僕を見ている気がしたけど、気にしないようにする。

国王陛下が挨拶をした後、それぞれに柄に王国のシンボルであるタカと蔦の模様が施された剣が授与される。

僕も国王陛下からその剣を受け取った時、ズシリとした今までにない責任感が乗っかったような気がして、気が引き締まる思いがした。

無事、入団式も終えて、僕達はクラウス様に付いて、第二騎士団のホームである寮に向かった。

「やっぱり、兄上の視線はクリスに釘付けだったな、ギルの事もチラチラ見ていたよ。」

クラウス様に楽しそうにそう言われて、ギルもゾッとしているのか、引き攣った顔をしている。

「でも、君達は私の元に来てくれたんだ、今日からは私が君達を守るから、そのつもりで守られてくれると嬉しいな。」

僕達はクラウス様の言葉に目を見合わせる。
王子であるクラウス様の盾になるのが僕達の役目なのに、クラウス様が僕達を守る?

あべこべな言葉に苦笑いしつつも、クラウス様の人柄と頼もしさに、第二を選んで良かったと思った。




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