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48話 洞窟
しおりを挟む僕は雨の中見た姉を攫った魔物のことをクラウス様に話した。
「そうか・・・それで突然居なくなったのか。」
「すみません。」
謝る僕の頭をクラウス様は優しく撫でる。
「という事は、レティシア嬢に近付いているのかもな。」
そうだ。ここにあの魔物がいたって事はこの辺にいる可能性が高い。
「私からも報告があるんだが・・・」
そう言われて僕とギルはクラウス様をみる。
「この洞窟、中は結構広くて、先がかなり長い。私の推測では、山脈の下を抜けて魔族の国まで繋がっているんじゃないかと思うんだが・・・」
魔族??
「何故そう思ったんですか? 」
ギルが質問する。
「洞窟の中には水流が流れていて、奥に向かって流れている。この先はずっと山脈で、出口などないと考えると、あちらまで抜けているのではないかと・・・私の憶測だけどね。」
「魔族の国への抜け道・・・? 」
「ああ、私達はこの存在を知らなかったけど、魔族がこれを知っているとすれば、私たちの生活も脅かされることになる。」
そうだ、今まで山脈があるから安心だと思ってたけど、こんな抜け道があるなら全然安心じゃない。
「この洞窟、塞いだ方がいいのでは? 」
ギルの提案に、クラウス様が僕を見る。
「ギル、さっき僕はクラウス様に、姉はこの先に居るって言ったんだ。」
「え? 何だって? もしかして、姉さんは魔族国にいるのか? 」
「わからない。洞窟のどこかにいるのかもしれない。けど、さっき落ち着いて洞窟を見てると、奥から姉の気配がしたんだ。」
「とりあえず、魔族は危険だ。明日から、この洞窟を進める所まで進んで、先がどこに出るのか、レティシア嬢がいるのかを確認する。ただし、洞窟の中にも魔物が潜んでいる可能性があるし、魔族と遭遇する危険もある。危険だと思ったら引き返すからそのつもりで。」
「わかりました。」
クラウス様の言葉に、僕とギルは頷いた。
「じゃあ、明日の為に、早めに休もう。今日の見張りは私が一番だ、二人は休め。」
そう言われて、僕達は眠るため、横になった。
だけど、僕はギルのことを思うとなかなか寝付けないまま、交代の時間になった。
「クリス、眠れていないだろう。」
クラウス様と交代しようとしたら、クラウス様に見抜かれてしまった。
「ちゃんと寝ないと、明日歩けないぞ。」
「・・・ごめんなさい・・・」
謝る僕の頭を撫でながらクラウス様は微笑んでくれる。
「ギルとの交代まで私が起きてるから、クリスは寝なさい。」
「そんなこと出来ません! 」
それだとクラウス様が睡眠不足になっちゃう。
「いいから、寝なさい。」
そう言うと、僕の頭をクラウス様の膝に載せられてしまった。
「今はギルの事も、レティシアの事も忘れて寝なさい。」
クラウス様に優しく頭を撫でられながら、しばらくして僕はやっと眠ることが出来た。
翌朝洞窟の中を進み始めてすぐに、クラウス様の言っていた水流があった。洞窟内にある道からかなり下を川が流れている。
川はずっと道沿いに、あちら側へ向かって勢いよく流れていた。
遥か下で水の流れる音と、僕達の足音だけを聴きながらしばらく歩いたところで、獣の気配を感じた。
「ギル、クリス! 」
クラウス様も気配を感じて剣を抜くと僕達の前に出る。
こういう時、王子であるクラウス様は後ろに下がるべきなのに、必ず僕達の前に出る。
本当に、僕達を守ろうとしてくださるんだ。
だから、僕達はクラウス様の援護に徹する。
前方から数匹の魔物が現れて、僕達は難なくこれを退治した。
その後も、何回か魔物に遭遇して、
戦っている最中、一番しんがりに居た僕にギルが叫ぶ。
「クリス! 後ろ!! 」
そう言われて振り向くと、僕の後ろにクリスを連れてった魔物が立っていた。
「コイツ!! レティシアを何処へ連れてった! 」
魔物の大きな体から振り下ろされる拳を避けながら反撃をする。
何度か攻防を繰り返しているうちに、ギルも加勢に入ってきた。
二人で魔物を追い詰めて、川のある断崖まで追い詰めた。
魔物もかなり消耗している。あともう一歩。
僕は剣を構え直すと、魔物に向かっていった。
僕の剣が届いて魔物が足を踏み外したその時、魔物の手が僕を掴もうと伸びてきた。
僕はとっさに避けることが出来ず、掴まれる! そう思った時、ギルに押されて後ろに尻もちを着いた。
見ると、ギルが魔物の手を剣で払い除けるのと、もう片方の手が伸びて掴まれる光景が目に映った。
魔物はそのまま断崖を落ちて行った。
ギルと共に・・・・・・
その一瞬の光景が、長い長い時間のように感じられ、落ちていく瞬間、ギルは僕を見て微笑んだ。
「嘘だ・・・・・・ギル、いやーーーーっっ!!!!」
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