侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

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69話 ヤキモチ

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「さっきの言葉、本当か? 俺の事・・・」

ギルに抱きしめられながら、ギルはもう一度確認する。

「うん、好き・・・愛してる。」

僕が囁くと、ギルはもう一度強く抱き締めてきた。
だけど、痛くない。包み込むように、大切な宝物のようにギルに抱かれて、やっと不安が解けていく・・・

「俺も・・・愛してる。」


しばらくギルの腕の中に抱かれて、このままこうしていたいな・・・と思っていたら、クリストファーが声をかけてきた。

「2人とも、想いが通じて良かったね、僕はお邪魔虫なので消えるけど、今日は夕食の時に、魔王様にみんなをお目通り頂く予定だから、時間になったらまた呼びに来るね。」

その言葉にギルが我に返ったように反応した。

「お前が男って事は・・・え? レイは? 」

レイ? 誰だろう?

「くすくす、僕の恋人だよ、シア、後で僕の恋人も紹介するね! 」

クリストファーはなんだか楽しそうに唇に人差し指を立てて笑っている。
そんで、何故かギルが衝撃を受けている。?

レイって人がクリスの言ってた好きな人か、ギルは知ってるみたいだけど、どんな人なんだろう?

「うん、後で紹介してね。」

そう言うと、クリストファーはにっこり笑って出て行った。

クリストファーが出て行った後でふと思う。
今、魔王様って言ってた?
魔王様と勇者の末裔の王子達が出会うのはいいんだろうか・・・
魔王様ってどんな人? 怖そうなんだけど、大丈夫かな・・・

「クリス・・・じゃなかったな、レティシア、どうした? 」

ギルの声に我に返る。
突然僕がレティシアになったから呼び方を戸惑っている。

「くすくす、今まで僕がクリスだと思ってて、クリスをレティシアだと思ってたんだから、ややこしいよね、僕のことはシアって呼んで。」

戸惑うギルが可笑しくてつい笑ってしまうけど、僕がギルに黙ってたのがいけないんだよね、

「シア・・・本当にお前がレティシアだったのか? 俺とずっと一緒に居たクリスが? 」

「うん、そうだよ、攫われたのはクリストファーなんだ。9年前のあの時、みんなを驚かせようと思って、僕達はお互いの服を入れ替えたんだ。だから、男の格好をして残った僕を、みんなクリスだと思ったんだよ。
だから、そのままクリストファーを探す為に男の振りをしてた。黙っててごめんね。」

「9年間ずっと男のフリしてたのか? 」

「うん。」

僕が頷くと、ギルは泣きそうな顔で僕を見る。

「・・・辛かっただろう、お前がどれだけ努力してきたか俺は知ってる。・・・そばに居たのに、気が付かなくてごめん・・・」

「ギルは優しいね、僕はクリスとして生きるのも楽しかったよ。もうレティシアに戻らないといけないって思うと寂しいな・・・
それに何より、ギルに出会うことが出来たんだ。レティシアとして生きてたら、きっと出会えてなかったよ? 」

僕の言葉に、ギルの表情も少し和らぐ。

「そうだな・・・シアをボコボコにしたアイツら・・・やっぱり今度出会ったら半殺しにしてやる! 」

ギルはなんか思い出したのか、密かに怒りを表している。
・・・僕がやられた時の事を思い出したのか・・・

「ギル、半殺しは怖いからやめてね? 」

「そう言えば、クラウス様は知ってたのか? 」

ギルは鋭いな・・・

「うん、いつ知ったのかは知らないけど、クラウス様から先にレティシアだよね? って言ってきた。」

「そうか・・・ 」

そう言った後、なんかブツブツと呟く。

「やっぱりあの時か・・・どうやって知った?」

ん? ギルには心当たりがあるのかな?

「あとね、カルロス様も知ってるよ。」

僕の言葉に、ギルが衝撃を受けたように僕を見る。

「カルロス様が? なんで知ってるんだ? 」

「僕が話したから。」

「なんだ、そうか・・・でも、俺より先にカルロス様に話したんだな・・・」

妙に焦ってたけど、ギルは何を想像したんだ?

「この旅について来てもらうことになった時に話したんだ。僕が女だって知ってからは丁寧に接してくれてるよ。」

「そうか、危険はなかったんだな? 」

「うん、クラウス様も守ってくれてたし・・・」

そうだ、クラウス様が守ってくれてたから僕は安心してここまで来られた。 
僕の気持ちを知った上で、ギルに話すための勇気までくれて、それでも、そばに居てくれると言ってくれた優しい人。

「どうした? 」

黙り込む僕を見て、ギルが僕の顔を覗き込んできた。
近くにある綺麗な金色色の瞳が僕を映す。

「・・・なんでもない。」

クラウス様に告白されたなんて言ったら、ギルを不安にさせちゃう。
そう思ったのに、ギルは僕の頭を撫でながら笑う。

「お前は9年間すごい事実を隠してきたのに、他の隠し事は下手くそだな。」

その手にまた安心する僕がいる。

「うるさいな、僕だって色々あるんだよ! 」

「ふーん? 色々ね・・・クラウス様と何かあったのか・・・俺、ヤキモチ焼くぞ。」

ギルのその発言に、思わず顔が火照る。
不意打ちだ。まさかギルがヤキモチなんて言うと思わなかった。

「そ、そんな変なことはしてないよ! 」

焦る僕の頬を、ギルはそっと包み込んた。

「シア・・・キスしていいか? 」

ギルに甘い瞳で見つめられてドキドキする。
ギル、どうしちゃったの?

「シアが嫌ならしない、していい? 」

そんな事聞かれると余計恥ずかしい・・・

僕は目を逸らして頷いた。
それを見て、ギルがそっと唇を重ねた。
最初は優しく、触れるだけのキスを何度もくれた後、深く唇を重ねた。




    
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