侯爵令嬢は弟の代わりに男として生きることを決めました。

さらさ

文字の大きさ
78 / 88

78話 また逢う日まで【 最終話 】

しおりを挟む



「シア、ドレス似合ってる。髪も長いと綺麗だね。」

僕は準備をクリスに手伝ってもらって、ドレス姿になっていた。
ドレスと言っても、旅をするので、丈はふくらはぎくらいで短めだ。

「これで戦えるかな・・・」

「シアは戦う必要ないでしょ、カルロス様のあの強さなら洞窟も抜けられるはずだよ? 」

クリスの言葉に、カルロス様とクラウス様も頷く。

「姫は俺達が守るから任せろ。」

・・・なんか急に女扱いされても戸惑う。

「僕そんなに弱くないよ? 僕も戦えるんだけど・・・」

「今から自分が女だって事に慣れとかないと、大変だよ? 」

クリスの言葉に、そうかと納得してしまう。

「まぁ、シアには見てるだけなんて出来ないだろうから、一応動けるドレスは選んだつもりだけど、無茶はしないでね。」

「うん、ありがとう。」


「レティシア・・・? 」

ギルの声に振り向くと、ギルはレイに肩を貸してもらって立っていた。

「ギル 」

僕がギルの元に駆け寄ると、ギルが照れたように僕を見る。

「シア・・・髪と服だけでこんなに変わるなんて・・・本当に綺麗だな。」

「ありがとう。」

ギルに褒めて貰うとなんか照れる。
でも、一番嬉しい。

「ギルとはここでお別れだね・・・」

ギルはまだ身体が不自由だから、洞窟の入口まで見送りに来てくれるクリスとレイとは一緒に来られない。
とても寂しいけど、一生会えなくなるわけじゃない。
笑顔で「またね」って言うんだ。

「ギルが嫌でないなら、俺がお姫様抱っこで洞窟まで連れてってやるぞ? 」

レイの言葉に、ギルは微妙な顔をする。

「いや・・・お姫様抱っこはさすがに・・・それなら背負って行ってくれないか? 」

ギルもきっと見送りに来たいんだという気持ちは伝わる。
少しでも長く一緒に居たい。

「男を背負うのは嫌なんだが・・・クリスがお願いって目で訴えてるからしょうが無い。連れてってやるよ。」

「ありがとう。」

レイは僕の横で目で訴えているクリスに負けたみたいだ。

「「レイ、ありがとう。」」

僕とクリスは声を揃えてお礼を言った。



僕達はみんな揃ってお城を出ると、馬で洞窟近くまで移動した。
馬を降りてからしばらく歩いた所に入口がある。

「魔王陛下! 」
「クリストファー様!」

2人の登場に、洞窟近くで見張りをしていた兵達がおどろいて一斉に話しかけてくる。

「任務ご苦労。お前達が居てくれるから助かる。」

レイがそう言うと、みんな嬉しそうだ。
こんなに優しい魔王様なら下で働きたいって人多そうだよね。

「みんな、僕が居なくてもちゃんと仕事してくれるから助かるよ。」

「とんでもございません! クリストファー様が城からでも指示を出して下さるので私達は動けるのです。」

兵達の言葉に、そう言えばここはクリスが守ってるって言ってたのを思い出した。
そうか、ここの兵隊さん達はクリスの部下なのかな?

みんな、髪の短いクリスに少し戸惑っているみたいだけど、口には出さないね。
そして、僕をちらちらと見てる。

「あの・・・クリストファー様、そちらの方は? 」

1人が勇気を振り絞って僕の事を尋ねてきた。

「ああ、彼女は僕の双子の姉だよ、よく似てるだろ? 」

クリスは本当に、綺麗に笑うな・・・兵達が顔を赤らめてる。

「そうでしたか、よく似ていらっしゃるので、もしかしたら・・・と思いました。」

兵隊さん達は納得したようだけど、今度はレイに背負われるギルを見てる。

確かに・・・魔王に背負われるギルって何者? って思うよね・・・
その様子を見てクリスはくすくすと笑っている。

そんな和やかな雰囲気に、似つかわしくない荒々しい声が飛び込んできた。

「レイグランド! こんな所まで出てくるとは!お前を魔王の座から引きずり下ろしてくれる!」

突然背後に100人ほどの軍隊が押し寄せてきていた。

「ちっ、レジスタンス・・・こんな時に・・・」

クリスが珍しく舌打ちした。
そして、その場に居た全員が剣を抜き臨戦態勢になった。
唯一、レイに背負われたギルだけはそのままだけど・・・ギルを守らなきゃ。

そう思っていると、ギルがレイに話しかける。

「俺を降ろしてくれ! レイが戦えないだろう! 」

どうやら、レイはギルを降ろす気はないらしく、平然とたっている。
そして、レジスタンスに向かって話しかけた。

「今日は大事な日なんだ、邪魔してくれるな。」

「何が大事だ! そんな事俺たちは知ったこっちゃねー! 」

「邪魔をすると言うなら消えてもらう。」

そう言うのと同時に、レイの手から凄い竜巻が起こった。
驚いている間に、竜巻はレジスタンスを飲み込んで遥か彼方に消えてしまった。

レイの圧倒的な力に、僕達は何が起こったのか状況が呑み込めないまま、あっけに取られて見ていた。

「さすがレイ、僕の出番はなかったね。」

クリスの言葉に、みんなが我に返った。

「とてつもなく凄い力だな。」

カルロス様の表情は笑顔だけど、額に冷や汗が光っている。
僕も、優しいレイが味方でよかったと思った。


イレギュラーはあったけど、僕達は予定通り、洞窟の前で別れた。

「クリス、元気でね。」

「うん、レティシアも。」

「ギル、待ってるから、必ず帰ってきてね! 」

「ああ、必ず戻る。」

一生の別れじゃない。2人はここで生きてる。だから泣かない。
また会える。

僕は2人に抱きつくと、頬にキスをして笑顔を向けた。

「じゃあ、またね! 」




ーーーー  end ーーーー


ここまでお付き合い頂きましてありがとうございました。
至らぬ点が多々あったと思いますが、暖かく見守って頂き感謝でいっぱいです。

クリスとレイの物語は頭の中にあるのですが・・・完全にBLなので書くか思案中です。

ここまでたくさんの応援を頂きまして本当に励みになりました。
ありがとうございました。

また、たくさんの方に読んでいただけた事を、心より感謝致します。

~~~月野さらさ~~~

    
しおりを挟む
感想 58

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

【完結】公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

処理中です...