12 / 71
12話 レオンハルト様、それは・・・
しおりを挟む・・・今、なんて言った?
「君のことが好きなんだ 」
相変わらず頬杖をつきながら優しい眼差しでもう一度繰り返すレオンハルト様。
ちょっと待って、これは一体どういう状況?
「またまたご冗談を、からかわないでくださいよ 」
なんだかよく分からないけど、この状況はまずい。イケメンにこんなこと言われたら勘違いしそうになるけど、こんな簡単に好きって言っちゃうとか、絶対あちこちでそんなこと言ってるんだわ。言い慣れてる感じだもの。
それに、私はあなたに関わる気は無いのよ。
とはいえ、突然の告白に動揺してあたふたと挙動不審な動作を取ってしまう。
そんな私を見て、レオンハルト様はくすくすと笑う。
「ごめん、冗談だよ 」
「は? 」
また思いもよらない発言に、私の思考は暫く停止する。
・・・・・・冗談? からかったって事?
思考が回復するとレオンハルト様の言葉を冷静に解析している自分がいた。
時間にしてわずかな時間だったと思うけれど、レオンハルト様を見ると、相変わらずの柔らかな笑顔で私を見つめている。
「ごめんね、君があまりにも面白くて・・・じゃなかった、可愛くて 」
レオンハルト様・・・面白いって本音言っちゃってますよ。これは怒っていい所よね!
「面白いってどういう事ですか! 」
「ぷっ、いや、ごめん、つい 」
また笑った、ついって何!?
「レオンハルト様! 」
「ああ、ごめん、本題に入るよ 」
「本題? 」
レオンハルト様は目尻に溜まった涙を細くて長い綺麗な指で拭いながら真顔に戻る。
涙が出るほど笑われた私って・・・
「エリシア嬢は本を読むのが好きだよね 」
「ええ 」
レオンハルト様が、何故それを知ってるのか少し気になるけど、多分お兄様にでも聞いたんでしょうね。
「閲覧禁止区域の本は面白かった? 」
「はい、まだまだ読みたいものが沢山ありますわ 」
「そんなに読みたいものが沢山あった? 」
「ええ、この部屋の本を全て読んでみたいと思いましたけど、今日一日では全然足りませんでしたわ 」
本の話をされてつい浮かれてそう言った後で気が付いた。これって、なんか誘導されてる?
何となくそんな気がしてレオンハルト様を見ると、レオンハルト様は意味ありげにくすっと笑う。
「じゃあ、明日も来ていいよ 」
「え? 本当ですか? 」
私は思わず立ち上がってレオンハルト様に詰め寄っていた。
「うん、なんならフリーパスをあげようか? 」
フリーパス? なんていい響き!
「本当ですか? 嬉しいです!・・・・・・けど、そんな美味しい物を前にぶら下げる理由は何ですか?何かあるんですよね? 」
めちゃくちゃ嬉しいけど、そんな美味しい話がそうそう転がってる訳が無い。
思わず浮かれてしまったけれど、何か裏があるに違いない。そう思ってレオンハルト様を疑いの眼差しで見る。
「ふふっ、エリシア嬢のそういう所好きだよ 」
「は? 」
またこの人は何を言っているのかしら・・・
「エリシア嬢の勘のいい所、好きだな 」
「・・・てことは、やっぱり何かあるんですね? 」
「うん、何時でもここに来て好きなだけ本を読んでもらっていい代わりに、私のお願いを聞いて欲しいんだ 」
お願い・・・とても嫌な予感しかしない。聞くべきじゃない。
「お願い・・・とは? 」
「実は近々隣のディアルド王国の第三王子の結婚式に国の代表として出席することになっているんだ 」
「まぁ、そうなんですね 」
それと何か関係があるのかしら?
「そこでこのフリーパスと引き換えにお願いなんだけど、エリシア嬢にも私と一緒にディアルド王国に行って欲しいんだ 」
そう来たか、でも、一緒にって事は侍女が足りないのかしら? それくらいなら・・・いやいや、それでもレオンハルト様の近くに居ることには変わりないのよ、クリスティーナ様になんと言われるか、せっかく仲良くなったのに、疑われる行動は避けなくちゃ。
「レオンハルト様、申し訳ございません。そのお申し出はお受け出来ません 」
ここの本を自由に読めるのはとっても魅力的なんだけど、私の人生と天秤にかけたらどっちが優先かなんて分かりきってる。・・・とってもとっても後ろ髪引かれるんだけど、最後にギャフンされるのは嫌だもの。
危険には近寄らないのが一番なのよ!
「これ、特別に作ったからエリシア嬢に限りここの本を持ち出す権利も加えてあるんだけどな・・・ 」
「え? 持ち出してもいいのですか? 他な方が見るかもしれませんよ? 」
「エリシア嬢はそんな事はしない。真面目な性格だって私は知ってるよ、それに、大切な知識を軽々しくひけらかしたり、言いふらしたりする人じゃないと思ってる。だからここの閲覧も許可したんだよ 」
レオンハルト様のその私への信頼は何なのかしら、信用してもらえるのは嬉しいし、持ち出しもいいと言われると、ますます欲しい・・・
21
あなたにおすすめの小説
【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?
はくら(仮名)
恋愛
ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。
※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる
湊一桜
恋愛
王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。
森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。
オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。
行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。
そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。
※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!
碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった!
落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。
オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。
ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!?
*カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
追放された悪役令嬢は貧乏になっても図太く生きますわ!
ワールド
恋愛
貴族の娘として生まれた公爵令嬢クラリッサ。
陰謀の濡れ衣を着せられ、華やかな社交界から追放――そして辿り着いたのは、ボロ小屋と畑だけの辺境村!?
「結構ですわ! 紅茶がなければハーブティーを淹れればいいじゃありませんの!」
貧乏生活でも持ち前の図太さで、村の改革に乗り出すクラリッサ。
貧乏でも優雅に、下剋上でも気高く!
そんな彼女の前に現れたのは、前世(王都)で彼女を陥れた元婚約者……ではなく、なぜか彼の弟で村に潜伏していた元騎士で――?
「俺は見てた。貴女の“ざまぁ”は、きっとまだ終わっちゃいない。」
ざまぁとスローライフ、そしてちょっとの恋。
令嬢、辺境で図太く咲き誇ります!
単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?
甘寧
恋愛
婚約破棄したい令嬢が、実は溺愛されていたというテンプレのようなお話です。
……作者がただ単に糸目、関西弁男子を書きたかっただけなんです。
※不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる