こんなスパダリが義弟のワケない

筒井

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19.今の家庭と未来の自分

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 先日提出した進路希望調査票に、俺は進学希望の旨を書いた。そして『絶対に奨学生枠で入れる私立大学希望』とも念を押した。奨学生枠での入学となると、俺の学力からはふたつはランクを落とさなくてならない。けれど、やっぱり学費が両親の負担になることは避けたかった。

 良い職に就くには良い大学に入ることが必須とされている現代だが、エンジニアなど手に職をつけられる方面なら必ずしもその限りではないと進路指導に言われ、数学は得意だったので理系を志望した。今のクラスも理系進学クラスだ。

(俺はゲイだし、孫の顔を見せるとか、そういう普通の子どもとしては親孝行してやれない。だったらせめて、金の心配だけはさせたくないよな)

 これは自分の性自認を確信した時から変わらない、唯一の信念だった。





「ただいまあ」
「おかえりなさい、誠二さん」
「あれ? 今日は六限まで授業ないのか?」
「オレ文系クラスですから、月曜は五限までです」
「あー……そっか」

 うちの学校は二年に進級する際、文系と理系の進路によってクラスが分けられる。さらに三年に進級するときは文系、文理系、理系、といった具合だ。

(文系クラスに友達いなかったから全然知らなかったな)

「剛さん、今夜もちょっと遅くなるそうですけど、夕飯三人で食べます?」
「ああ、ちょっとくらいなら待とうぜ」
「……そう言うと思って、つなぎにパンケーキ焼いたんで食べてください」

 じゃんっとテーブルの上に置いてあるのを見せられたパンケーキは、高円寺あたりのカフェで出されそうなほど本格的なものだった。

「いつも思うんだけどさあ、お前こういうの、どこで調べてくるの?」
「え? スマホで適当にレシピ検索して……」
「……俺がそれやっても、技術が追いつかねえよ……」
「そんなことないですって、誰にでも出来ますよ」

 にこにこと笑っている秀一は本気でそう思っているようだ。

(デキる奴もここまでくると怒る気も起きないわー……)
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