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22.ノーマネーノーライフ
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「そういえば、休み中の夏期講習、申し込んだか?」
受験で思い出したが、うちの学校はそこそこの進学校であるため、夏休み中に希望者のための夏期講習が実施される。学習塾の夏期講習より割安なので、毎年競争率が高い。もちろん俺も希望者の一人だ。
「うーん……塾の夏期講習と悩んでるんですよね」
「えっ、塾の夏期講習って高いだろ。何万もするよな?」
「そうなんですけど……やっぱり受験専門の学校の講義っていうのも興味あって」
「まあ……それはわかるけど、俺はやっぱり安さ優先だなー」
「……あの、訊いてもいいですか」
「何?」
ここ一ヶ月でわかるようになった『言いづらいことを口にするときの顔』で、秀一はおずおずと訊ねてきた。
「剛さんから聞いたんですけど、誠二さん、修実大学が第一志望だって……」
「うん」
「誠二さんならもっとランクの高い大学も狙えるんじゃないですか? 確かに修大は家からも近いですけど……」
「ああ。俺の大学志望理由は『家から通える』、『奨学生枠に絶対入れる』だから」
「……それは、学費の問題ですか?」
「それ以外に何があるよ」
確かに、よりレベルの高い大学を受験したいという気持ちが無いわけではない。けれど大学は受験するだけでも金がかかる。実力ギリギリの大学を受けるとしたら滑り止めの大学も受けなければならない。そういったことに金を使うのすら、俺にはためらいがあった。
「だったら国公立はどうですか? 無料とはいかなくても、だいぶ学費安くなりますよね」
「ダメ。うちから通える圏内にないから一人暮らししなきゃいけないし。大学生になってバイト始めたら家に金入れるって決めてんの」
「そう、ですか……」
「……なに、なんか納得できない?」
秀一はいまいち不服そうな表情だ。
「納得できないっていうか……もちろん剛さんに迷惑かけたくないっていう誠二さんの気持ちは偉いと思うんですけど、十八そこらで進路を狭めるのってもったいなくないですか?」
「はあ?」
甘っちょろいことをいう秀一にカチンときて、俺はつい不機嫌な声を上げてしまった。
「そういうことを言えるのは普通の奴だけなの。俺みたいなのはとにかく親に迷惑かけないのが一番」
「……俺みたいなのってなんですか。誠二さんは真面目だし、むしろ優等生じゃないですか」
「そういうことじゃなくて……」
思わず「普通の性癖の奴に何がわかるんだよ」と口元まで出かかって、ぐっとその言葉を飲み込む。
(こんなころでケンカするのもバカらしい。秀子さんのためにも、こいつとは兄弟として上手くやっていきたい)
「……もうこの話題はおしまい。まあ二年生のうちから受験について考えてるお前も十分偉いと思うぜ」
あからさまな逃げ口上だったが、秀一はそれ以上ツッコんではこなかった。
受験で思い出したが、うちの学校はそこそこの進学校であるため、夏休み中に希望者のための夏期講習が実施される。学習塾の夏期講習より割安なので、毎年競争率が高い。もちろん俺も希望者の一人だ。
「うーん……塾の夏期講習と悩んでるんですよね」
「えっ、塾の夏期講習って高いだろ。何万もするよな?」
「そうなんですけど……やっぱり受験専門の学校の講義っていうのも興味あって」
「まあ……それはわかるけど、俺はやっぱり安さ優先だなー」
「……あの、訊いてもいいですか」
「何?」
ここ一ヶ月でわかるようになった『言いづらいことを口にするときの顔』で、秀一はおずおずと訊ねてきた。
「剛さんから聞いたんですけど、誠二さん、修実大学が第一志望だって……」
「うん」
「誠二さんならもっとランクの高い大学も狙えるんじゃないですか? 確かに修大は家からも近いですけど……」
「ああ。俺の大学志望理由は『家から通える』、『奨学生枠に絶対入れる』だから」
「……それは、学費の問題ですか?」
「それ以外に何があるよ」
確かに、よりレベルの高い大学を受験したいという気持ちが無いわけではない。けれど大学は受験するだけでも金がかかる。実力ギリギリの大学を受けるとしたら滑り止めの大学も受けなければならない。そういったことに金を使うのすら、俺にはためらいがあった。
「だったら国公立はどうですか? 無料とはいかなくても、だいぶ学費安くなりますよね」
「ダメ。うちから通える圏内にないから一人暮らししなきゃいけないし。大学生になってバイト始めたら家に金入れるって決めてんの」
「そう、ですか……」
「……なに、なんか納得できない?」
秀一はいまいち不服そうな表情だ。
「納得できないっていうか……もちろん剛さんに迷惑かけたくないっていう誠二さんの気持ちは偉いと思うんですけど、十八そこらで進路を狭めるのってもったいなくないですか?」
「はあ?」
甘っちょろいことをいう秀一にカチンときて、俺はつい不機嫌な声を上げてしまった。
「そういうことを言えるのは普通の奴だけなの。俺みたいなのはとにかく親に迷惑かけないのが一番」
「……俺みたいなのってなんですか。誠二さんは真面目だし、むしろ優等生じゃないですか」
「そういうことじゃなくて……」
思わず「普通の性癖の奴に何がわかるんだよ」と口元まで出かかって、ぐっとその言葉を飲み込む。
(こんなころでケンカするのもバカらしい。秀子さんのためにも、こいつとは兄弟として上手くやっていきたい)
「……もうこの話題はおしまい。まあ二年生のうちから受験について考えてるお前も十分偉いと思うぜ」
あからさまな逃げ口上だったが、秀一はそれ以上ツッコんではこなかった。
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