こんなスパダリが義弟のワケない

筒井

文字の大きさ
23 / 33

23.謎の黒塗り高級車

しおりを挟む
 それから数日後、帰りのホームルームを受けていると急に豪雨が降り出した。

(ゲリラ豪雨かよ、ツイてねえ……。今日は夕食当番だから早く帰りたかったのに)

 突然のことなのでもちろん傘なんて持ってきていない。終礼が鳴り、のろのろと俺は昇降口まで階段を下りた。

(すぐ止むとは思うけど、しとしと降りに移行したらやっかいだな……)

 いっそ強行突破で帰るか、と下駄箱を開いて、俺は目を丸くした。折り畳み傘が入っていたからだ。見覚えのある青い傘にはメモ書きつきの付箋が貼ってあった。

『使ってください。オレは迎えが来るので大丈夫です』

(あいつめ……どこまでスパダリ発揮するんだよ……)

 メモ書きに名前はなかったが、秀一の傘ということは明らかだった。
 しかしふと『迎え』という単語が気になった。

(まさか適当な女呼び出して迎えに来させたとか……! ……いや、そんなことアイツはしないか)

 さっぱり見当がつかないながらもありがたく傘を使わせてもらおうと玄関に向かうと、数人の女子たちが固まってキャーキャーと話していた。校章の色からして二年生だ。

「……でね、高級そうな車が停まってるなーって思ってたのね」
「えーっ! まさかついに!?」
「そのまさか! 高城くんが乗り込んでったの!」
「やだぁ! 絶対芸能事務所じゃんっ!」

(はぁっ!?)

 不意に出てきた名前に、内心で激しく動揺した。

(迎えって……芸能事務所のか!? そりゃ声かけられてるって話は聞いたことあったけど……)

 それでも今までは「学業優先」と断ってきたらしいし、数日前に進路について話したばかりだ。あまりの急展開に、真相を確かめようと俺はスマホを取り出した。

『傘サンキュ。ところで今どこにいる?』

 メッセージを送信するも、なかなか既読の表示がつかない。授業中以外は即レスの男だったので、疑念は募るばかりだ。

 結局それから二時間ほど経ってから『返信遅れてごめんなさい。いま青山で、すぐ帰ります』とレスポンスがあった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

弟と妹より劣る僕が自信家を演じてたら、部下にバレた件

ゆきりんご
BL
【重い感情を隠している年下敬語攻め×自己肯定感低い年上受け】 イリアスは職場で「優秀で顔もそこそこ良くて頼りになる上司」を演じているが、本当は自信がない。付き合っていた相手に振られることが続いてさらに自信をなくした。自棄になろうとしていたところを、気になっていた部下に止められて、成り行きで体の関係を持つことになり……?

【書籍化決定/完結】カメラ越しのシリウス イケメン俳優と俺が運命なんてありえない!

野原 耳子
BL
★執着溺愛系イケメン俳優α×平凡なカメラマンΩ 平凡なオメガである保(たもつ)は、ある日テレビで見たイケメン俳優が自分の『運命』だと気付くが、 どうせ結ばれない恋だと思って、速攻で諦めることにする。 数年後、テレビカメラマンとなった保は、生放送番組で運命である藍人(あいと)と初めて出会う。 きっと自分の存在に気付くことはないだろうと思っていたのに、 生放送中、藍人はカメラ越しに保を見据えて、こう言い放つ。 「やっと見つけた。もう絶対に逃がさない」 それから藍人は、混乱する保を囲い込もうと色々と動き始めて―― ★リブレ様にて紙書籍・電子書籍化が決定しました! 応援してくださった皆様のおかげです! 本当にありがとうございます! 発売日などの詳細は、決まり次第、作者のXや近況ボードなどでご報告させていただきますのでお待ちいただければ幸いです。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。

志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。 美形×平凡。 乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。 崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。 転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。 そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。 え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。

オメガ転生。

BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。 そして………… 気がつけば、男児の姿に… 双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね! 破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!

処理中です...