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女中見習い 第4話

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部屋の前につき、私は障子越しに神楽さんに声をかける。

「すみません、神楽さんいらっしゃいますか?」

「……どうぞ」

中から神楽さんの声が聞こえる。やはり自室にいらっしゃったみたいで無駄足にならずに済んで良かった。いつもより冷たい声色で少しドキッとしてしまう。

障子を横に開くと、神楽さんは筆を持ちながら半紙とにらめっこをしていた。なにやら難しそうな文字が沢山書かれている。やはりお仕事が忙しかったようだ。

「桃子だったか。向かい入れず、すまない。」

「いえ、むしろお忙しいところすみません。神楽さんがお昼に来られていないみたいだったので、お節介して定食を持ってきちゃいました。」

「いや、助かったよ……行こうと思ったんだが、ひと段落してから……と考えるうちにこの様だ。……桃子は気が利くな。」

「そ、そんなことはないです!大した事でもないですし。」

神楽さんたら、そんなカッコいい顔で優しい表情されたらドキドキしちゃいます!私は赤くなりそうな顔をなんとか誤魔化す。

空いている台の上へお食事を置き、私は神楽さんのお茶の準備をする。

「そういえば女中としての仕事はどうだった?」

「なんとかって感じですね。まだまだ慣れないので、覚えるのに必死ですけど、皆さんお優しいので、どうにかやっていけそうです!」

対馬隊長がいたのは予想外だったが、花ちゃんや他の女中さん達も優しく教えてくれ、なんとか炊事場での仕事はやっていけそうだと感じている。

「そうか、それは良かった。劉紀とも心配していたんだ。まだこちらの生活に完全になれた訳でもないのに、手伝いをさせてよいものかと。」

「むしろ、何もないより、何かお仕事があった方が助かりますし、働かせて頂けるだけありがたいです。」

「それは良かった。後ほど総長にも報告しておこう。」

神楽さんは、私と話しながらも次々とお料理を口に運び、沢山あった食事を数分で平らげてしまった。すごい早食いだなぁ、その上、上品に食べるし、それほど忙しいことが身に染みて慣れているんだわ。

神楽さんはとても忙しそうなので、食事が終わり次第、私は早々にお盆と共に神楽さんの部屋から引き下がった。私もお腹へっちゃたなぁ。もう皆食べ終わってたりして。私も早くご飯を食べちゃわないと。
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