夢の続きを、あなたと

小田恒子

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第5章

雨の向こうに見えたもの 1

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 雄馬の言葉の通り、アトリエの外に出ると、雨が降っていた。
 スマホを取り出して天気予報と雨雲レーダーをチェックすると、雨は当分止みそうにない。油断すれば、雨脚は強まる一方だ。
 これは素直に言うことを聞いて車で送ってもらうしかないと思った私は、雄馬が入口に車を回してくるのを待った。

 アトリエは中から施錠をして、雄馬は裏口から駐車場へ向かったようだ。
 軒先で雨宿りをしていると、昨日ここへ到着した時のことを思い出す。
 少しして、雄馬の車がアトリエの正面入口前に横付けにされた。

 車はワンボックスの普通車だ。こんな大きな車に乗るのは、きっと家具の材料などを運搬するのに役立つからだろう。

 助手席のドア開き、私は急いで車に乗り込んだ。
 車のドアを閉めた後、シートベルトを締める時に後部座席に視線を向けた。案の定、後部座席は自宅でも家具作りの作業をしているのか、材木や他の資材が積んである。

「よし、じゃあ行くぞ」

 雄馬はそう言うと、車を走らせた。
 
 さっきより少し、雨脚が強くなってきた気がする。
 雄馬は車のライトをハイビームにして視界を確保しながらゆっくりと車を走らせる。

「家はどこ? この調子だと、駅まで送っても、最寄駅から自宅に帰る間に濡れてしまうから、家まで送る」

 雄馬のありがたい申し出に、私は自宅の場所を伝えた。
 そこは、私が専門学校に通っていた時からずっと住んでいた場所だ。雄馬も私と付き合っていた頃に何度か泊まりに来たことがある。

「まだ、あそこに住んでいたんだな」

「うん、就活で今の会社に採用された時、通えなくもない距離だったからね」

 雄馬との思い出がたくさん残るあの部屋に、私がまだ住んでいると思わなかったのだろう。正面を見ていても、声色でわかる。
 
「ただ、卒業と同時に作業道具は処分しちゃったんだ。いつまでもあの頃のままとはいかないね」

 私の言葉に、雄馬は「そっか」と返事をする。
 それから私の自宅に到着するまでお互い無言のままだった。

 車が自宅近くのコンビニに差し掛かった時、雄馬が車をコンビニの駐車場に停めた。

「あ、聞こうと思って忘れてた。連絡先って、あの頃のまま変えてない?」

 雄馬の問いに私は首を縦に動かした。
 
「うん。雄馬は私の連絡先、ブロックして削除しちゃってるかもだけど、あの頃のままだよ」

「俺も、連絡先変えてない。美月こそ、俺の連絡先なんてブロックして削除してるだろうけどな」

「じゃあ、改めて連絡先交換しようか」

「そうだな」

 連絡先をブロックしていたことが露呈してしまったけれど、お互いさまということで、私たちはスマホを取り出し、改めて連絡先を交換した。

「アパートの前、狭いからここでいいよ」

 相変わらず雨脚は強いけど、アパートはすぐそこだ。多少濡れてもすぐにシャワーを浴びれば風邪を引いたりすることはない。
 それに、雄馬の車は大きいので、アパートの前で車を切り返すスペースがない。雄馬は最初、けげんな表情を浮かべていたけれど、アパートの立地場所のことを思い出したのだろう。すぐに納得してくれた。

「振り返らず、すぐにアパートへ向かえよ」

「わかった、ありがとう」

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