10 / 15
第三章
1
しおりを挟む
翌朝、いつもと同じ時間に目覚めた私は、軽く身支度を整えてから、朝食の支度をすべくキッチンへと向かった。瑠璃はまだ眠っている。
私は瑠璃を起こさないよう、極力物音を立てないよう気を付けながら、キッチンでお湯を沸かした。
瑠璃が二日酔いだった場合のことを考えて、昨日コンビニでインスタントのしじみ汁を買っていた。
朝食用にパンを買っていたけれど、二日酔いだったらそれを食べられるだろうか。雑炊でも作ったほうがいいかもしれない。
炊飯器の中に米は残っていない。私は米をとぎ、炊飯器にセットすると炊飯ボタンを押す。
できるだけ物音を立てないように気を遣っていても限度がある。生活音に瑠璃が反応し、目覚めたようだ。
「おはよう……」
背後から聞こえる瑠璃の声のトーンが低い。
起き抜けだから仕方ないと思うけれど、振り向いて瑠璃の表情を見れば、顔色が悪いししんどそうだ。やっぱりこれは二日酔い確定だ。
「おはよう。しじみの味噌汁飲むよね? インスタントでごめんだけど」
「うん、飲む……」
「了解。じゃあこれ、飲んで。それから、昨夜クレンジングシートで見えるところだけざっと化粧落としておいたけど、多分完璧じゃないから、味噌汁飲んだ後にシャワー浴びておいで」
これじゃまるでお母さんだよなと思いながらも、甲斐甲斐しく瑠璃の世話を焼いた。
「他に何か食べる? 少し待ってくれたらご飯が炊けるから、雑炊もできるけど」
味噌汁の入ったお椀をテーブルへと運ぶと、瑠璃に掛けていた毛布を回収する。これも後で外干しだなと思いながら、邪魔にならないよう毛布をたたんだ。
「うん、雑炊食べる……」
しんどそうだけれど、食欲があるなら大丈夫だろう。
「了解、じゃあ早速味噌汁飲んで、シャワー済ませておいで。その間に雑炊作っておくよ」
私の言葉に、瑠璃が素直に従った。
瑠璃は、時間をかけてゆっくりと味噌汁を飲み、私の言葉に従ってシャワーを浴びに浴室へと向かった。
私は瑠璃がシャワーを浴びている間に片付けを済ませ、炊飯器の米が炊けるまでの間、スマホを手に取った。
玲央からの連絡はない。そのことにホッとする反面、ちょっとだけ寂しいけれど、寂しいと思う感情は、今後抱かないよう胸の中に封印しなければ。
スマホを置き、炊飯器のアラームが鳴るまでに下準備をした。
シャワーを済ませた瑠璃にドライヤーで髪を乾かすよう伝えると、その間に雑炊を作る。めんつゆを使う簡単なものだから、そこまで時間はかからない。瑠璃が戻ってくるまでに、器に雑炊をよそって瑠璃に食べさせる準備をする。
グラスに氷水を用意して、瑠璃が戻ってくるのを待った。
私は瑠璃を起こさないよう、極力物音を立てないよう気を付けながら、キッチンでお湯を沸かした。
瑠璃が二日酔いだった場合のことを考えて、昨日コンビニでインスタントのしじみ汁を買っていた。
朝食用にパンを買っていたけれど、二日酔いだったらそれを食べられるだろうか。雑炊でも作ったほうがいいかもしれない。
炊飯器の中に米は残っていない。私は米をとぎ、炊飯器にセットすると炊飯ボタンを押す。
できるだけ物音を立てないように気を遣っていても限度がある。生活音に瑠璃が反応し、目覚めたようだ。
「おはよう……」
背後から聞こえる瑠璃の声のトーンが低い。
起き抜けだから仕方ないと思うけれど、振り向いて瑠璃の表情を見れば、顔色が悪いししんどそうだ。やっぱりこれは二日酔い確定だ。
「おはよう。しじみの味噌汁飲むよね? インスタントでごめんだけど」
「うん、飲む……」
「了解。じゃあこれ、飲んで。それから、昨夜クレンジングシートで見えるところだけざっと化粧落としておいたけど、多分完璧じゃないから、味噌汁飲んだ後にシャワー浴びておいで」
これじゃまるでお母さんだよなと思いながらも、甲斐甲斐しく瑠璃の世話を焼いた。
「他に何か食べる? 少し待ってくれたらご飯が炊けるから、雑炊もできるけど」
味噌汁の入ったお椀をテーブルへと運ぶと、瑠璃に掛けていた毛布を回収する。これも後で外干しだなと思いながら、邪魔にならないよう毛布をたたんだ。
「うん、雑炊食べる……」
しんどそうだけれど、食欲があるなら大丈夫だろう。
「了解、じゃあ早速味噌汁飲んで、シャワー済ませておいで。その間に雑炊作っておくよ」
私の言葉に、瑠璃が素直に従った。
瑠璃は、時間をかけてゆっくりと味噌汁を飲み、私の言葉に従ってシャワーを浴びに浴室へと向かった。
私は瑠璃がシャワーを浴びている間に片付けを済ませ、炊飯器の米が炊けるまでの間、スマホを手に取った。
玲央からの連絡はない。そのことにホッとする反面、ちょっとだけ寂しいけれど、寂しいと思う感情は、今後抱かないよう胸の中に封印しなければ。
スマホを置き、炊飯器のアラームが鳴るまでに下準備をした。
シャワーを済ませた瑠璃にドライヤーで髪を乾かすよう伝えると、その間に雑炊を作る。めんつゆを使う簡単なものだから、そこまで時間はかからない。瑠璃が戻ってくるまでに、器に雑炊をよそって瑠璃に食べさせる準備をする。
グラスに氷水を用意して、瑠璃が戻ってくるのを待った。
36
あなたにおすすめの小説
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
残業帰りのカフェで──止まった恋と、動き出した身体と心
yukataka
恋愛
終電に追われる夜、いつものカフェで彼と目が合った。
止まっていた何かが、また動き始める予感がした。
これは、34歳の広告代理店勤務の女性・高梨亜季が、残業帰りに立ち寄ったカフェで常連客の佐久間悠斗と出会い、止まっていた恋心が再び動き出す物語です。
仕事に追われる日々の中で忘れかけていた「誰かを想う気持ち」。後輩からの好意に揺れながらも、悠斗との距離が少しずつ縮まっていく。雨の夜、二人は心と体で確かめ合い、やがて訪れる別れの選択。
仕事と恋愛の狭間で揺れながらも、自分の幸せを選び取る勇気を持つまでの、大人の純愛を描きます。
冷たい彼と熱い私のルーティーン
希花 紀歩
恋愛
✨2021 集英社文庫 ナツイチ小説大賞 恋愛短編部門 最終候補選出作品✨
冷たくて苦手なあの人と、毎日手を繋ぐことに・・・!?
ツンデレなオフィスラブ💕
🌸春野 颯晴(はるの そうせい)
27歳
管理部IT課
冷たい男
❄️柊 羽雪 (ひいらぎ はゆき)
26歳
営業企画部広報課
熱い女
君色ロマンス~副社長の甘い恋の罠~
松本ユミ
恋愛
デザイン事務所で働く伊藤香澄は、ひょんなことから副社長の身の回りの世話をするように頼まれて……。
「君に好意を寄せているから付き合いたいってこと」
副社長の低く甘い声が私の鼓膜を震わせ、封じ込めたはずのあなたへの想いがあふれ出す。
真面目OLの恋の行方は?
【短編】ちゃんと好きになる前に、終わっただけ
月下花音
恋愛
曖昧な関係を続けていたユウトとの恋は、彼のインスタ投稿によって一方的に終わりを告げた。
泣くのも違う。怒るのも違う。
ただ静かに消えよう。
そう決意してトーク履歴を消そうとした瞬間、指が滑った。
画面に表示されたのは、間の抜けたクマのスタンプ。
相手に気付かれた? 見られた?
「未練ある」って思われる!?
恐怖でブロックボタンを連打した夜。
カモメのフンより、失恋より、最後の誤爆が一番のトラウマになった女子大生の叫び。
私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜
みかん桜
恋愛
身長172センチ。
高身長であること以外ごく普通のアラサーOL、佐伯花音。
婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。
「名前からしてもっと可愛らしい人かと……」ってどういうこと?
そんな男、こっちから願い下げ!
——でもだからって、イケメンで仕事もできる副社長……こんなハイスペ男子も求めてないっ!
って思ってたんだけどな。気が付いた時には既に副社長の手の内にいた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる