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第三章
蜜月 16
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「せっかくここまで来たんだし、灯台の駐車場まで行ってみよう。灯台までは行かなくても、とりあえず灯台を見て、ここまで戻るので大体二時間ちょっとなら大洲到着が十三時半だろう? そこで昼食をとって、観光後に梢子を抱きたい」
突然の爆弾発言に、私はじゃこカツを喉に詰まらせた。
盛大にむせる私の背中を千早さんがトントンと叩く。しばらくして咳が落ち着いてくると、千早さんは車から降り、自動販売機のほうへ向かって走ると少ししてペットボトルのお茶を手に、車に戻ると一本を私に差し出した。
「大丈夫か? その……、咳もだけど、身体の方も。……こんなこと聞くの、どうかなとも思ったんだけど、昨日が初めてだったんだし、あまり連れ回さないほうがいいのかなって思ったりもしてさ」
声色や表情で、私を心配してくれていることが伝わってくる。
「あの……、まだ違和感はあるんですけど……。痛いとか、そういうのではないので、歩くことについては全然問題ないです。その……、最後の言葉に驚いて」
二日連続で私のことを求めてくれるということに驚いたのだ。
それに気付いた千早さんが、私の左手に触れながらこう告げた。
「好きな子が隣にいるんだから、したくなるのは当たり前のことだろう? 本当は今も、観光よりも梢子を抱きたくて堪らないけど、一緒にいろんなところにも行きたくて葛藤してるところ」
千早さんの素直な気持ちを聞いて、気恥ずかしくなるけれど、でもその半面でとても嬉しく思った。
「でも……。その、私、そういうことをする場所って、よく知らなくて……」
車を走らせていると、ラブホテルとかいくらでもあるだろうけど、そのような行為とは縁のない生活をしていたため、どこにあるかすら知らないのだ。
特に南予方面は姉が嫁いだ内子町まではよく車で走るけれど、道路に出ている看板なんて気にしたことがない上に、こちらは滅多に車で走らないので、地理についてもからっきしだ。
私は素直にそれを告げると、千早さんはスマホを私に見せた。
「こういう時に、これが役立つだろう? とりあえず、三崎の灯台まで行って、梢子の体調を見てそこでUターンするか散策するかを決めよう。で、大洲で食事と観光して、その後は俺が運転するよ」
ここまであからさまにされると、私は開いた口が塞がらない。
ここまでされると、何も言い返せなくて、小声で「わかりました」としか言えない。
私の返事に満足したのか、千早さんは「さあ、行こうか」と笑顔になる。
私はエンジンをかけて、車を走らせた。
車は渋滞に巻き込まれることもなく、順調に進んでいる。
三崎港に到着すると、ここと大分の佐賀関を結ぶ国道九四フェリーが停泊していた。海上を通って佐賀関にわたるこのルートも国道なのだから驚きだ。
三崎港を通過して、車を灯台方面へと走らせる。
地元の人らしき車以外は走っておらず、駐車場に到着すると、ほかに車は停車しておらず私たちだけのようだ。
車の時計を見ると、当初の予定通り十一時半ちょっと前だった。
「ちょっと外に出てみましょうか。寒かったら散策はやめましょう」
駐車場の回りに、風を遮るような施設はない。三百六十度から風が吹きつける。いくらお天気に恵まれていても、潮気を含んだ海風は、とても冷たいのだ。
突然の爆弾発言に、私はじゃこカツを喉に詰まらせた。
盛大にむせる私の背中を千早さんがトントンと叩く。しばらくして咳が落ち着いてくると、千早さんは車から降り、自動販売機のほうへ向かって走ると少ししてペットボトルのお茶を手に、車に戻ると一本を私に差し出した。
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声色や表情で、私を心配してくれていることが伝わってくる。
「あの……、まだ違和感はあるんですけど……。痛いとか、そういうのではないので、歩くことについては全然問題ないです。その……、最後の言葉に驚いて」
二日連続で私のことを求めてくれるということに驚いたのだ。
それに気付いた千早さんが、私の左手に触れながらこう告げた。
「好きな子が隣にいるんだから、したくなるのは当たり前のことだろう? 本当は今も、観光よりも梢子を抱きたくて堪らないけど、一緒にいろんなところにも行きたくて葛藤してるところ」
千早さんの素直な気持ちを聞いて、気恥ずかしくなるけれど、でもその半面でとても嬉しく思った。
「でも……。その、私、そういうことをする場所って、よく知らなくて……」
車を走らせていると、ラブホテルとかいくらでもあるだろうけど、そのような行為とは縁のない生活をしていたため、どこにあるかすら知らないのだ。
特に南予方面は姉が嫁いだ内子町まではよく車で走るけれど、道路に出ている看板なんて気にしたことがない上に、こちらは滅多に車で走らないので、地理についてもからっきしだ。
私は素直にそれを告げると、千早さんはスマホを私に見せた。
「こういう時に、これが役立つだろう? とりあえず、三崎の灯台まで行って、梢子の体調を見てそこでUターンするか散策するかを決めよう。で、大洲で食事と観光して、その後は俺が運転するよ」
ここまであからさまにされると、私は開いた口が塞がらない。
ここまでされると、何も言い返せなくて、小声で「わかりました」としか言えない。
私の返事に満足したのか、千早さんは「さあ、行こうか」と笑顔になる。
私はエンジンをかけて、車を走らせた。
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「ちょっと外に出てみましょうか。寒かったら散策はやめましょう」
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