78 / 124
第五章
結婚への階段 2
しおりを挟む
翌朝、少し寝坊した私たちは、チェックアウトの時間までホテルでゆっくり過ごした後、ご当地グルメを堪能した。
今治焼豚玉子飯のお店は、お昼になると行列ができるため、少し早めに店の前に並んだ。
ごはんの上に焼き豚、半熟卵をのせ、コショウと甘辛いタレが掛かっている。具材はシンプルだけど、全てが絡み合うその美味しさに、私たちは舌鼓を打つ。
食事を済ませた私たちは、今治タオル美術館を訪れた。その後はショッピングモールへ行って、ウインドウショッピングを楽しんだ。
その時千早さんが、ふと私の左手を見た。
「梢子、指輪、つけないの?」
「えっと……、あれ、めちゃくちゃ高価なものでしょう? 普段使いにするにはもったいないし、傷がついたら大変なので……」
昨日、千早さんから贈られた婚約指輪は、きっと私の想像をはるかに超える金額だ。そんな高額なものを身につけていると、落としたり傷をつけたりするとショックで立ち直れそうにない。
私の気持ちを理解した千早さんは、ショッピングモール内にあるジュエリーを取り扱う店に行こうと私を誘う。
「じゃあ、安価なものだったら、つけてくれるってことだよな?」
そう言って、デザインのかわいい指輪を買ってくれた。
小さな石のついたその指輪は、すんなりと私の指に馴染む。
「じゃあ、結婚するまではこの指輪をここにつけてね」
半ば強引に約束をさせられて私は頷くと、その後の行動を考えて、今治を後にした。
松山市内に戻って夕食をとり、ガソリンスタンドでガソリンを満タンにしてレンタカーを返却すると、私たちは空港ビルへ向かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。こうして千早さんを見送る時が、とても寂しく思える。
二人並んで二階へ上がり、出発ロビーで別れを惜しんだ。
いつものように出発時眼ギリギリまで一緒に過ごしていると、千早さんが不意に私の左手を掴んだ。
「これからは、これがお守りだから。俺がそばにいられない時、これが梢子を守ってくれると信じてる。……こんなこと言うのカッコ悪いとは思うけど、メッセージのやり取りって、いつも俺から送ったものに返信だろう? 梢子から、ってのがなかったからすごく不安だったんだ。だからこそ、これは肌身離さずつけておくこと、約束だよ」
左手の薬指には、先ほど千早さんから贈られた指輪が輝いている。
「はい、大事にします。それから、メッセージのやり取りのこと、ごめんなさい。私、全然そんなつもりはなくて、メッセージを送ろうと思っていたタイミングでいつも千早さんからメッセージを受信していたので……。甘えてしまってごめんなさい」
私の言葉を聞いて、千早さんがホッとした表情を見せたかと思うと不意に私を抱きしめた。
今治焼豚玉子飯のお店は、お昼になると行列ができるため、少し早めに店の前に並んだ。
ごはんの上に焼き豚、半熟卵をのせ、コショウと甘辛いタレが掛かっている。具材はシンプルだけど、全てが絡み合うその美味しさに、私たちは舌鼓を打つ。
食事を済ませた私たちは、今治タオル美術館を訪れた。その後はショッピングモールへ行って、ウインドウショッピングを楽しんだ。
その時千早さんが、ふと私の左手を見た。
「梢子、指輪、つけないの?」
「えっと……、あれ、めちゃくちゃ高価なものでしょう? 普段使いにするにはもったいないし、傷がついたら大変なので……」
昨日、千早さんから贈られた婚約指輪は、きっと私の想像をはるかに超える金額だ。そんな高額なものを身につけていると、落としたり傷をつけたりするとショックで立ち直れそうにない。
私の気持ちを理解した千早さんは、ショッピングモール内にあるジュエリーを取り扱う店に行こうと私を誘う。
「じゃあ、安価なものだったら、つけてくれるってことだよな?」
そう言って、デザインのかわいい指輪を買ってくれた。
小さな石のついたその指輪は、すんなりと私の指に馴染む。
「じゃあ、結婚するまではこの指輪をここにつけてね」
半ば強引に約束をさせられて私は頷くと、その後の行動を考えて、今治を後にした。
松山市内に戻って夕食をとり、ガソリンスタンドでガソリンを満タンにしてレンタカーを返却すると、私たちは空港ビルへ向かった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。こうして千早さんを見送る時が、とても寂しく思える。
二人並んで二階へ上がり、出発ロビーで別れを惜しんだ。
いつものように出発時眼ギリギリまで一緒に過ごしていると、千早さんが不意に私の左手を掴んだ。
「これからは、これがお守りだから。俺がそばにいられない時、これが梢子を守ってくれると信じてる。……こんなこと言うのカッコ悪いとは思うけど、メッセージのやり取りって、いつも俺から送ったものに返信だろう? 梢子から、ってのがなかったからすごく不安だったんだ。だからこそ、これは肌身離さずつけておくこと、約束だよ」
左手の薬指には、先ほど千早さんから贈られた指輪が輝いている。
「はい、大事にします。それから、メッセージのやり取りのこと、ごめんなさい。私、全然そんなつもりはなくて、メッセージを送ろうと思っていたタイミングでいつも千早さんからメッセージを受信していたので……。甘えてしまってごめんなさい」
私の言葉を聞いて、千早さんがホッとした表情を見せたかと思うと不意に私を抱きしめた。
31
あなたにおすすめの小説
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる