96 / 124
第六章
マリッジブルー 7
しおりを挟む
九月になり、ようやく私たちの結婚式が執り行われた。
大陸から張り出された高気圧の影響で、当分の間晴天が続くと天気予報が伝えている。この調子なら新婚旅行中もお天気に恵まれそうだ。
千早さんは操縦士だけあり天候にも敏感で、いつも天気予報を気にしているので、今日の予報を聞いて胸を撫で下ろしていた。
披露宴も無事に終わり、千早さんの同僚たちが私たちの結婚式の二次会を執り行うことになり、私たちはホテルの別会場へ移動した。新婚旅行は翌日からなので、私たちも少しだけ顔を出すことにしたのだけど、そこで私はちょっとした嫌がらせを受けた。
私たちに用意されたドリンクが、ソフトドリンクからアルコールにすり替えられていたり、これ見よがしに私の耳に届くように、私への悪口を話していたり……
千早さんが人気者で、ある程度の嫌がらせは覚悟していたけれど、その首謀者が例の幼馴染だというのは一目瞭然だ。
千早さんの同僚で幼馴染という立場なので、披露宴はもちろんのこと、結婚式にも参列していた。
本当なら千早さんの隣に立つのは自分のはずだったとばかりに、挙式披露宴中、ずっとすごい目で睨まれていたのだ。
そして決定的に彼女の悪意を感じたのは、二次会でアルコールを口にして気分が悪くなり、トイレに立った時だった。トイレの個室で少し休んで、ドアを開けようとしたその時……
「ねえねえ、藤川キャプテンの奥さん、大したことないよね」
「ほんとだよ、何で田舎の小娘にかっさわれなきゃならないのよ。あの子、私たちより何が勝ってるのよ」
「千早くんも本当に見る目がないわ。私がそばにいるのに、なんであの子なの?」
洗面所へ化粧直しにやって来た、千早さんの同僚たちだ。おそらく幼馴染の加奈さんと、その取り巻きたちだ。
個室の中で様子を窺っていると、その中の一人がはっきりと口にした。
「なんか腹立つから、ドリンクをアルコールにすり替えたんだけどさ、それくらいしてもバチは当たらないよね?」
「大丈夫でしょ、未成年じゃないんだから。それよりも、私、決めたわ。千早くんを略奪する。あんな子千早くんにふさわしくない」
加奈さんの略奪宣言を、取り巻きの人たちが面白がってやっちゃえと煽り立てた。
その後もしばらく私の悪口大会が繰り広げられていたけれど、化粧直しが終わったのか、そのうち話し声が聞こえなくなったので、私は肩で息をつくと個室のドアを開けた。
予想はしていたけれど、これは当分の間嫉妬で私に対する風当たりは強そうだ。
この調子で明日からの新婚旅行、大丈夫かな……
新婚旅行は北海道へ行くことになっている。もちろん千早さんの会社の飛行機を利用するのだけど、飛行機の中で、千早さんの目の届かないところで今日みたいな嫌がらせが起こったら嫌だな……
そう思うと、せっかくの新婚旅行なのに憂鬱でしかない。
千早さんには相談できないし、二次会には唯一の顔見知りである桜田さんの姿が見えなかったので、完全アウェイだ。
私は洗面所で手を洗い、自分の顔を鏡で見た。
プロのメイクで綺麗に化粧をしてもらい、自分の中では今までで一番美人に見える仕上がりだけど、あの人たちの女子力は私以上だ。きっと素顔の私も容易に想像がつくのだろう。
見た目だけで言えば、私は彼女たちに劣っているのは一目瞭然で、溜め息しか出てこない。
大陸から張り出された高気圧の影響で、当分の間晴天が続くと天気予報が伝えている。この調子なら新婚旅行中もお天気に恵まれそうだ。
千早さんは操縦士だけあり天候にも敏感で、いつも天気予報を気にしているので、今日の予報を聞いて胸を撫で下ろしていた。
披露宴も無事に終わり、千早さんの同僚たちが私たちの結婚式の二次会を執り行うことになり、私たちはホテルの別会場へ移動した。新婚旅行は翌日からなので、私たちも少しだけ顔を出すことにしたのだけど、そこで私はちょっとした嫌がらせを受けた。
私たちに用意されたドリンクが、ソフトドリンクからアルコールにすり替えられていたり、これ見よがしに私の耳に届くように、私への悪口を話していたり……
千早さんが人気者で、ある程度の嫌がらせは覚悟していたけれど、その首謀者が例の幼馴染だというのは一目瞭然だ。
千早さんの同僚で幼馴染という立場なので、披露宴はもちろんのこと、結婚式にも参列していた。
本当なら千早さんの隣に立つのは自分のはずだったとばかりに、挙式披露宴中、ずっとすごい目で睨まれていたのだ。
そして決定的に彼女の悪意を感じたのは、二次会でアルコールを口にして気分が悪くなり、トイレに立った時だった。トイレの個室で少し休んで、ドアを開けようとしたその時……
「ねえねえ、藤川キャプテンの奥さん、大したことないよね」
「ほんとだよ、何で田舎の小娘にかっさわれなきゃならないのよ。あの子、私たちより何が勝ってるのよ」
「千早くんも本当に見る目がないわ。私がそばにいるのに、なんであの子なの?」
洗面所へ化粧直しにやって来た、千早さんの同僚たちだ。おそらく幼馴染の加奈さんと、その取り巻きたちだ。
個室の中で様子を窺っていると、その中の一人がはっきりと口にした。
「なんか腹立つから、ドリンクをアルコールにすり替えたんだけどさ、それくらいしてもバチは当たらないよね?」
「大丈夫でしょ、未成年じゃないんだから。それよりも、私、決めたわ。千早くんを略奪する。あんな子千早くんにふさわしくない」
加奈さんの略奪宣言を、取り巻きの人たちが面白がってやっちゃえと煽り立てた。
その後もしばらく私の悪口大会が繰り広げられていたけれど、化粧直しが終わったのか、そのうち話し声が聞こえなくなったので、私は肩で息をつくと個室のドアを開けた。
予想はしていたけれど、これは当分の間嫉妬で私に対する風当たりは強そうだ。
この調子で明日からの新婚旅行、大丈夫かな……
新婚旅行は北海道へ行くことになっている。もちろん千早さんの会社の飛行機を利用するのだけど、飛行機の中で、千早さんの目の届かないところで今日みたいな嫌がらせが起こったら嫌だな……
そう思うと、せっかくの新婚旅行なのに憂鬱でしかない。
千早さんには相談できないし、二次会には唯一の顔見知りである桜田さんの姿が見えなかったので、完全アウェイだ。
私は洗面所で手を洗い、自分の顔を鏡で見た。
プロのメイクで綺麗に化粧をしてもらい、自分の中では今までで一番美人に見える仕上がりだけど、あの人たちの女子力は私以上だ。きっと素顔の私も容易に想像がつくのだろう。
見た目だけで言えば、私は彼女たちに劣っているのは一目瞭然で、溜め息しか出てこない。
21
あなたにおすすめの小説
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる