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11話
しおりを挟む球技大会が終わってから私は変わらずに綾乃と啓太の仲を取り持った。でも二人の仲は綾乃のせいで進まずにいた。綾乃はなぜか私の元にいつも逃げてくるようになったからだ。打ち上げの時の話通りなら啓太は誰にも告白すらされていないから綾乃的にはチャンスなのに綾乃は深いキスをしてから急に前よりよそよそしいというか故意的に避けている。
これは私的には良い事でもあるが啓太を利用できないのは惜しくもある。私は綾乃と服を買いに行った帰りに部屋に呼びつけていた。この状況は私のイライラは無くなるが私の計画の進行をスムーズに行かせないかもしれない。綾乃は完璧に私のものにするんだから利用できるものは有効に利用したい。
「綾乃。なんで最近ずっと逃げてるの?」
私は自分の部屋に招いた綾乃に優しく訊いた。綾乃は可愛くなったし、積極的な方だったらきっともううまくいっていたはずだ。
「え?……えっと……えっと……意識……しちゃうから……」
困り顔の綾乃は単純すぎるがそこも可愛らしくはある。私は小さく笑った。
「球技大会からずっとじゃん。球技大会の時告白とかされないって言ってたからチャンスなのに」
「……だって、付き合ったら……キスとかするんだよねって思うと……恥ずかしいよ……」
「綾乃恥ずかしがりすぎ。もうこっちおいで」
「あっ、ナギちゃん…!」
私は隣にいた綾乃を強引に抱き寄せた。恥ずかしいなんて、何度かすればそんな気持ち無くなるのに綾乃は初心だ。私は密着する綾乃に顔を寄せた。
「せっかく可愛くなったのになんのために可愛くなったの?」
綾乃は私の好みに変わった。髪のおかげで明るい印象になって前よりもちょっと大人っぽくなって何より女の色気が出た。これは私のためにやってやったけど綾乃からしたら全く違う。
「それは……け、……啓太君の……んっ……はぁ」
私は分かっていたのに恥ずかしそうに言う綾乃に腹が立って唇を奪った。このイライラする気持ちは完全に綾乃を私のものにしない限り私を操ってくる。着実に事を進めないと私も制御が効かなくなる。私は唇を離した。
「また練習しよっか?綾乃が恥ずかしがらないように。今のままじゃ告白なんて無理でしょ?」
「……うん」
キスをしただけで女らしさが増す綾乃には惹かれてしまうが今日は時間もあるし練習にたっぷり時間を使ってやろう。そして綾乃に教え込むんだ。ゆっくりと蝕むように。
「綾乃」
私は綾乃を呼び掛けて最初は軽く唇を触れるだけのキスをする。いきなりしたんじゃ綾乃が驚くからゆっくりと丁寧に。綾乃はキスをしていると私の服を強く掴んできた。
「どうかした?」
「んっ……ううん。ちょっと……緊張してきて…」
キスをしながら話す綾乃は恥ずかしさもあるようだ。だけど顔を火照らす綾乃はもうそろそろ良さそうだ。私は綾乃の体を抱き締めながらキスをやめるとすぐそばで囁いた。
「緊張しなくて平気だよ。相手は私なんだから」
私は親友で幼馴染みなんだ。これは暗示と一緒だ。綾乃は私を見つめた。
「うん……」
「怖かったり緊張するなら抱きついていいよ?」
優しく、まるで下心すらないように私は笑いかけると綾乃は素直に私に抱きついてきた。
「……うん。ナギちゃん、……普通はこうやってするんだよね?キス」
「普通っていうか、まぁやるにはやるね」
「そっか……」
綾乃は私に抱きつきながら少し黙ると急に拙いキスをしてきた。
「こんな……感じ……かな?」
私はそんな綾乃の可愛らしいキスに心が歓喜に満ちた。なんだよ、やれないと思ってたのに不安に負けたのか。これも思い通りじゃん。堪んないな本当に。私は笑顔で答えた。
「うん。前は恥ずかしがってたのにできたじゃん」
「だって……ちゃんとできるようにならないとだし……」
「ふふふ。じゃあ、深いのもしよっか?」
じっくりやっていこうと思ったのに綾乃が私を刺激するからもう待てない。深くキスをして綾乃を味わいたい。私は照れる綾乃を見つめた。
「……うん。私、……下手だから……教えてねナギちゃん…」
「私に合わせてしてればできるようになるから平気だよ」
私は笑いながら高まってしまった欲望のまま綾乃にキスをした。ねっとりと舌を絡めながら綾乃の口腔内全てに舌を這わせては時おり舌を吸うようにキスをする。綾乃は最初から私に強く抱きついて甘い吐息を漏らしていたが綾乃の良いところは奥のようだ。私はキスをしながら冷静に感じ取っていた。
「はぁっ……!……んっ…、はぁ……んっ!ふぅ…」
甘い綾乃の声は奥を刺激すれば増してくる。これはもう間違いない。私は長くしていたキスをやめるべく一旦唇を離した。
「綾乃よだれ垂れてるよ」
私はいやらしい顔をする綾乃の口の回りを指で拭うと綾乃は少し視線を逸らした。
「ナギちゃんが……なんか、激しかったから……」
「え、そうだった?」
「そうだったよ……。だって、ちょっと…苦しかったもん…」
そう言って顔を隠すように私に凭れる綾乃。慣れないからそう感じたのだろう。別に私はそうはしていないが綾乃の頭を撫でながら仕方なく謝った。
「ごめんごめん。気づけなくてごめんね?」
「……別に、怒ってないよ……?それより……うまくできてた?」
「え、うん。いいんじゃない。前より慣れた感じする」
綾乃のキスは私にされるがままだったが一生懸命に舌を絡ませる綾乃はそれだけでいい。まだ恥ずかしさはあるみたいだが今はこれだけで十分だ。
「……そっか。……良かった」
「ふふふ。でも、綾乃体に力入りすぎ。また緊張したの?」
私の服を強く掴む綾乃は小さな声で言った。
「それは、……うん。だって……まだ、そんなにしてないもん…」
可愛らしく言い訳みたいに言う綾乃は恥ずかしいようで顔を上げる気配がない。それも可愛いが慣れさせないとまだまだ先に進めない。私は口角を上げて笑うと綾乃の耳元で話した。
「じゃあ、次は後ろ向いて綾乃。慣れるように今日はもうちょっと練習しよう?」
私の提案に少し顔を上げる綾乃。その顔はいつもより照れていて可愛らしかった。
「まだするの?」
「だって慣れないとでしょ?」
「……うん」
綾乃が可愛らしくて私の欲望が暴れそうだ。赤い顔は本当にそそられる。私は頷く綾乃に優しく言った。
「じゃあ、早く後ろ向いて私に凭れてみて?」
「うん。分かった」
私の言う事を聞く綾乃はすぐに背中を私に預けてくる。綾乃と密着できるように私はお腹に腕を回した。
「今度は後ろからしてみよ?これならそんなに力も入らないと思うから」
建前は言葉通りだが本音は違う。キスをして綾乃の表情を見ながら今日は体を触る予定だ。綾乃はまた恥ずかしがっていた。
「……このままするの?」
「うん。こういう感じでもするよキスは」
「…でも、なんか、さっきより恥ずかしいよ……」
「なんで?恥ずかしくないよ」
私は本当に優しく笑うと軽くキスをした。もう逃がさない。
「ほら、恥ずかしがってないでやるよ?」
「……うん」
綾乃は恥ずかしそうに少し首を私の方に向けながら私のキスを受け入れた。だけど受け入れて間も無くして綾乃は私のお腹に回していた手の上から手を掴んできた。まだ軽くしか唇を合わせていないのに綾乃はもう体を強ばらせている。
「綾乃?どうしたの?」
私は少し長いキスをしてから唇を離すと綾乃は恥ずかしそうに呟いた。
「なんか……さっきより恥ずかしくて……力入っちゃうよ」
視線を少し逸らすも私を見つめる綾乃は愛らしかった。あぁ、なんて可愛いんだろう。恥ずかしそうなのがいやらしさを醸し出す。普段の綾乃と違うそれは私を刺激して止まない。
「ナギちゃん」
「ん?なに?」
唇が触れそうな距離で綾乃は私を呼ぶ。綾乃のせいで興奮が掻き立てられる。
「……あの、あの……緊張するから、手握ってて?」
可愛らしいお願いに私は空いていた手で綾乃の柔らかい手を握った。まるで誘惑されているみたいで堪らないがまだダメだ。私は笑ってあげた。
「これで平気?」
「うん。……してる時は離しちゃダメだよ?」
「分かったよ」
私はもう我慢ならなくて綾乃とのキスを再開した。綾乃にこんなに興奮するなんて初めてじゃないのか?私は深くキスをしながら綾乃に魅了されてしまったのに内心笑っていた。
「はぁ……はぁっ……あっ、んっ、ふぅ……はぁっ」
綾乃の悩ましい声はまだ私を魅了する。綾乃は繋いだ手を強く握るが緊張よりも快楽が体を支配してきているのが伺える。私が何度も奥を刺激してやったし、綾乃は時おり体を震わせながら顔を蕩けさせている。長く深くキスをしてやっと準備が整ったようだ。
私はキスをしながらお腹に回していた手をようやく動かした。今ならきっと難なく触れるはずだ。私は最後に奥をもう一度刺激して吸い付きながら唇を離すと綾乃の腹を撫でながら性的な顔をする綾乃に囁いた。
「良かったよ綾乃。今日はよくできたからもう少しやろっか?」
「んっ……はぁ、またキス?」
このキスでだいぶ綾乃の理性を削ぎ落とせた。目をとろんとさせる綾乃と握っていた手を離すと私は体を支えながら腹を触っていた手で優しく胸を触る。
「違うよ。今度はちょっと触るだけ」
「んっ……ナギちゃん……なんか、怖い……」
蕩けた眼差しには少し不安が伺える。しかし今ならこの不安は無くせる。私は胸を服の上から揉みながらまたキスをした。
「怖くないよ。……私だから平気。ちょっと触っていこう?」
「はぁ……、んっ!……はぁ、でも、変な感じする」
綾乃の不安の色が薄れるも綾乃は私の手に自分の手を重ねる。しかし、こんな抵抗は無駄でしかない。私は弱々しい綾乃の抵抗を感じながらも操るために言葉を口にした。
「平気だよ。ちゃんとできなかったら嫌でしょ?」
できない不安は言葉にすれば効力が出る。綾乃は簡単に手を離して抵抗をやめた。
「…うん……。でも、優しくしてね?」
私は綾乃の言葉に頷きながら手を動かした。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
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