エゴイスト

神風団十郎重国

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16話

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「じゃあ早くして?」

いつも張り付けている笑顔はこんなにイラついているのにまだ崩れない。でも、怯えながらも私の目を見つめる綾乃は私に恐る恐る口を開いた。

「……ナギちゃん……怒ってるの?」

「……なんで?」

そんな質問意味があるの?綾乃は何も知らないし、まだ教えるつもりもないのに訊いてどうするの?疑問のまま聞き返したら綾乃は少し目を逸らしてから小さく言った。


「……ナギちゃん……いつもと、違うから……。私、何か怒らすような事した?」

「……」

綾乃はまるで私に恐怖を感じているかのような顔をしながら私の様子を伺う。今まで一度も喧嘩なんかした事もなければ綾乃にこうやって詰め寄った事もない。だから私の怒りが伝わっているみたいだけど教えないに決まっている。私はしばし無言で綾乃を見つめながら口を開こうとしたら綾乃は急に泣きそうな顔をして謝ってきた。

「ナギちゃんごめんね?……私、何かナギちゃんにしちゃったなら謝るから許してほしい……。本当にごめんねナギちゃん……」

「……だったらさぁ、早くしてよ?」

私を潤んだ瞳で見つめる綾乃に笑って詰め寄る。分かってないくせに私の雰囲気が違うだけでこんな追い詰められてしまうなんてそそられてしまう。本当に弱くて弱くて、純粋な可愛い女だ。でも、あんなイラつかせといて簡単に許すはずがない。綾乃はまた動揺していた。

「そ、それは……」

「綾乃さぁ、どうせ私が何で怒ってるかなんて分かってないんでしょ?」

「それは、……そうだけど……でも、私が何かしちゃたから……」

考えても分からないくせに考える綾乃が滑稽でウザく感じる。私は綾乃を見つめながらまた壁を叩いて威嚇した。綾乃は大きな音に体を震わせて驚いていた。

「あのさぁ、分かってないくせに謝られたってムカつくだけなの分かんないの?」

「……わ、分かる……。分かるよ……。ごめんねナギちゃん……」

綾乃はついには潤んだ瞳から涙を溢した。今泣いたって私は引き下がらない。私は笑いながらいつも綾乃に話すみたいに話した。

「そんな態度してたら話す気にもならないんだけど。もういいから早くしてよ?いつまで待たせるの?」

「……う、うん。……すぐ、するから……待って……」

綾乃は私に怯えながら涙を拭ってショーツを下ろすとトイレに腰を下ろす。便座に座った綾乃と目線を合わせるように私は腰を曲げた。

「ねぇ、その顔なに?」

綾乃はさっきから目を潤ませて涙をボロボロ溢している。恐怖と不安からなのは考えなくたって分かるが私を散々嫉妬させといて腹が立ってしょうがない。泣いた顔は可愛いけれど泣いているからって気持ちは変わらない。

「嫌なの?」

私の怒りを見せない問い掛けに綾乃はすぐに否定した。

「ううん…!嫌じゃないよ」

「じゃあ、なに?なんで泣いてんの?怖いの?私前に言ったよね?嫌なら嫌って言えって」

私は優しく綾乃の涙を拭った。別にこれは綾乃が嫌ならやめていい事だ。私の怒りは収まらないけど綾乃にはそうやって躾た。私を拒否する権利は綾乃にはあるが綾乃は首を横に振って必死に泣きながら否定してきた。

「ち、違うよ?怖くないし、嫌じゃない。私、ナギちゃんの事怒らせたから……嫌われたくなくて……もう怒らせたくない……」

「じゃあ、早く泣き止みなよ?そうやって泣いてんのウザいよ?」

「うん……うん。ごめんね。もう泣かないから……ごめんねナギちゃん……」

鼻を啜る綾乃は私のウザいと言う言葉で表情を歪めたが目を潤ませながら涙を堪えた。私に昔から依存しているから私に嫌われるのが自分が辱しめられるより嫌なのだろう。健気な姿に鼻で笑っていると綾乃は視線を下げた。

「ナギちゃん……見ないで……」

そして絞り出すように言うと私の命令を綾乃は実行した。尿が滴り落ちる音がこれだけ近くにいれば聞こえるし、綾乃は泣きそうになりながらも羞恥心に耐えている。それを見て、聞いているだけで私は怒りよりも私の底知れぬ欲が満たされて興奮を覚えた。


本当はこんなの少なからず嫌なくせに私のために自尊心すらも捨てた綾乃が今は恋しく見える。
私は堪らなくなって綾乃の唇にキスをした。
さっきまでの怒りは嘘みたいに失くなって私を綾乃が満たしてくる。

嫌なのに私にすがって離されないように言う事を聞くなんて……可愛いペットを持った気分になる。
私は綾乃が逃げないように頭に手を回して普段よりも荒々しくキスをした。綾乃はそれすらも受け入れて以前よりも慣れたように私を求めるようにキスをする。
私達はそうやってキスをしていたらトイレに誰かが入ってきたので私は唇を離した。こんな事がバレる訳にはいかない。喋らないように私は綾乃に人差し指を立てて笑いかけると小さく頷いた綾乃は私にすがるように手を伸ばして制服を掴んだ。


この状況に追い込んだのは私なのに綾乃はバレるのが怖いのか私にすがって動かない。私はそんな可愛い綾乃の頭を優しく撫でた。あぁ、可愛くて可愛くて今すぐにでも汚してやりたい。
辱しめてやっただけで子宮が疼くような興奮は止めるのが精一杯だ。

私は笑いながらそのまま出て行くのを待った。
時間にしたら数分だと思うが出て行ったのを扉が閉まった音で確認してから顔を赤らめる綾乃に優しく笑いかける。

「ビックリしたね」

「うん。……それより、ナギちゃんもう怒ってない?許してくれる?」

「うん。でも、ごめんね?こんな事して。恥ずかしかったでしょ?」

私は普段のように優しい顔をして優しい声で話すと綾乃は安心したような顔をする。

「ううん。平気だよ。ナギちゃんが許してくれるならいいの」

「ふふふ。綾乃好きだよ」

「んんっ、……私も……好き……」

軽く口づけをして私の愛を囁くと綾乃も囁いてくれた。もう強く洗脳されて依存してんのに気付いてないんだね綾乃。私は笑いながら軽く何度かキスをすると可愛い顔を見せてくれる綾乃にまた欲が溢れてしまった。

「綾乃拭いてあげようか?」

「え?な、何言ってるのナギちゃん?!」

「んー、さっきのお詫び?」

「そんなのお詫びになんかならないよ。自分でできるからやらなくても……!」

言う前から分かっていた綾乃の断りにどうしようかと思っていたらまた人が入ってきた。綾乃はすぐに黙って不安そうな顔をする。私はこれに今だと思いながらペーパーを何枚か折り畳んで手に持った。

もう少し綾乃の羞恥に歪む顔が見たい。性格の悪い私はもう何をしたいのか察して困った顔をする綾乃の耳元で掠れるような小さな小さな声で優しく言った。

「足広げて?怒るよ?」

「……」

綾乃はそんな言葉にまた恐れるように私を見つめたが私が笑いかけると黙って足を広げた。綾乃はそれと同時に目線を逸らして恥ずかしそうな顔をしてしまうが私は頭を撫でて触れるだけのキスをすると綾乃のそこを拭いてあげた。綾乃はこれに本当に顔を赤くしていじらしい顔をする。恥ずかしくてたまらなさそうな表情はため息が出てしまいそうだ。何度か拭いて綾乃のそこからペーパーを離した時粘着質なあれが糸を引いた。

それには綾乃の前だと言うのに口角を上げてしまった。あんな泣いてたくせに興奮したのか。綾乃はこういうのが好きで、こんな変態みたいな性癖があるって事だ。
普段は控え目なくせに、こんなの見たらしたくなってしまう。私は綺麗に拭いてあげてからまた出て行くのを待って綾乃に話しかけた。

「綾乃興奮してたの?こないだと同じくらい濡れてたけど」

ショーツをはいた綾乃は恥ずかしそうに言葉に詰まっていた。

「……だって、恥ずかしかったし……、誰かにバレちゃうかもしれないし、ナギちゃんが……キスしてくる……から……」

「キスがよかったの?違うでしょ?このシチュエーションじゃなくて?」

「……それは……それは……違うもん。……いつも、キスする時、ドキドキするから……」

綾乃は可愛らしく拗ねてしまったようだが私は笑ってキスをして綾乃を見つめる。綾乃も変態だけど私もそんな綾乃に興奮する変態だ。しかし綾乃の気分を害するならあんまり色々言わない方が今はいい。

「ごめんね綾乃。可愛いからいじめちゃった」

「……ナギちゃん…いつもからかう…」

「からかってないよ。綾乃は本当に可愛いもん」

「……そんな事、ないよ……」

「そんな事あるよ」

綾乃は恥ずかしそうに黙ってしまったので私はもう何も言わなかった。そういう性癖があるって分かっただけで感情に流されてしまったけれど良しとしよう。
虐げた結果が予想以上だったんだ、満足以外にない。



私達はそのあと何食わぬ顔をして皆の元に戻った。
そして楽しく体育祭の打ち上げをして皆で笑いあった。しかし、その日から綾乃は私の顔色を必要以上に伺うようになった。
綾乃は私があんな事をしてもあれを気にしている様子はない。なぜ私が怒ってあんな事をしたのかも訊いてすらこない。
ただ私の顔色や態度、雰囲気を伺うように私を見ている。まるで私を怒らせないように、私に嫌われないように。そんな変化は私にはすぐに分かったが私は以前と同じように優しく接した。

もう綾乃が私から離れられないのは分かったからあとは仕上げをするだけだ。もう嫉妬には以前のように囚われなくなった。あれだけ私に縛られている姿を見れば男と話すくらいどうでもいい。


私は綾乃のデートが目前に迫ってきたある日、綾乃とお泊まりをする約束をした。デートの前にもっとメイクや髪をやろうと言ったらすぐにいいよと言ってくれたのだ。私はこの日を境に綾乃と距離を取らないとならないのが残念に感じるが楽しみで浮かれていた。
綾乃の反応は考えなくても予想できているが楽しみでしょうがない。あいつが好きだと言いながら私を受け入れる様をよく見たい。


「ナギちゃん変じゃない?」

私は綾乃に話しかけられてはっとした。金曜の夜から泊まって土曜日の朝から新しい髪のセットを教えてあげたら綾乃は熱心に鏡を見ながら髪を編んでいた。私はそれを見てそろそろ行動をしようかなと考えていたのだ。

「うん。完璧。可愛いよ綾乃」

「よかった。なんか、お姫様みたい」

「ふふ。そうだね」

髪を完成させた綾乃は嬉しそうに微笑んだ。今日は髪を全部まとめて後ろに下ろして編み込むようにさせた。上品でそれでいて綺麗で可愛らしくなった髪型はプリンセス風とも言える。

「デートはこれでいいんじゃない?」

私は綾乃の髪を触りながら言うと綾乃は可愛らしく頷く。

「うん。でも難しいからもう一回やってみる」

「じゃあ解いてあげる」

「うん。ありがとう」

私は綾乃の後ろに回って丁寧に編み込まれた髪を優しく解いていく。綾乃はその間鏡越しに私をチラチラ見てきた。その眼差しは私を窺う時のそれだった。

「なに?」

こんな時にどうしたんだろう。知らないふりをしながら言うと綾乃は慌てて取り繕うように誤魔化した。


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