改:どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫

文字の大きさ
2 / 106

2 レベルっていいな

しおりを挟む

家の外も薄明るくなってきている。
俺は窓に近寄りカーテンの隙間から外を覗いてみる。
ん?
誰か歩いている。
こんな時間に家の近くを歩いている人なんて今までいなかったぞ。
俺だけがウォーキングしていたくらいだ。

人?
尻尾?
コスプレ?
まさかこんな時間に…イベントの帰りだろうか?

手元でキラッと何かが光る。
刃物らしきものを持っているようだ。
変態?
まさかの・・・いきなりの魔物徘徊か?

周りに人はいない。
着ぐるみでなければ魔物だろうか。
俺はそう思いながらカーテンの隙間から覗いていた。
こんなのがウロウロしていたら、やばいんじゃないか?
しかし、まだ早い時間帯だからかそれほど騒がしい感じはない。

何か確認できるものがあればよいのだが・・・。
ピッ!
相手の頭のところに何やら表示が表れた。
Lv:3
ロンリーウルフ

うわ!
なっ、何か見える。
・・・
どうやら相手のレベルと名称がわかるようだ。
探索のスキルかな。
これはありがたい。
う~ん・・・まぁ、詳細は後回しだ。
とにかくレベル的には大丈夫のはずだ。
だが、人間ではない魔物・・・だろ?
それに敵じゃないかもしれないし・・・どうしよう。

って、あまりにも順応し過ぎだろう、俺。
だが、迷っている場合じゃなさそうだしな。
こんな時って遅れれば遅れるほど取り返しがつかなくなる気がする。
よし!
覚悟を決めたら、少し落ち着いてきた。
俺は玄関からそっと外へ出てみる。
手には風呂場にあった衣類乾燥なんかに使う、細い金属の棒を持っている。

なるほど・・これが盗賊か。
足音がものすごく静かだ。
扉を開けるときにも音がなかったような気がする。

俺は犬のような相手に近づいていく。
どうやら相手は気づいていないようだ。
3メートルくらいまで近づいた。
ドキドキする。
相手はまだ感知できていないのか?

しかし、本当に人じゃない・・よな?
人じゃないが、敵でなかったらどうなんだろう。
でも、刃物を持っているし。
・・・
俺の頭の中でいろんな思考が駆け巡る。
ふぅ・・よし!
とりあえず強めに突きを入れてみよう。
もし敵でないのなら、謝るさ。
俺は呼吸を整える。

シッ!!
犬モドキの背中めがけて、俺は金属の棒で突きを入れてみた。
これくらいなら相手が人間でも死ぬことはないだろう。
ドン!
見事に相手の背中、ど真ん中に命中。
「ギャン!」

え?
ギャンって・・やっぱ人じゃないのか?
しかし、ものすごい形相でこちらを見返してきた。
強烈に威圧してくる。

「うわおぉおおおん」

俺から突きを入れてなんだが、完全に敵だ。
人の言葉じゃないし、明らかに目が違う。
今にも俺に噛みついてきそうだ。
だが、大きく動こうとはしていない。
思ったよりも大きなダメージを与えられたのか。
しかし、これで確信した。
人じゃない!!

切り替えろ!
即時行動。

今度は迷わず手首をひねりながら、金属棒を思いっきり突き出した。
「ハッ!」
遠慮はしない。
よく犬を散歩させていてリードを長くしている奴がいる。
もし飛びかかってきたら思いっきり蹴り飛ばしてやると、俺はいつも思っていた。
その気持ちも込めて打つ!
ドン!
きれいに犬モドキの胸辺りにヒット! 
犬モドキの動きが鈍くなったところへ俺は回し蹴りを入れる。
きれいに入った。
その後、夢中で俺は棒で突きまくった。

ドドドド・・・!!
「はぁ、はぁ、はぁ・・」
少ししてロンリーウルフは動かなくなった。
魔物はしばらくすると蒸発するように消えた。

き、消えた?
どういうことだ?
時間にして1分くらいだろうか。
その後にはお約束の石みたいなものが残っていた。

『経験値を獲得しました』

天の声が頭の中で聞こえた。
マジか?
本当にゲームだな。
夢じゃないだろうな。
・・殺してしまった。
いや、相手は刃物を持っていた。
わからないが、やらなきゃやられていたかもしれない。
でも、なんであの犬モドキは消えたのだろう?
・・・
とにかく考えるのは後だ。

落ちていた石を拾い上げてみると普通の石とは違う。
キラキラと光っている。
きれいだな。
ゲームなら素材アイテムとして売れるのだが。
俺はステータス画面を出してみる。
何か情報はないか・・ないな。
俺は魔物を倒した罪悪感のようなものを考えないようにしていたのかもしれない。
石を見たときには嫌な気持ちは忘れていた。

石をステータス画面に近づけてみる。
するとスッと石が画面に吸い込まれた。
「うぉ!」
俺はビクッとして手を引っ込めたが、別に何も起こらない。
一体何だったのだろう?

!!

サッと俺は身をかがめる。
何か皮膚の周りにザワザワした感覚があった。
ピッ!
気配察知のスキルなのか、自分を中心としてレーダーのように感じることができる。
5匹の小さなものが近づいてきていた。
なるほど・・これは便利だ。
種別がわかればなおいいのだが。
俺がそう思うと、ピッと頭の中に状況がイメージとして現れる。
そして、名称が出た。
ゴブリンのようだ。
近づいてきていた。

レベルは2。
格下レベルだが、5匹もいるとなると大丈夫か?
数の暴力でやられるかもしれない。
しかし、隠れていても仕方がない。
レベル差を信じるしかない。
俺も心を決める。
よし!

敵に近づいてみるが、相手はこちらにまるで気づいていないようだ。
塀や電柱などに隠れながら3メートルくらいまで近づく。
まだ気づかれてない。
俺のスキルが役だっているのだろうか。
まぁいい。
シッ!
俺は一気に間合いを詰め、一番近いやつに思いっきり金属棒で突きを叩き込む。
そのまま、隣の奴を横に蹴り、棒で顔に連続突きを入れた。
ドン! 
ドドドド・・ドガ!
間髪容れずその隣のやつに回し蹴り、そして残りの2匹を棒の両端で交互にドン、ドンと打ち付けてみる。
「ふぅ・・」

ゴブリンたちはその場から動けないでいる。
一瞬、可哀想な気がしたが、ここで倒しておかないと絶対にダメだろう。
切り替えろ、常識を!
とどめをさそうと、ゴブリンの胸のあたりを棒で打ち抜くつもりで突く。
ドシュ!!
俺の手に嫌な感触が伝わるが、気にしたら負けだ。
ゴブリンが動けない間に5匹全部に止めを刺した。
「はぁ、はぁ・・」

できるものだな。
俺は自分自身を疑った。
緊張とかで麻痺しているのか。
とにかく生き物の命を奪った。
何とも言えない感じが少しはあるが、考えるのは後だ。
しばらくすると、ゴブリン5匹全部が蒸発して石が残った。
やはり消えるな…いったいどうなっているんだ?

とにかく何とかなった。
レベル差だな。
途中、天の声で「経験値を獲得しました」が聞こえていた。
戦闘中でも聞こえるんだな。
俺はそんなことを考えながら、ゴブリンの石を拾う。

5つの石を回収して、俺はその石をステータス画面に取り込ませる。
どうなるかわからないが、とりあえず吸い込むのだから、何か役に立っているのだろうと思う。
さっぱりわからん。
ん?
固有スキルに杖術なんてのがあるぞ。
棒を使ったからか?
使うと自分のものになるのか?
それとも俺の武道経験が役に立っているのか?…わからない。

さて、家から200メートルくらいしか離れていないが、早くも魔物が徘徊しているようだ。
まだ5時過ぎだぞ。
時間は関係ないか。
しかし、どのタイミングで自然界のシステムが変わったのかな?
とりあえずいつもウォーキングする範囲を回ってみよう。
俺はそんなことを考えながらゆっくりと歩いてみる。

早速、気配察知に引っかかるものがある。
結構いるな。
しかし、ほんとにいいなこのスキル。
頭の中にイメージとしてマップが浮かぶ感じだ。
迷子にならない。

いかん、いかん。
なに余裕ぶってるんだ。
まだ何もわかっていない。
とにかく慎重にし過ぎて、し過ぎることはないだろう。
ゲームじゃない。
俺は頭を振りながら気を引き締める。

さて、人間でない奴らは魔物と呼ぼう。
魔物に対して俺が疑問を持つと、レベルと種族が表示されるようだ。
これはありがたい。
今、表示されている魔物は、ひとつにはまとまっていない。
ロンリーウルフが一定の距離をおいて動いている。

ん?
もしかして、これって大きくみたら群れの行動かもしれない。
ロンリーウルフ1匹1匹の間は50~70メートルくらいだ。
その後ろ50メートルほどにはゴブリンが5匹単位でいる。
さっきのロンリーウルフとゴブリンって1つの単位じゃなかったのか?
焦っていて状況など確認できなかったが、全体でみたらそうみえる。
扇状に広がりつつ、先頭がロンリーウルフ、その後ろをゴブリンが移動している感じがある。
それほど知能があるのか。
30歳までは海上自衛官だったわけだが、まさかその知識が役立つとは・・・。
俺は頭を振る。
今は現状を見ろ!
何余裕ぶってるんだ!

かなりの数だが・・・全部で4つの単位になる。
ロンリーウルフ1匹とゴブリン5匹の1単位が4つある。
先ほどのと合わせたら5つの単位になるか。

感知できないだけでもっと多いのかもしれない。
いや、考えるよりも一番近いロンリーウルフからやってみよう。
全部に集まられたら面倒だ。
やるしかない!
数を減らせば、とにかく襲われる脅威が低下する。
攻撃は最大の防御。
迷っていたら相手に有利に働く!

俺は、そう決断したら即行動する。
ロンリーウルフに近づき真正面に立つ。
即座に口に向けて棒を内側に捻じりながら突き入れた。
相手にしてみれば、いきなり目の前に現れたような感じだっただろう。
忍び足などのスキルが役に立っている感じだ。
まともに突きが当たり、声も出さずに倒れる。
しばらくすると蒸発。
なんで蒸発するのだろう?
ゲームなら、こう叫ぶんじゃないか。

「素材が集められないじゃないか」

って、余計なことを考えてしまう。
油断大敵だ。
マジで!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転移術士の成り上がり

名無し
ファンタジー
 ベテランの転移術士であるシギルは、自分のパーティーをダンジョンから地上に無事帰還させる日々に至上の喜びを得ていた。ところが、あることがきっかけでメンバーから無能の烙印を押され、脱退を迫られる形になる。それがのちに陰謀だと知ったシギルは激怒し、パーティーに対する復讐計画を練って実行に移すことになるのだった。

スキル『倍加』でイージーモードな異世界生活

怠惰怠man
ファンタジー
異世界転移した花田梅。 スキル「倍加」により自分のステータスを倍にしていき、超スピードで最強に成り上がる。 何者にも縛られず、自由気ままに好きなことをして生きていくイージーモードな異世界生活。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

なんとなく歩いてたらダンジョンらしき場所に居た俺の話

TB
ファンタジー
岩崎理(いわさきおさむ)40歳バツ2派遣社員。とっても巻き込まれ体質な主人公のチーレムストーリーです。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

勇者の野郎と元婚約者、あいつら全員ぶっ潰す

さとう
ファンタジー
大陸最大の王国である『ファーレン王国』 そこに住む少年ライトは、幼馴染のリリカとセエレと共に、元騎士であるライトの父に剣の稽古を付けてもらっていた。 ライトとリリカはお互いを意識し婚約の約束をする。セエレはライトの愛妾になると宣言。 愛妾を持つには騎士にならなくてはいけないため、ライトは死に物狂いで騎士に生るべく奮闘する。 そして16歳になり、誰もが持つ《ギフト》と呼ばれる特殊能力を授かるため、3人は王国の大聖堂へ向かい、リリカは《鬼太刀》、セエレは《雷切》という『五大祝福剣』の1つを授かる。 一方、ライトが授かったのは『???』という意味不明な力。 首を捻るライトをよそに、1人の男と2人の少女が現れる。 「君たちが、オレの運命の女の子たちか」 現れたのは異世界より来た『勇者レイジ』と『勇者リン』 彼らは魔王を倒すために『五大祝福剣』のギフトを持つ少女たちを集めていた。    全てはこの世界に復活した『魔刃王』を倒すため。 5つの刃と勇者の力で『魔刃王』を倒すために、リリカたちは勇者と共に旅のに出る。 それから1年後。リリカたちは帰って来た、勇者レイジの妻として。 2人のために騎士になったライトはあっさり捨てられる。 それどころか、勇者レイジの力と権力によって身も心もボロボロにされて追放される。 ライトはあてもなく彷徨い、涙を流し、決意する。 悲しみを越えた先にあったモノは、怒りだった。 「あいつら全員……ぶっ潰す!!」

トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

ファンタジー
そこは、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を舞台にモンスターと人間が暮らす世界。 冒険者と呼ばれる、ダンジョン攻略とモンスター討伐を生業として者達がいる。 その中で、常にトップの成績を残している冒険者達がいた。 その内の一人である、付与師という少し特殊な職業を持つ、ライドという青年がいる。 ある日、ライドはその冒険者パーティーから、攻略が上手くいかない事を理由に、「もう不要」と言われ解雇された。 新しいパーティーを見つけるか、入るなりするため、冒険者ギルドに相談。 いつもお世話になっている受付嬢の助言によって、トップ2の冒険者パーティーに参加することになった。 これまでとの扱いの違いに戸惑うライド。 そして、この出来事を通して、本当の現実を知っていく。 そんな物語です。 多分それほど長くなる内容ではないと思うので、短編に設定しました。 内容としては、ざまぁ系になると思います。 気軽に読める内容だと思うので、ぜひ読んでやってください。

処理中です...