43 / 152
43 無条件で信頼できる人物って、存在するんだな
しおりを挟む俺は思わず立ち上がってしまった。
ばあちゃんたちが驚いたような様子で俺を見る。
俺はウトウトしていて夢を見ていたと答え、また座り直した。
王だと?
なんだそれ。
もしかして痛い奴だったのか?
それにアニム王国?
そんな国……俺の記憶にはない。
でも、こんな頭の中での会話ができている。
俺の頭がおかしいわけじゃないだろう。
『戸惑わせてしまったかな。 念話に答えてくれるものがいたのがうれしくてね』
アニム王と名乗る人が優しく言う。
それにしても念話というのか、この会話。
確かに頭で思うというか、話そうと思わなければ思考は伝わらないようだが。
『君は、アニム王国の国民ではないね』
アニム王と名乗る人はいう。
『はい、地球人です』
『そうか、この星の住人なんだね。 しかし、この念話が使えるということは、一定のレベルを持っているはずだが、 君はどうやってそのレベルを持ったのかね。 もしかして、初めからそのレベルが備わっていたのかな……いや、すまない。 尋問するようなことを言ってしまった。 気を悪くしないでくれたまえ。 まずはこちらのことを話させてくれ』
アニム王はそう言うと、いろいろと話してくれた。
王が転移してきて、王の国の光の神も一緒に転移してきただろうこと。
神なんて本当にいるんだな。
念話も誰か一緒に転移したものに対する呼びかけだということ。
そして、光の神と地球の神が融合し、それによって今までの自然世界のシステムが変わってしまっただろうということ。
・・・・
・・・
大量の情報が俺に流れ込んでくる。
だが、パニックになるようなことはない。
スポンジに水がしみ込むように俺に定着していく感じがした。
そして話を聞けば聞くほど、この王はかなりの人格者だと確信できる何かがあった。
絶対的な信頼を寄せても問題ないと思わせる何かを、俺は感じずにはいられなかった。
『君は、私の話を信じてくれるのかね』
王はいう。
『アニム王、信じるというより、すでに昨日までとは違うことを実感して行動しています』
俺はうまく答えられなかった。
『そうか・・だが、申し訳ないと思っている。 君たちの世界基準が変わってしまったことを・・』
王は本当に申し訳なさそうに語った。
俺は即座に反応。
『アニム王! とんでもありません。 私はむしろ感謝しています』
『感謝?』
『そうです。 今までの私たちのシステムでは、人の努力や行動が報われる世界ではありませんでした。 ですが、今のこのシステムでは、行動がすべて自分につながっています。 それに、神というものの存在はわかりませんが、ただ、いつも自然の存在を感じてはいました。 人の意思を超えたもの。 そして、この地球の存在というか、地球がそれを選択したために、ステータス画面が出現する世界になったのではないですか?』
俺は話をまとめることもできずに、思ったままに熱く語ってしまった。
俺はいったい何を言っているんだ?
なぜ、顔を見たこともない人に熱く語っているのか?
おかしいと思うかもしれないが、この王には何か人を信頼させるものがある。
俺も自分自身がわからなくなっていた。
王はしばらく考えていたようだ。
『・・君は、おもしろいね。 そう言ってもらえると少し気持ちが楽になったよ。 ありがとう』
『アニム王、お礼など・・こちらこそです』
俺も即答した。
『そうか・・君、テツ君だったね。 また念話をさせてもらってもよいだろうか』
王は優しく話す。
『もったいないお言葉。 こちらこそよろしくお願いします。 あ、それとテツと呼び捨ててください』
『・・ありがとう、テツ。 他、何か聞きたいことはないかね』
アニム王がそう言ってくれるので、俺はレベルのことや魔物のこと、どうして出現するのかなどをいろいろ聞いてみた。
魔物の発生は仕方ないとのことだった。
魔素を使うシステムでは当然起こるものだという。
だが、コントロールはできるそうだ。
人族などの単一魔素を持つものが1か所に多く集まると、それを分散させようと神の意思というか自然のシステムが働くらしい。
20~30万人単位で発生する魔物のレベルが決まってくるという。
30万人単位であれば、レベル15辺りの魔物。
50万人単位であれば、レベル25辺りの魔物。
80万人単位であれば、レベル30辺りの魔物といった具合に現れるという。
あくまでも目安で、当然例外もある。
そして、コントロールするにはダンジョンや森などの特定の場所に魔石、つまり魔物を倒すと得られる石のことだが、それを集めて術を施すと魔物の発生がコントロールできるという。
ダンジョンなどは、そのシステム自体が生きているので、放っておいても問題ないそうだ。
ただ、管理しておかないと魔物が溢れ出して困ることになるとか。
また、ダンジョンを作るには特殊なスキルが必要らしい。
・・・
あと、俺がステータス画面に取り入れていた魔石・・・自分より低位の魔石では意味がないそうだ。
20
あなたにおすすめの小説
異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件
fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。
チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。
しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。
気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。
笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!
やがて最強に至る弾丸付与術士の成り上がり
彼方
ファンタジー
2035年の日本では、多数出現したダンジョンを探索する探索者という職業が大きな注目を集めていた。ダンジョンを探索することは大きな危険も伴うが、地球では本来手に入らない希少な資源を入手することができるため、日本を含め世界各国はダンジョン資源の獲得に力を入れていた。
そうした世界の中で平均的な探索者として活動していた加賀優斗は、親友である木場洋輔から突然パーティを追放されてしまう。優斗は絶望し失意の底に沈むが、不治の病に侵された妹を助けるために行動を開始する。
これは、実力も才能もない一人の青年が努力と工夫によって世界最強へと上り詰めるまでの物語。
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
おっさん冒険者のおいしいダンジョン攻略
神崎あら
ファンタジー
冒険者歴20年以上のおっさんは、若い冒険者達のように地位や権威を得るためにダンジョンには行かない。
そう、おっさんは生活のためにダンジョンに行く。
これはそんなおっさんの冒険者ライフを描いた生活記である。
神々のダンジョン~チートスキル【アイテムボックス】と【鑑定】でアラフォーおっさんは成り上がる~
葵はるか
ファンタジー
「少子化で、八百万の神々の力が衰えるどころか滅亡しそうです! ですので、氷河期世代を救います!」
国会に突如、降臨した絶世の美少女である天照大御神は、氷河期世代を救うために日本中に日本人専用のダンジョンを作りだすことを宣言するのであった。
会社に一方的にクビにされた佐藤和也も、日本中に発生したダンジョンへ生活の糧を得るために潜ることになったのであった。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる