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公爵令嬢?それがどうした!
第30話 届いていない
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騎士の人に招かれざるお客さんと、放心王子を押しつけ……引き渡したところで、我が家に帰ってきました。
「あっ、お嬢様」
そう言って出迎えたのはアルト。アルトは、見た目は無害そうな犬みたいな感じなんだけど、本性はドSの狼だ。顔が良いから、レイと同様にメイドからモテている。本性を知ったら、どっちも離れていきそうだけどね。
な~んか、個性的な刺客が多いな。というか、アルトとレイは顔も良いし、隠しキャラ的な枠でいてもおかしくないと思うけど……『Dual Eyes』にも『Dual Eyes β』にも出ていなかった。
まぁ、攻略対象になってないイケメンがいてもおかしくないよね。前世でも、モテないイケメンというのも存在したし、人によってイケメンは誰なのかは違う訳だし、自分がイケメンだと思う人が、恋愛対象として見られるかって聞かれたら、無理だって答える人もいるだろう。
「お父さんはどこ?」
「執務室におられると思いますよ?」
「ありがとう」
「あっ、お嬢様。ちょっと待ってください」
なんだ?
後ろを振り返ると、ニコニコ笑っているアルトがいる。
あんたのその笑顔は嫌な予感がするんだが……
「ケーナさんは置いていってくれますか?」
「はぁ?何で私なのさ」
「他の使用人に余計な事を吹き込んでくれたみたいだから」
あぁ……これはヤバいパターンだ。奴が敬語を失くすのはヤバいパターンに入った証拠だ。言えないけど!そのパターンが何なのかは口が裂けても言えないけど!
「ケーナ、頑張ってね。行こう、シズハ」
「は、はい!」
「あっ、シズハ!お嬢様!見捨てないでくれよ~!!」
「ケーナ、そんなに怖がらなくても良いんだよ……?」
何か、後ろから寒気がするけど、きっと気のせいだ。心なしか、悲鳴のようなものも聞こえた気がする。
私は何も感じない。何も聞こえない。今のは幻覚と幻聴だ。疲れているからそう感じてそう聞こえたんだ。そうだ、そうに違いない。
さっさと忘れてしまおう。
「シズハ、ここに来るまで何もなかった。いいね?」
「はっ……はい」
私についてきたのはシズハだけだ。ケーナなんて人はいなかった。
「お嬢様。帰られたんですか?」
「……レイか」
てっきり、アルトが追ってきたのかと思ったじゃん。なんかね、アルトにはたとえ目を合わせなくても心を読まれるんだ。(バイトだけど)営業一位になる私は、ポーカーフェイスもうまいから、簡単には読まれないはずなんだが……素の状態で接する事が多いからかな?
とにもかくにも、今の私の心を読まれてたら、誰かさんの二の舞になった可能性も捨てきれない。いや、血の契約結んでるから、私には危害を加えられないけど、でも一番油断出来ない。むしろ、レイに着けてる魔道具を、アルトに着けた方が良いんじゃないかと思っている。
「シズハ、何があったんだ?お嬢様がここまで沈む事は滅多にないぞ」
「アルト、さんに……お会いしてから……ずっと、こんな感じ……です」
「なるほど。あいつの本性を見たのか」
ちなみに、アルトの本性は私と刺客全員知っています。全員、他の使用人には本性を隠すけど、私達や同じ刺客達の前では素が出るんだよね。私もアルト以外は素の方が接しやすいから構わない。
「お父さんのところに行ってくるから、アルトの事は任せた」
「俺らを犠牲にする気か!?」
「電撃よりはマシでしょ!」
そう言って、二人を置いて走っていった。
私は知らん。我が身が可愛いんじゃ!何も聞こえない!私は前しか見ないから!
スタコラとその場から立ち去って、パパさんの執務室に入る。
「お父さん、今入っても良い?」
「あぁ、仕事は一段落ついたからな」
私がソファに座ると、パパさんは侍女にお茶を持ってきて貰うように頼んだ。
「それで、何か用があって来たんだろう?」
「うん、レオルド王子殿下から手紙が来てるって聞いたんだけど」
私は、燃やしたとかそんな事を言うもんだと思っていたので、この後のパパさんの答えに驚いた。
「手紙……?何の事だ?」
「届いてないの?」
「時々、エリーにお茶会の誘いは来ているが、王子殿下からの手紙はなかったぞ?」
えぇ……?じゃあ、王子の嘘?いや、こんな嘘をつくメリットはない。それなら、何で手紙が届いてないの?それとも……そもそも送られてない?
日本では、ポストに入れるのが普通だが、この国にポストなんてものはない。でも、ポストよりもある意味ハイテクなものだ。……貴族だけだけど。
まず、貴族の手紙を届ける方法は、家に一つある、転移魔法がこもった魔道具を使う。簡単に言えば、スマホのメッセージみたいな感じ。魔道具の魔法陣に転移させたいものを置いて、魔力を通しながら、コードを唱えれば、そのコードで登録している魔道具に魔法陣に置いたものが転移する……という仕組み。
魔道具をスマホ。魔法陣をメッセージアプリ。コードをメアドやアカウントだと思って貰えば分かりやすいかな?……えっ?分からない?頑張って分かってくれ!これ以上は例えようがない!
まぁともかく、手紙が届いていないという事は、パパさんが処分したか、そもそも送られていないという二択しかない。パパさんが違うというのなら、そもそも送られていない。でも、王子は送ったと思っていた。
……犯人はあいつか。
「あっ、お嬢様」
そう言って出迎えたのはアルト。アルトは、見た目は無害そうな犬みたいな感じなんだけど、本性はドSの狼だ。顔が良いから、レイと同様にメイドからモテている。本性を知ったら、どっちも離れていきそうだけどね。
な~んか、個性的な刺客が多いな。というか、アルトとレイは顔も良いし、隠しキャラ的な枠でいてもおかしくないと思うけど……『Dual Eyes』にも『Dual Eyes β』にも出ていなかった。
まぁ、攻略対象になってないイケメンがいてもおかしくないよね。前世でも、モテないイケメンというのも存在したし、人によってイケメンは誰なのかは違う訳だし、自分がイケメンだと思う人が、恋愛対象として見られるかって聞かれたら、無理だって答える人もいるだろう。
「お父さんはどこ?」
「執務室におられると思いますよ?」
「ありがとう」
「あっ、お嬢様。ちょっと待ってください」
なんだ?
後ろを振り返ると、ニコニコ笑っているアルトがいる。
あんたのその笑顔は嫌な予感がするんだが……
「ケーナさんは置いていってくれますか?」
「はぁ?何で私なのさ」
「他の使用人に余計な事を吹き込んでくれたみたいだから」
あぁ……これはヤバいパターンだ。奴が敬語を失くすのはヤバいパターンに入った証拠だ。言えないけど!そのパターンが何なのかは口が裂けても言えないけど!
「ケーナ、頑張ってね。行こう、シズハ」
「は、はい!」
「あっ、シズハ!お嬢様!見捨てないでくれよ~!!」
「ケーナ、そんなに怖がらなくても良いんだよ……?」
何か、後ろから寒気がするけど、きっと気のせいだ。心なしか、悲鳴のようなものも聞こえた気がする。
私は何も感じない。何も聞こえない。今のは幻覚と幻聴だ。疲れているからそう感じてそう聞こえたんだ。そうだ、そうに違いない。
さっさと忘れてしまおう。
「シズハ、ここに来るまで何もなかった。いいね?」
「はっ……はい」
私についてきたのはシズハだけだ。ケーナなんて人はいなかった。
「お嬢様。帰られたんですか?」
「……レイか」
てっきり、アルトが追ってきたのかと思ったじゃん。なんかね、アルトにはたとえ目を合わせなくても心を読まれるんだ。(バイトだけど)営業一位になる私は、ポーカーフェイスもうまいから、簡単には読まれないはずなんだが……素の状態で接する事が多いからかな?
とにもかくにも、今の私の心を読まれてたら、誰かさんの二の舞になった可能性も捨てきれない。いや、血の契約結んでるから、私には危害を加えられないけど、でも一番油断出来ない。むしろ、レイに着けてる魔道具を、アルトに着けた方が良いんじゃないかと思っている。
「シズハ、何があったんだ?お嬢様がここまで沈む事は滅多にないぞ」
「アルト、さんに……お会いしてから……ずっと、こんな感じ……です」
「なるほど。あいつの本性を見たのか」
ちなみに、アルトの本性は私と刺客全員知っています。全員、他の使用人には本性を隠すけど、私達や同じ刺客達の前では素が出るんだよね。私もアルト以外は素の方が接しやすいから構わない。
「お父さんのところに行ってくるから、アルトの事は任せた」
「俺らを犠牲にする気か!?」
「電撃よりはマシでしょ!」
そう言って、二人を置いて走っていった。
私は知らん。我が身が可愛いんじゃ!何も聞こえない!私は前しか見ないから!
スタコラとその場から立ち去って、パパさんの執務室に入る。
「お父さん、今入っても良い?」
「あぁ、仕事は一段落ついたからな」
私がソファに座ると、パパさんは侍女にお茶を持ってきて貰うように頼んだ。
「それで、何か用があって来たんだろう?」
「うん、レオルド王子殿下から手紙が来てるって聞いたんだけど」
私は、燃やしたとかそんな事を言うもんだと思っていたので、この後のパパさんの答えに驚いた。
「手紙……?何の事だ?」
「届いてないの?」
「時々、エリーにお茶会の誘いは来ているが、王子殿下からの手紙はなかったぞ?」
えぇ……?じゃあ、王子の嘘?いや、こんな嘘をつくメリットはない。それなら、何で手紙が届いてないの?それとも……そもそも送られてない?
日本では、ポストに入れるのが普通だが、この国にポストなんてものはない。でも、ポストよりもある意味ハイテクなものだ。……貴族だけだけど。
まず、貴族の手紙を届ける方法は、家に一つある、転移魔法がこもった魔道具を使う。簡単に言えば、スマホのメッセージみたいな感じ。魔道具の魔法陣に転移させたいものを置いて、魔力を通しながら、コードを唱えれば、そのコードで登録している魔道具に魔法陣に置いたものが転移する……という仕組み。
魔道具をスマホ。魔法陣をメッセージアプリ。コードをメアドやアカウントだと思って貰えば分かりやすいかな?……えっ?分からない?頑張って分かってくれ!これ以上は例えようがない!
まぁともかく、手紙が届いていないという事は、パパさんが処分したか、そもそも送られていないという二択しかない。パパさんが違うというのなら、そもそも送られていない。でも、王子は送ったと思っていた。
……犯人はあいつか。
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