悪役令嬢?それがどうした!~好き勝手生きて何が悪い~

りーさん

文字の大きさ
30 / 53
公爵令嬢?それがどうした!

第30話 届いていない

しおりを挟む
 騎士の人に招かれざるお客さんと、放心王子を押しつけ……引き渡したところで、我が家に帰ってきました。

「あっ、お嬢様」

 そう言って出迎えたのはアルト。アルトは、見た目は無害そうな犬みたいな感じなんだけど、本性はドSの狼だ。顔が良いから、レイと同様にメイドからモテている。本性を知ったら、どっちも離れていきそうだけどね。

 な~んか、個性的な刺客が多いな。というか、アルトとレイは顔も良いし、隠しキャラ的な枠でいてもおかしくないと思うけど……『Dual Eyes』にも『Dual Eyes β』にも出ていなかった。

 まぁ、攻略対象になってないイケメンがいてもおかしくないよね。前世でも、モテないイケメンというのも存在したし、人によってイケメンは誰なのかは違う訳だし、自分がイケメンだと思う人が、恋愛対象として見られるかって聞かれたら、無理だって答える人もいるだろう。

「お父さんはどこ?」
「執務室におられると思いますよ?」
「ありがとう」
「あっ、お嬢様。ちょっと待ってください」

 なんだ?

 後ろを振り返ると、ニコニコ笑っているアルトがいる。

 あんたのその笑顔は嫌な予感がするんだが……

「ケーナさんは置いていってくれますか?」
「はぁ?何で私なのさ」
「他の使用人に余計な事を吹き込んでくれたみたいだから」

 あぁ……これはヤバいパターンだ。奴が敬語を失くすのはヤバいパターンに入った証拠だ。言えないけど!そのパターンが何なのかは口が裂けても言えないけど!

「ケーナ、頑張ってね。行こう、シズハ」
「は、はい!」
「あっ、シズハ!お嬢様!見捨てないでくれよ~!!」
「ケーナ、そんなに怖がらなくても良いんだよ……?」

 何か、後ろから寒気がするけど、きっと気のせいだ。心なしか、悲鳴のようなものも聞こえた気がする。

 私は何も感じない。何も聞こえない。今のは幻覚と幻聴だ。疲れているからそう感じてそう聞こえたんだ。そうだ、そうに違いない。

 さっさと忘れてしまおう。

「シズハ、ここに来るまで何もなかった。いいね?」
「はっ……はい」

 私についてきたのはシズハだけだ。ケーナなんて人はいなかった。

「お嬢様。帰られたんですか?」
「……レイか」

 てっきり、アルトが追ってきたのかと思ったじゃん。なんかね、アルトにはたとえ目を合わせなくても心を読まれるんだ。(バイトだけど)営業一位になる私は、ポーカーフェイスもうまいから、簡単には読まれないはずなんだが……素の状態で接する事が多いからかな?

 とにもかくにも、今の私の心を読まれてたら、誰かさんの二の舞になった可能性も捨てきれない。いや、血の契約結んでるから、私には危害を加えられないけど、でも一番油断出来ない。むしろ、レイに着けてる魔道具を、アルトに着けた方が良いんじゃないかと思っている。

「シズハ、何があったんだ?お嬢様がここまで沈む事は滅多にないぞ」
「アルト、さんに……お会いしてから……ずっと、こんな感じ……です」
「なるほど。あいつの本性を見たのか」

 ちなみに、アルトの本性は私と刺客全員知っています。全員、他の使用人には本性を隠すけど、私達や同じ刺客達の前では素が出るんだよね。私もアルト以外は・・・・・・素の方が接しやすいから構わない。

「お父さんのところに行ってくるから、アルトの事は任せた」
「俺らを犠牲にする気か!?」
「電撃よりはマシでしょ!」

 そう言って、二人を置いて走っていった。

 私は知らん。我が身が可愛いんじゃ!何も聞こえない!私は前しか見ないから!

 スタコラとその場から立ち去って、パパさんの執務室に入る。

「お父さん、今入っても良い?」
「あぁ、仕事は一段落ついたからな」

 私がソファに座ると、パパさんは侍女にお茶を持ってきて貰うように頼んだ。

「それで、何か用があって来たんだろう?」
「うん、レオルド王子殿下から手紙が来てるって聞いたんだけど」

 私は、燃やしたとかそんな事を言うもんだと思っていたので、この後のパパさんの答えに驚いた。

「手紙……?何の事だ?」
「届いてないの?」
「時々、エリーにお茶会の誘いは来ているが、王子殿下からの手紙はなかったぞ?」

 えぇ……?じゃあ、王子の嘘?いや、こんな嘘をつくメリットはない。それなら、何で手紙が届いてないの?それとも……そもそも送られてない?

 日本では、ポストに入れるのが普通だが、この国にポストなんてものはない。でも、ポストよりもある意味ハイテクなものだ。……貴族だけだけど。

 まず、貴族の手紙を届ける方法は、家に一つある、転移魔法がこもった魔道具を使う。簡単に言えば、スマホのメッセージみたいな感じ。魔道具の魔法陣に転移させたいものを置いて、魔力を通しながら、コードを唱えれば、そのコードで登録している魔道具に魔法陣に置いたものが転移する……という仕組み。

 魔道具をスマホ。魔法陣をメッセージアプリ。コードをメアドやアカウントだと思って貰えば分かりやすいかな?……えっ?分からない?頑張って分かってくれ!これ以上は例えようがない!

 まぁともかく、手紙が届いていないという事は、パパさんが処分したか、そもそも送られていないという二択しかない。パパさんが違うというのなら、そもそも送られていない。でも、王子は送ったと思っていた。

 ……犯人はあいつか。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

転生した世界のイケメンが怖い

祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。 第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。 わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。 でもわたしは彼らが怖い。 わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。 彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。 2024/10/06 IF追加 小説を読もう!にも掲載しています。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

所(世界)変われば品(常識)変わる

章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。 それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。 予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう? ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。 完結まで予約投稿済み。 全21話。

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

変な転入生が現れましたので色々ご指摘さしあげたら、悪役令嬢呼ばわりされましたわ

奏音 美都
恋愛
上流階級の貴族子息や令嬢が通うロイヤル学院に、庶民階級からの特待生が転入してきましたの。  スチュワートやロナルド、アリアにジョセフィーンといった名前が並ぶ中……ハルコだなんて、おかしな

痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。 お嬢様の悩みは…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴッドハンドで世界を変えますよ? ********************** 転生侍女シリーズ第三弾。 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

処理中です...