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公爵令嬢?それがどうした!
第42話 鬼が出るか蛇が出るか
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「どうしてここにいるの?」
「さぁな。俺でも分からん」
てっきり、もうどこかに行っていると思ってたのに。もう魔道具で縛られてもいないのに。わざわざ刺されてまで庇ってくれるなんて。
「結界を張ってたんだけどなぁ。どうやって入ってきたんだ?」
結界内にレイはいなかったのか。なら、本当にどうやって入ってきたの?隔離結界は、普通は結界がある事にすら気づかないはずなのに。
「魔力透過症って知ってるか?俺はそれなんだよ」
まりょくとうか……?何その症状。なんかの病気ですか?奇病的な?
「あぁ……稀に生まれる、魔法が一切効かない人間の事か」
知っているのが当たり前のようにそんな事を呟いた。
初耳ですけど!?そんなのあるの!?チートじゃねぇか!魔法攻撃が一切効かないんでしょ!?
……うん?待てよ、という事は……
「電撃、あまり効いてなかったの?」
「いや、あれは結構効いてたぞ?立っていても膝をつくくらいには」
じゃあ、魔道具による攻撃は有効なの?魔法だって事には変わらないんじゃ?魔道具と人が使う魔法は、何が違うんだろう……ゲームにはそんなの出て……と思った時、ノイズ入りの場面が脳内に再生された。あれ?今のシーンはなんだ?
いや、今はそんな事はいい。それよりも、早く立たないと!体の痛みはすべて忘れて立ち上がる。ほとんど手の力だけど。立てるから、まだ骨は折れていない。
なんとかこの場から動かないと。
「大丈夫か?」
「心配するなら自分の心配したら?」
「刺されるような真似はしねーよ」
私から庇って刺されたくせに。
「言ってくれるじゃないか」
レイの腕からナイフが抜かれると、その瞬間、レイは私を抱えて後ろに飛んだ。それとほぼ同時に切り裂き音と共にナイフが目の前を通る。
「反応が早いじゃないか。ただの使用人ではなさそうだな」
「あぁ。もともと俺もお前側だったからな」
同じような態度で話しながら、私に目で逃げろと合図してくる。目でうなずくと、レイは手から離した。
そして、私の方に何か二つ投げてきた。それは、一つは短剣。武器が手に入ったのは単純に嬉しい。もう一つはネックレスみたいな見た目で、シンプルなデザインの物だった。
なんとなく、これを首にかけて、結界に突っ込んでいくと、何もないかのように通り抜けた。これは、魔法を無効化出来るものみたい。
なんでレイがこんなもの持ってるんだ!?レイがこれを使っているのを見た事はない。でも、さすがに泥棒するような感じはしない。なら、最初から持っていたという事になる。
一体、どこで手に入れたんだろう……
そう思いながらも、まずは自分の身だと思って、物陰に隠れて、回復魔法をかける。もう足はパンパンに腫れている。骨が折れていないのが不思議なくらいだ。
足を意識したとたん、猛烈な痛みが全身を襲った。
「痛っ……!!」
もう痛みを意識してしまったから、すぐには立てないな。一応、いつでも逃げられるように立ち上がりやすい姿勢にしているけど。
今のうちに、対抗策を考えておかないと。多分、普通の魔法では効かない。なら、ある程度作戦を立てないといけない。
それにしても……何でレイは助けてくれたんだろう。自分で言うのもなんだけど、あまり良い扱いはしていなかったように思うのに。むしろ、電撃浴びせたり使いっぱしりにしたりひどい扱いだったような気がする。
そして、何でみんな起きないんだ?結構大きな音が鳴っていたように思えるのに、睡眠薬とかを使ったとしても、あの元刺客三人は起きていられるはずだ。
耐性がなかったら分からないけど。
そのまま回復魔法をかけ続けて、なんとかツギハギくらいにはなった。少なくとも、筋肉痛くらいの痛みはあるけど、さっきよりも1000倍はマシだ。
とりあえず、三人がいるであろう使用人棟に行こう。歩く度にズキッと痛みがする。でも、耐えられないほどではない。
体力を温存するために早歩きくらいで向かっていると、向こうから人影が見えた。
「ちょっとお嬢様!この騒ぎは何なんだ?」
「刺客……ですか?」
「それに、レイさんはどこにいるんですか?」
よかった。起きていなかったらどついていた所だった。
「レイは向こうにいる。みんなは、お父さん達を避難させて」
有無は言わせない。反論を聞く気はないので、それだけ言ってまた戻っていく。
いつもと違う私の様子に驚いたのか、一瞬動きが止まっていたけど、すぐに三手に別れた。
これで家族はおそらく大丈夫。逃げるだけなら多分多少の怪我くらいですむはずだ。
後は、あれを何とかしないと。
本当は、学園の様子を見るまでは死にたくはない。乙女ゲームの舞台となったものを生で見たい。
でも、それを優先して人が死ぬくらいなら、それはどうでもよくなる。自分がやりたいように生きる。それは変わってない。でも、傷つけられるのを黙って見られるほど薄情者でもないつもりだ。
でも、あいつに同じ手は二度は通じないだろう。同じような方法を使えば、気配を探られる。殺されるなら、もう少し後にしてもらわねば。学園を見たいのもあるが、侯爵との決着をつけていないんだ!
さて、どう動くか。レイからもらったネックレスのおかげで結界はなんとかなる。でも、私自身があの動きについていけないといけない。まだ足は完全には回復していない。でも、ついていけない事もないだろう。
すべての最悪な場合を想定する。でも、勝てる確率は0%ではない。鬼が出るか蛇が出るか。やってみますか!
「さぁな。俺でも分からん」
てっきり、もうどこかに行っていると思ってたのに。もう魔道具で縛られてもいないのに。わざわざ刺されてまで庇ってくれるなんて。
「結界を張ってたんだけどなぁ。どうやって入ってきたんだ?」
結界内にレイはいなかったのか。なら、本当にどうやって入ってきたの?隔離結界は、普通は結界がある事にすら気づかないはずなのに。
「魔力透過症って知ってるか?俺はそれなんだよ」
まりょくとうか……?何その症状。なんかの病気ですか?奇病的な?
「あぁ……稀に生まれる、魔法が一切効かない人間の事か」
知っているのが当たり前のようにそんな事を呟いた。
初耳ですけど!?そんなのあるの!?チートじゃねぇか!魔法攻撃が一切効かないんでしょ!?
……うん?待てよ、という事は……
「電撃、あまり効いてなかったの?」
「いや、あれは結構効いてたぞ?立っていても膝をつくくらいには」
じゃあ、魔道具による攻撃は有効なの?魔法だって事には変わらないんじゃ?魔道具と人が使う魔法は、何が違うんだろう……ゲームにはそんなの出て……と思った時、ノイズ入りの場面が脳内に再生された。あれ?今のシーンはなんだ?
いや、今はそんな事はいい。それよりも、早く立たないと!体の痛みはすべて忘れて立ち上がる。ほとんど手の力だけど。立てるから、まだ骨は折れていない。
なんとかこの場から動かないと。
「大丈夫か?」
「心配するなら自分の心配したら?」
「刺されるような真似はしねーよ」
私から庇って刺されたくせに。
「言ってくれるじゃないか」
レイの腕からナイフが抜かれると、その瞬間、レイは私を抱えて後ろに飛んだ。それとほぼ同時に切り裂き音と共にナイフが目の前を通る。
「反応が早いじゃないか。ただの使用人ではなさそうだな」
「あぁ。もともと俺もお前側だったからな」
同じような態度で話しながら、私に目で逃げろと合図してくる。目でうなずくと、レイは手から離した。
そして、私の方に何か二つ投げてきた。それは、一つは短剣。武器が手に入ったのは単純に嬉しい。もう一つはネックレスみたいな見た目で、シンプルなデザインの物だった。
なんとなく、これを首にかけて、結界に突っ込んでいくと、何もないかのように通り抜けた。これは、魔法を無効化出来るものみたい。
なんでレイがこんなもの持ってるんだ!?レイがこれを使っているのを見た事はない。でも、さすがに泥棒するような感じはしない。なら、最初から持っていたという事になる。
一体、どこで手に入れたんだろう……
そう思いながらも、まずは自分の身だと思って、物陰に隠れて、回復魔法をかける。もう足はパンパンに腫れている。骨が折れていないのが不思議なくらいだ。
足を意識したとたん、猛烈な痛みが全身を襲った。
「痛っ……!!」
もう痛みを意識してしまったから、すぐには立てないな。一応、いつでも逃げられるように立ち上がりやすい姿勢にしているけど。
今のうちに、対抗策を考えておかないと。多分、普通の魔法では効かない。なら、ある程度作戦を立てないといけない。
それにしても……何でレイは助けてくれたんだろう。自分で言うのもなんだけど、あまり良い扱いはしていなかったように思うのに。むしろ、電撃浴びせたり使いっぱしりにしたりひどい扱いだったような気がする。
そして、何でみんな起きないんだ?結構大きな音が鳴っていたように思えるのに、睡眠薬とかを使ったとしても、あの元刺客三人は起きていられるはずだ。
耐性がなかったら分からないけど。
そのまま回復魔法をかけ続けて、なんとかツギハギくらいにはなった。少なくとも、筋肉痛くらいの痛みはあるけど、さっきよりも1000倍はマシだ。
とりあえず、三人がいるであろう使用人棟に行こう。歩く度にズキッと痛みがする。でも、耐えられないほどではない。
体力を温存するために早歩きくらいで向かっていると、向こうから人影が見えた。
「ちょっとお嬢様!この騒ぎは何なんだ?」
「刺客……ですか?」
「それに、レイさんはどこにいるんですか?」
よかった。起きていなかったらどついていた所だった。
「レイは向こうにいる。みんなは、お父さん達を避難させて」
有無は言わせない。反論を聞く気はないので、それだけ言ってまた戻っていく。
いつもと違う私の様子に驚いたのか、一瞬動きが止まっていたけど、すぐに三手に別れた。
これで家族はおそらく大丈夫。逃げるだけなら多分多少の怪我くらいですむはずだ。
後は、あれを何とかしないと。
本当は、学園の様子を見るまでは死にたくはない。乙女ゲームの舞台となったものを生で見たい。
でも、それを優先して人が死ぬくらいなら、それはどうでもよくなる。自分がやりたいように生きる。それは変わってない。でも、傷つけられるのを黙って見られるほど薄情者でもないつもりだ。
でも、あいつに同じ手は二度は通じないだろう。同じような方法を使えば、気配を探られる。殺されるなら、もう少し後にしてもらわねば。学園を見たいのもあるが、侯爵との決着をつけていないんだ!
さて、どう動くか。レイからもらったネックレスのおかげで結界はなんとかなる。でも、私自身があの動きについていけないといけない。まだ足は完全には回復していない。でも、ついていけない事もないだろう。
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