これが『契約』だとおっしゃったのはあなたです!~貧乏令嬢は、夫の愛は望まない~

りーさん

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12 (公爵視点)

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 アリジェント王国の国境の砦で、マルクスは資料を読んでいた。
 本来なら、国境まで数日はかかってしまうが、砦にある転移陣でここまで来ることができる。もちろん、砦を占拠されて、簡単に都に来られても困るので、都からしかいけない一方通行の魔法陣だ。
 マルクスがここに来た理由は、最近きな臭い動きを見せているアリジェント王国を探るため。ユールフェース男爵家との縁談が急に持ち上がったのも、アリジェント王国の動きのせいだった。
 それを見て、思わず呆けるような顔をしてしまう。

「なんか変なことでも書いてあったのか?」

 マルクスにしては珍しい表情をしていたので、マルクスの部下であり、魔法騎士団の副団長のシューゼンがマルクスの持っている資料を覗き込むようにして聞いてくる。
 二人は、同期の騎士なので、今は騎士団長と副団長という立場だが、お互いに砕けたように接している。
 マルクスは、なんとなく見せたくないような気がして、さりげなくシューゼンの視界から資料を消したが、そうされてしまうと、余計に気になるのがシューゼンの性だ。

「なんで隠すんだよ!何が書いてあったって言うんだ!」
「……お前は、私の屋敷を魔法で壊すような存在がいると思うか?」

 マルクスは、シューゼンを見るようなことはしなかったが、ため息をつきながら話す。

「なんかの魔物の話でもしてるのか?」
「いや、れっきとした人間の話だ」
「はぁっ!?お前の屋敷、防御魔法がかかってるだろ!生半可な魔法じゃ傷一つつかないだろうが!」

 シューゼンの言う通り、マルクスの屋敷には防御魔法がかけられており、そこらの魔法では傷ついたりすることはない。ヒビが入っているということは、その防御魔法で防げる威力を越えているということだ。

「お前の屋敷にそんな魔法使いの存在は聞いたことがないんだがなぁ……」
「公爵家には最近来たからな」

 マルクスがぶっきらぼうにそう言うと、シューゼンは考える動作をする。そして、一つの答えにたどり着いたようで、マルクスに詰め寄った。

「おい!まさか、噂の奥様じゃないだろうな!」
「……間違っているとは言えない」

 壁に傷をつけたのは、フィリスではなく、その弟妹のジルスタとメイロードとかいう子たちだが、フィリスが木を折ったという報告もあるし、弟妹たちを屋敷内に入れたのはフィリスなので、はっきり違うとは言いきれない。
 もちろん、弟妹たちだけが防御魔法を突破できるほどの強い魔法を使え、フィリスは使えないという可能性もあるが、それは絶対とは言えない。
 なぜなら、フィリスが折った木も、普通の強度ではないからだ。屋敷よりは簡単に折らすことができるだろうが、普通の木よりも頑丈なもの。
 当然のことだ。魔法や武器などの的として使うのだから。簡単に折れてしまっては、植え直す必要がある。

「奥様の家族とかそこらへんか?奥様の家って、そんな魔法の名家だったっけか?」
「ユールフェース……といえば、わかるだろう」
「あぁ……そういうことか」

 フィリスの実家の家名を言っただけで、シューゼンは納得する。国の上層部は、アリジェント王家の血筋という危険性を知っているからだ。
 アリジェント王家は、魔力量が多く、その魔力も強い者が多い。その代償というべきか、属性魔法を持っているのは稀である。
 だが、それを差し引いても、強力な力を持っているのは間違いない。実際に王家の者が戦っているのを見たわけではないので、噂でしかないが、身体能力を強化したり、物理も魔法も防ぐ障壁を張ったりということもできるそうだ。
 そして、それを全体にかけることもできるという。それを考えたら、他国に取られたくないと考えるのは当然のことだ。

(そして、ここまでの騒動を起こしたということは、本人たちは自覚していないな……)

 あくまでも、護衛代わりとしてつけておくかと影をつけたつもりだったが、それは正解だったかもしれないと感じた。
 護衛というよりは、監視という意味合いが強いが、こんな力を好き勝手に使われてしまったら、誘拐なんて頻繁に起きてしまう。強い魔力があったとしても、魔力を封じる魔道具もあったりするので、それを使われたら意味がない。

「そういえば、おかしな要求も来たんだよ」
「おかしな要求?」
「もともとユールフェースってさ、同盟強化のために嫁いだ王女様の子どもが恋愛結婚して王家の血が流れてるだろ?」
「そうだな」

 ユールフェース男爵家にアリジェント王家の血が流れるようになったのは、およそ100年ほど前からだ。当時の国王たちが、一度は停戦として、お互いの王家の娘を嫁に出した。
 こちらでは公爵家の一つであるマクルメル公爵家にアリジェントの王女を嫁がせた。王家に迎え入れるという話ももちろんあったのだが、当時の王子は一人しかおらず、その王子も別の国の王女との婚約が決まっていたので、それを解消させるわけにはいかなかった。
 その結果、公爵家に嫁ぐことになったのだが、その娘が今回の問題に深く関わることになる。
 その王女の娘が、平民と恋に落ちてしまった。高貴な血筋の由緒正しいお嬢様と、貴族でもなんでもなく、何の力も持たない平民。そんな夢物語みたいな話が、実際にあった。
 もちろん、周囲からは反対された。お互いに違いすぎる環境。苦労するのが目に見えているからだ。
 それでも、二人は譲らず、そのお嬢様は、平民になってもいいとまで豪語した。
 さすがに隣国の王家の血筋のお嬢様を平民にするわけにはいかない。
 そのために、その平民に男爵家の位を与えて、ユールフェースの家名を授けた。これが、ユールフェース男爵家の始まりだ。
 ただ、貴族主義の者からすれば、平民上がりが自分たちの仲間入りをするのは面白くない。そのために、特に価値もないような、いわゆるハズレと呼ばれる領地を授けられた。それが、今でも続いているために、王家の血を引く貧乏貴族が生まれてしまった。
 そして、悲しいことに、王家の血を引くというのは、年月が経つにつれ忘れられてきている。貴族で知っているのは、いわゆる上級貴族と呼ばれる、侯爵以上の家柄だ。伯爵以下は、噂程度としか思っていないだろう。もちろん、すべての家がそうであるとは言いきれないが。

(陛下は、土地を与えようとしているが、ただ与えても、何かしらの方法で妨害されるのは間違いないな)

 さすがに、略奪などの犯罪を行えば、貴族であろうと罰せられるが、証拠がなければ、罰することはできない。
 貴族社会を生き抜いてきた彼らなので、証拠を残さないように動くのは簡単だろう。
 人は、悪い部分はよく覚えているものだ。アリジェントの血筋は忘れられても、平民上がりというのは覚えているものなのである。そんな平民上がりに、同じ土台に立たれたくないという小さなプライドが存在する貴族は多い。
 アリジェント王家の血が流れているユールフェース彼らに喧嘩を売るなど、自殺行為でしかないが。

「それで、それがどうしたというんだ」
「それでさ、その歴史がどういうふうに歪曲されたのかは知らないんだけど、こんな文面が送られてきたみたいなんだ。これはコピーだけどな」

 シューゼンがそう言って渡してきたのは、一枚の紙切れ。そこには、隣国の文字でこう書いてあった。

 お前たちの国に拐かされた王家の血を引く者たちを引き渡せば、今までの無礼を許してやる


 そんな文面を見て、マルクスはいつもの無表情を浮かべた。

「俺はこれの意味がわからねぇ」
「安心しろ。私も意味がわからない」

 そもそも、今まで援助等をしてきたのは、ファリシア王国のほうだ。なので、どちらかといえば、無礼を働いていたのは、アリジェント王国のほうである。
 こちらの歴史が歪曲している可能性もないとはいえないが、こちらのほうが土地が豊かなので、歪曲しているということはないだろう。

「それで、地方騎士の団長はなんと?」
「応じない、だとよ」
「ならば、戦争は避けられないか……」

 シューゼンの言葉を聞いて、マルクスはため息をつきながら呟く。
 それを見て、シューゼンはきょとんとした表情を浮かべた。

「難しいだろうなぁ。それにしても、戦争はそんなに嫌か?今までのお前なら、陛下の命ならって戦争してただろ」
「私が陛下の命を盾に戦争している戦争好きだとでも言いたいのか?」
「そうじゃないけどさ。そんなため息をついたりはしなかっただろ」
「あぁ、早く家に戻りたいと思っただけだ。彼女は放っておくと、そのうち屋敷を破壊しそうでな……」
「……まっ、そういうことにしといてやるか。ほら、国境警備隊と話してこようぜ」

 シューゼンの含みのある言い方に、マルクスは心の中で首をかしげたが、地方騎士である国境警備隊と話をするために、シューゼンとともに、警備隊が待機しているところに向かった。
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