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ジルとメイを連れて、食堂へとやってきた。料理は、朝とは大違い!少なめになっている。これだけでも嬉しすぎる……!
「奥様。ご兄弟方のお飲み物はいかがなさいますか?」
直前まで知らせていなかったせいか、飲み物は私にしか用意されていない。
いや、怒るつもりはない。むしろ、直前になってしまったのに、ジルとメイの分まで用意してくれた料理人たちには感謝しているくらい。でも、二人だけ飲み物がないのは、ちょっととは思う。
「二人は何が飲みたい?」
「ねーさまとおなじやつ」
「メイもおねーさまとおなじ!」
私と同じとなると、ワインになるわけだけど……。いや、ダメだよ。4歳の子どもに飲ませるものではない!
「えっとね。これはお酒だから、あなたたちは飲めないのよ」
「えー!」
「ねーさまとおなじのがいい!」
私が一緒は無理だとやんわりと伝えたら、二人から文句を言われてしまう。
お母様……。これが、あなたがおっしゃっていた『くれーむ』なるものなのでしょうか……
ぶーぶーと文句を言われてしまうと、やっぱり私は弱い。頑張って厳しくしようとは思っているけど、ちょっとでも泣かれてしまうと、私だけが悪いような気分にさせられる。
「奥様。ぶどうジュースならありますが……」
困っている私を見かねてか、レーラが助け船を出してくれる。私は、意気揚々とその槽に乗っかった。
ありがとうレーラ!
「じゃあ、ぶどうジュースにしてもらいましょう?材料はほとんど同じだから。ね?」
「「むぅ~……わかった」」
納得はしていなさそうだけど、渋々ながらも了承してくれたので、私はレーラのほうを振り向いた。
「それじゃあ、ぶどうジュースを2つよろしく」
「かしこまりました」
レーラは頭を下げて、食堂を出ていく。食堂には、今は使用人はミリスしかいなかった。
「あなたたち、明日になったらちゃんと戻るのよ?」
「えー!ずっとねーさまといたいのに!」
「ぼくも!」
「だーめ!」
私が強気に断ると、二人は悲しそうな表情をする。
「おねーさま……」
「ねーさま……」
こんな顔をされてしまうと、私の心が痛んでしまうけど、私は心を鬼にすると決めている。少しでも姉離れさせなければ。せめて、お父様の言うことくらい従ってもらわないと。
「ダメよ。私はあなたたちの姉ではあるけど、もう公爵家の人間なの。遊びに来るなとは言わないわ。でもね、せめて頻度も日数も減らしてもらわないと。遊びに来たこと自体は、私が呼んだのだからいいの。でも、泊まりなんて。事前に言っていたならまだしも、急に言うのだから、支度を整える使用人たちの負担が増えるのよ?」
こんな感じで、こんこんと説教をする。二人は、うつむきながらも、ちゃんと聞いてくれている……と、信じたい。
「「ごめんなさい……」」
最終的には、二人とも謝ってくれた。謝ってくれたならいいかと思ってしまう私は、やはり甘いんだろうか?
「わかったならいいの。せめて、1ヶ月に一度くらいにしておいて」
「「はーい……」」
とりあえず、これくらい言っておけば、二人もいきなり突撃は止めてくれるようになるだろう。
ジルもメイも、アリジェントの血筋なのだから、頻繁に屋敷から出てしまうと、誘拐の恐れとかもある。二人にはかわいそうだけど、なるべくお屋敷にいてもらわなきゃ。
「それじゃあ、晩餐の続きをしましょう」
「「はーい!」」
そこからは、おそらくしばらくはないと思われる家族団欒を楽しんだ。
ーーーーーーーーーーーーーー
第2回次世代ファンタジーカップ始まりました!ぜひともこの機会に読んでください……。もうお気に入りだけでもいいんで……。最悪、流して読むだけでもいいんで……。目だけでも通してください。
ちょこっとタイトルを変えて、『怠惰な魔法使いはマイペースに生きたい トラブルを持ってくるんじゃないよ!』になってます。元のお話と極力タイトルを近づけました。
それと、聖女と邪龍の娘も本格的に再開しました。今年の夏に完結を目標としています。どんなに遅くても、今年までには完結させようとしていますので、そちらもよろしくお願いします。
「奥様。ご兄弟方のお飲み物はいかがなさいますか?」
直前まで知らせていなかったせいか、飲み物は私にしか用意されていない。
いや、怒るつもりはない。むしろ、直前になってしまったのに、ジルとメイの分まで用意してくれた料理人たちには感謝しているくらい。でも、二人だけ飲み物がないのは、ちょっととは思う。
「二人は何が飲みたい?」
「ねーさまとおなじやつ」
「メイもおねーさまとおなじ!」
私と同じとなると、ワインになるわけだけど……。いや、ダメだよ。4歳の子どもに飲ませるものではない!
「えっとね。これはお酒だから、あなたたちは飲めないのよ」
「えー!」
「ねーさまとおなじのがいい!」
私が一緒は無理だとやんわりと伝えたら、二人から文句を言われてしまう。
お母様……。これが、あなたがおっしゃっていた『くれーむ』なるものなのでしょうか……
ぶーぶーと文句を言われてしまうと、やっぱり私は弱い。頑張って厳しくしようとは思っているけど、ちょっとでも泣かれてしまうと、私だけが悪いような気分にさせられる。
「奥様。ぶどうジュースならありますが……」
困っている私を見かねてか、レーラが助け船を出してくれる。私は、意気揚々とその槽に乗っかった。
ありがとうレーラ!
「じゃあ、ぶどうジュースにしてもらいましょう?材料はほとんど同じだから。ね?」
「「むぅ~……わかった」」
納得はしていなさそうだけど、渋々ながらも了承してくれたので、私はレーラのほうを振り向いた。
「それじゃあ、ぶどうジュースを2つよろしく」
「かしこまりました」
レーラは頭を下げて、食堂を出ていく。食堂には、今は使用人はミリスしかいなかった。
「あなたたち、明日になったらちゃんと戻るのよ?」
「えー!ずっとねーさまといたいのに!」
「ぼくも!」
「だーめ!」
私が強気に断ると、二人は悲しそうな表情をする。
「おねーさま……」
「ねーさま……」
こんな顔をされてしまうと、私の心が痛んでしまうけど、私は心を鬼にすると決めている。少しでも姉離れさせなければ。せめて、お父様の言うことくらい従ってもらわないと。
「ダメよ。私はあなたたちの姉ではあるけど、もう公爵家の人間なの。遊びに来るなとは言わないわ。でもね、せめて頻度も日数も減らしてもらわないと。遊びに来たこと自体は、私が呼んだのだからいいの。でも、泊まりなんて。事前に言っていたならまだしも、急に言うのだから、支度を整える使用人たちの負担が増えるのよ?」
こんな感じで、こんこんと説教をする。二人は、うつむきながらも、ちゃんと聞いてくれている……と、信じたい。
「「ごめんなさい……」」
最終的には、二人とも謝ってくれた。謝ってくれたならいいかと思ってしまう私は、やはり甘いんだろうか?
「わかったならいいの。せめて、1ヶ月に一度くらいにしておいて」
「「はーい……」」
とりあえず、これくらい言っておけば、二人もいきなり突撃は止めてくれるようになるだろう。
ジルもメイも、アリジェントの血筋なのだから、頻繁に屋敷から出てしまうと、誘拐の恐れとかもある。二人にはかわいそうだけど、なるべくお屋敷にいてもらわなきゃ。
「それじゃあ、晩餐の続きをしましょう」
「「はーい!」」
そこからは、おそらくしばらくはないと思われる家族団欒を楽しんだ。
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第2回次世代ファンタジーカップ始まりました!ぜひともこの機会に読んでください……。もうお気に入りだけでもいいんで……。最悪、流して読むだけでもいいんで……。目だけでも通してください。
ちょこっとタイトルを変えて、『怠惰な魔法使いはマイペースに生きたい トラブルを持ってくるんじゃないよ!』になってます。元のお話と極力タイトルを近づけました。
それと、聖女と邪龍の娘も本格的に再開しました。今年の夏に完結を目標としています。どんなに遅くても、今年までには完結させようとしていますので、そちらもよろしくお願いします。
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