聖女と邪龍の娘

りーさん

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第四章 隣国の少女達

第100話 真の厄災との対面

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 私が目を覚ますと、そこはまったく見覚えのない場所だった。
 部屋のような形をしていて、そのベッドに私は寝転がっていた。
 起き上がろうとしても、体がうまく動かない。呼吸もしにくい。

「瘴気ね……そこまで濃くないみたい」

 薄い瘴気がこの部屋にはあるのだろう。濃くはないから、気絶したりはしていない。でも、いつそうなるか分からない。
 まだ楽なうちに、部屋を見渡す。
 どうも見覚えがない。瘴気がこんなにも溢れているのだから、おそらくは私が先程までいた所の近くではない。どこか遠くに連れ去られたんだろう。

「思ったよりも目覚めるのが早かったな」

 誰かの声がして、そちらの方を見ると、邪気を纏った少年がいる。

「あなたは……?」
「レギウスだ。北の邪神と言えば分かるか」
「レギウス……様?」

 私はその言葉に気を引き締める。
 アルダ様のような方なら良いけど、ナティーシャ様のようだったら厄介だから。このレギウス様がどちらなのか分からない以上、下手な事はできない。
 でも、子どもになってくれているなら、悪い人ではないのかもしれない。

「お前に名を呼ぶ許可を与えた覚えはないが」
「失礼しました。それで、なぜ北の邪神様がここに?」
「俺がお前を連れてきた本人だからな」

 そう言われてしまうと、何も言えない。
 確かに、あの黒いものは、アルダ様に初めて会った時の、体を覆っていたもやーー邪気だった。
 水晶は、一定の量を吸ってくれるだけだからあの量にはーーって、あれ?ない!水晶が!

「ああ、お前が首から下げていたのは回収しておいた。邪魔だったからな」
「私に……何をさせるつもりですか?」
「知らない。あの方がお前に会いたがっている。俺は橋渡しを頼まれただけだ。まぁ、あの方の邪気に耐えられなかったらそれまでの存在って訳だ」

 それだけ言ってしまうと、レギウス様はいなくなる。
 何が起きているのかまるで分からない。
 父様達はこの事を把握しているのか。なぜ私だけを連れ去ったのか。それとも、リーズもいるのか。
 何もかもが分からないけど、今はレギウス様が言う、あの方に会ってみるしかないだろう。

「そういえば、精霊達もいない……」

 濃くないとはいえ、瘴気のあるところには存在できないのか。
 それとも、レギウス様が引き離したのか。

「起きていましたか。思ったよりは速かった」

 そんな声がする。
 そちらの方を見てみると、黒いもやのような固まりがこちらに近づいてくる。

「あなたは……真の厄災の……」
「ロードライトと申します。このようにお話しするのは初めてですね」

 そう言った後に、パチンという音がする。
 すると、もやがこちらの方に向かってきた。そして、私の周りを囲うように漂う。
 正面以外は、黒いもやに囲まれてしまった。

(これは……逃がさないって意味かな)

 私は邪気に触れたら、倒れてしまうほどには弱い。
 この邪気は、檻や枷のような役割を果たしているのだろう。

「さて、あなたもいろいろ知りたがっているのでは?」
「何を……ですか?」
「何もかもですよ。あなたが理外者と呼ばれ、私があなたを警戒する理由も、邪神の存在理由、私が真の厄災と呼ばれた所以も。全て気になるのでは?」
「気にならない……と、言えば嘘になります。でも、私にはあなたが真実を語っているか確かめる術がありませんから、聞くつもりはありません」

 そう。気にならないわけではない。
 でも、なんとなく、なんとなく聞きたくなかった。この話を聞いたら、後戻り出来なくなりそうで。だから、この言葉は言い訳に過ぎない。

「建前のようですが……まぁ、一理ありますか。では、あなたの片割れの事でも話しましょうか。信じるか信じないかはあなた次第ではありますが」
「リーズを……どうしたんですか」
「別に、手荒い真似はしていませんよ。この場所とは別の場所に隔離しているだけです。彼女の方が先に目覚めたので、先に会ってきたのですが、ずいぶんと嫌われたようで」
「あなたを好きになる所が見当たりませんもの」

 私も、あまり好きにはなれない。でも、どこか嫌いにもなれない。
 なんか、嫌われたという所は、本当に悲しんでいるように思えたから。

「そうでしょうね。私は、嫌われるべき存在・・・・・・・・ですから」
「……気が変わりました。先ほどの事を、話してくれませんか」

 聞きたくないのは変わらない。でも、聞かないといけないような気がする。

「おやおや。心変わりが早いですね。分かりました。お話ししましょうか、我々と聖女の存在理由を」
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