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第四章 隣国の少女達
第102話 厄災の始まり 1
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カオルが真の厄災と対面していた時、ルーフェミアは辺りを走り回っていた。
「やっぱり……!」
どんなに探し回っても、カオルもリーズも見当たらなかった。
ルーフェミアは、なんとなく分かっていた。邪神だったり、その関係者が二人を連れ去ったのだと。
(やはり、わたくしでは守りきる事は出来ないのですね)
自分の無力さが虚しかった。悲しかった。悔しかった。
精霊と契約して、魔法が強くなった所で、向こうからしてみれば、生まれたばかりの赤ん坊が二足歩行出来るようになったくらいの違いしかない。
それくらいに、人間と邪神の力の差は大きい。
「ルーフェミア様!」
「セレスティーナ様……」
自分を呼ぶ声がして、振り返ると、セレスティーナが走ってきていた。
急いで走ってきたようで、息を切らしている。
「すみません、お二人は……」
「お二人の事も心配ですが、今はそれどころではありませんわ。あれをご覧くださいまし」
セレスティーナが差した方を見ると、その辺りが暗くなっている。
今は、真昼間の時間帯のはずなのに、真夜中のように真っ暗だった。
そして、その暗闇は、だんだんとこちらに近づいてきているようにも見える。
「な、なんですの、あれは!?」
「分かりませんわ。ひとまず、マリア先生の所まで行きましょう。何か分かるかもしれません」
マリアは、元々聖女だった人。
あれが邪神などに関係があるのだとしたら、一番詳しいのは彼女だ。
「そうですわね。先生の部屋は向こう側でしたわね」
ある程度落ち着きを取り戻したルーフェミアは、マリアがいるであろう場所に視線を向ける。
だが、ルーフェミアたちが向かう必要はなかった。
偶然か必然か、会いに行こうとした存在が目の前に現れる。
「ルーフェミアさん。セレスティーナさん。ご無事でしたか」
「マリア先生!」
セレスティーナは呼ぶが、マリアは辺りをキョロキョロと見渡している。
「やはり、カオルちゃんたちはいませんか……」
その言葉で、マリアがカオルたちを探していた事に気づいた。
実の娘なのだから当然なのだが、自分たちを探していた訳ではなかった事実に少し気持ちが沈むのを感じる。
「……すみません。わたくしたちの不注意でカオルさんが……」
「いえ、あなたたちのせいではありません。私も、不用意に離れすぎました」
本当は、ルーフェミアやセレスティーナを責めたい気持ちはあった。
なぜ見ていてくれなかったのかと。なぜ何度も連れ去れるのを許すのかと。
でも、マリアは娘達がそのような思いをするのを黙って見ていられなかったからこそ、リヴィエルドに無理を言って死人となってまでここに来た。
(おそらく、あの一件でカオルちゃんは聖女になりつつある。そうなると、私の魂は……)
もう一度悲しみを与えたくはない。
死人であろうが、叶うのなら、娘達の成長を見守っていたいのが本音だ。でも、それが叶わないというのは、マリアが一番良く知っている。
(……って、それは今、考える事ではないわ)
考えが脱線していた事に気づき、マリアは空を見上げる。
暗闇は、もうマリア達の頭上ほどにまで届き始めていた。
「それよりも、ついに始まってしまったようですね……」
「マリアさん。あれは……なんなのですか」
「あれは瘴気と邪気が混ざったものです。あれを生み出せるのは……ロードライト。真の厄災しかいませんね」
「ならば、これはその厄災の仕業なのですか?」
「そうであり、そうではありません」
マリアの言葉に二人は顔を見合わせる。マリアの言葉の意味が分からなかったからだ。
「あの……それは、どういう意味ですの?」
「それはーー」
マリアが説明しようとした時、マリアの目が見開く。
「……それを説明する前に、あれをなんとかしないといけませんね」
マリアは、虚空に手をかざすと、一直線に光の柱を生み出した。
その柱は、暗闇を突き抜けて、穴を作る。だが、その穴はすぐに埋もれてしまった。
ルーフェミアとセレスティーナは驚愕の表情を浮かべているが、マリアは冷たい視線を向けている。
「お久しぶり……いえ、初めましての方が近いでしょうか?」
「邪気と瘴気があってもお気づきになられるとは。さすがは元聖女……と言った所ですわね」
虚空から声がする。
ルーフェミアとセレスティーナが目を凝らしても、そこにはやはり暗闇が広がっているだけ。
「あの……どちら様、ですの?」
「ああ、普通の人間のお二人はさすがに分かりませんのね。姿をお見せしますわ」
そう言うと、何か黒いものが集まり、人の形を取る。
それは、マリアと同じくらいの身長ではあるが、妖艶な雰囲気を漂わせる女性だった。
一目で人間ではないのは分かる。
その女性は地面へと降り立ち、まるで貴族の令嬢のようにカーテシーをする。
「マリア様、お久しぶりでございます。そしてお二方は初めまして。わたくし、南の邪神などと揶揄される、カナエと申しますわ。ロードライト様の命で、マリア様をお迎えにあがりましたの」
「やっぱり……!」
どんなに探し回っても、カオルもリーズも見当たらなかった。
ルーフェミアは、なんとなく分かっていた。邪神だったり、その関係者が二人を連れ去ったのだと。
(やはり、わたくしでは守りきる事は出来ないのですね)
自分の無力さが虚しかった。悲しかった。悔しかった。
精霊と契約して、魔法が強くなった所で、向こうからしてみれば、生まれたばかりの赤ん坊が二足歩行出来るようになったくらいの違いしかない。
それくらいに、人間と邪神の力の差は大きい。
「ルーフェミア様!」
「セレスティーナ様……」
自分を呼ぶ声がして、振り返ると、セレスティーナが走ってきていた。
急いで走ってきたようで、息を切らしている。
「すみません、お二人は……」
「お二人の事も心配ですが、今はそれどころではありませんわ。あれをご覧くださいまし」
セレスティーナが差した方を見ると、その辺りが暗くなっている。
今は、真昼間の時間帯のはずなのに、真夜中のように真っ暗だった。
そして、その暗闇は、だんだんとこちらに近づいてきているようにも見える。
「な、なんですの、あれは!?」
「分かりませんわ。ひとまず、マリア先生の所まで行きましょう。何か分かるかもしれません」
マリアは、元々聖女だった人。
あれが邪神などに関係があるのだとしたら、一番詳しいのは彼女だ。
「そうですわね。先生の部屋は向こう側でしたわね」
ある程度落ち着きを取り戻したルーフェミアは、マリアがいるであろう場所に視線を向ける。
だが、ルーフェミアたちが向かう必要はなかった。
偶然か必然か、会いに行こうとした存在が目の前に現れる。
「ルーフェミアさん。セレスティーナさん。ご無事でしたか」
「マリア先生!」
セレスティーナは呼ぶが、マリアは辺りをキョロキョロと見渡している。
「やはり、カオルちゃんたちはいませんか……」
その言葉で、マリアがカオルたちを探していた事に気づいた。
実の娘なのだから当然なのだが、自分たちを探していた訳ではなかった事実に少し気持ちが沈むのを感じる。
「……すみません。わたくしたちの不注意でカオルさんが……」
「いえ、あなたたちのせいではありません。私も、不用意に離れすぎました」
本当は、ルーフェミアやセレスティーナを責めたい気持ちはあった。
なぜ見ていてくれなかったのかと。なぜ何度も連れ去れるのを許すのかと。
でも、マリアは娘達がそのような思いをするのを黙って見ていられなかったからこそ、リヴィエルドに無理を言って死人となってまでここに来た。
(おそらく、あの一件でカオルちゃんは聖女になりつつある。そうなると、私の魂は……)
もう一度悲しみを与えたくはない。
死人であろうが、叶うのなら、娘達の成長を見守っていたいのが本音だ。でも、それが叶わないというのは、マリアが一番良く知っている。
(……って、それは今、考える事ではないわ)
考えが脱線していた事に気づき、マリアは空を見上げる。
暗闇は、もうマリア達の頭上ほどにまで届き始めていた。
「それよりも、ついに始まってしまったようですね……」
「マリアさん。あれは……なんなのですか」
「あれは瘴気と邪気が混ざったものです。あれを生み出せるのは……ロードライト。真の厄災しかいませんね」
「ならば、これはその厄災の仕業なのですか?」
「そうであり、そうではありません」
マリアの言葉に二人は顔を見合わせる。マリアの言葉の意味が分からなかったからだ。
「あの……それは、どういう意味ですの?」
「それはーー」
マリアが説明しようとした時、マリアの目が見開く。
「……それを説明する前に、あれをなんとかしないといけませんね」
マリアは、虚空に手をかざすと、一直線に光の柱を生み出した。
その柱は、暗闇を突き抜けて、穴を作る。だが、その穴はすぐに埋もれてしまった。
ルーフェミアとセレスティーナは驚愕の表情を浮かべているが、マリアは冷たい視線を向けている。
「お久しぶり……いえ、初めましての方が近いでしょうか?」
「邪気と瘴気があってもお気づきになられるとは。さすがは元聖女……と言った所ですわね」
虚空から声がする。
ルーフェミアとセレスティーナが目を凝らしても、そこにはやはり暗闇が広がっているだけ。
「あの……どちら様、ですの?」
「ああ、普通の人間のお二人はさすがに分かりませんのね。姿をお見せしますわ」
そう言うと、何か黒いものが集まり、人の形を取る。
それは、マリアと同じくらいの身長ではあるが、妖艶な雰囲気を漂わせる女性だった。
一目で人間ではないのは分かる。
その女性は地面へと降り立ち、まるで貴族の令嬢のようにカーテシーをする。
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