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第二章 赤い月と少年の秘密
19 研究のお手伝い 1
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翌日、ルイスは街を歩いていた。
あの後、家に入ったが、レカーティアは普通にルイスを出迎えてくれた。
そして、早くに帰ったため、レカーティアからのしごきがあり、あの会話は何も聞けなかった。
それに……聞いても、何もわからないような気がしたからだ。
あのしごきの後では、街の外で依頼を受ける気にもなれずに、街中でできる依頼を受けていた。
ちょうど、ルイスに指名依頼が来たから受けておけとダグラスに渡されたものだ。
今日の依頼は、部屋の掃除だ。これは、いつも定期的に受けている依頼でもあった。
(とりあえず、さっさと終わらせちゃおう!)
ルイスは、依頼人の家のドアをこんこんとノックする。
「ルイスでーす!指名依頼を受けて来ました~!」
ルイスが大きく声をかけると、中からドタドタと物音が聞こえる。
最初は何かあったのかと慌てていたが、いつもこうなので、ルイスも気にしなくなっていた。
待っていると、ルイスの目の前のドアが勢いよく開く。
開けたのは、ルイスよりも一回り大きな女の子だ。
「ルイス!待っていたのですよ!」
「お久しぶりです、レナさん」
「レナさん、じゃないのです!」
レナと呼ばれた少女がぷくりと頬を膨らませる。
ルイスは、渋々ながらも、以前に指定された呼び方をする。
「は、はい。レナ……お姉ちゃん」
ルイスがそう言うと、レナはやっと満足そうな顔をした。
「よろしいのです!師匠が待っているから入るのですよ!」
「あっ!待ってくださいよ!」
レナに腕を引っ張られ、ルイスは転倒しそうになるものの、持ち前の運動能力の高さで防ぐ。
なんとか、レナの歩幅に合わせながらついていくと、一人の男性の元に案内された。
それは、いつものようにボサボサの頭に、眼鏡をかけた不格好な姿だ。
「あっ、お師匠さま!ルイスが来るから支度するように言ったのに、何をしているのですか!」
「ごめんね~、レナ。そして、よく来てくれたね、ルイスくん」
「お久しぶりです、マルスさん」
レナに叱責されても、落ち込むでも暴れるでもなく、適当に受け流すところは、何も変わっていなかった。
(初めて会ったときは訳がわからなかったんだよなぁ)
ルイスは、二人に初めて会った日のことを思い出す。
◇◇◇
あの頃は、まだルイスが冒険者になったばかりで、冒険者等級も一番下の10級だった。
10級では、街の外に行くような依頼はあまりないので、街中での依頼を受けていた。
その中に、今回と同じ部屋の掃除依頼があった。
掃除なら、いつも家の手伝いでやっていたルイスは、それを引き受けた。
ルイスは、依頼書に書かれた地図の通りに依頼者の家まで行くと、ドアをノックする。
すると、中からドタドタと大きな物音が聞こえた。
(えっ!?なになに?)
ルイスがどうしたのかとドアに体を近づけると、ドアが勢いよく開く。
ルイスは、反応する暇もなく、ドアが体に思いきり当たり、悶絶した。
「あれー?子どもなのですか?」
少女は、ルイスを上から下までざっと見た後、そう言った。
ルイスが痛みを堪えながらも、そうですと頷くと、わかりやすくため息をついた。
「一応、案内しますけど、無理だと思ったら早く言ってください」
どうやらルイスは、見た目のせいで、ちゃんと掃除ができるとは思われていないらしい。
それでも案内してくれるだけ優しい人だなとルイスは感じた。
「最初にお師匠さまを紹介しておきます」
そう言って案内されたのが、マルスだった。
マルスの部屋に入ったルイスは驚愕した。
その部屋は、汚部屋なんて言葉では片づけられないほどにひどかった。
本が床一面に散らばり、埃まみれ。部屋の明かりはあるはずなのに、部屋全体が暗く見えたほどだ。
説明されなくても、わざわざ掃除を頼まれる理由がなんとなくわかったルイスだった。
「お師匠さま。依頼を受けてくれた子を連れてきたのです」
「ああ、レナ。ありがとう」
そんな声が聞こえると、本の山から、ゆっくりと何かが立ち上がるように動く。
それに、レナと呼ばれた少女は、かっと目を見開いた。
「お師匠さま!いつも身なりは整えるように言っているのです!人と会わないからって、怠けていい理由にはならないのですよ!」
レナは、頭についている埃を手で払いながら言う。
その最中、お師匠さまと呼ばれたそれは、ごめんと謝るばかりだった。
埃を払い、ある程度身なりを整えられると、やっと人に見えてきた。
それは、ルイスの父親よりも一回り若そうな男性だった。
「君が依頼を受けてくれた子か~」
「はい、ルイスと言います」
「丁寧にありがとね~。僕はマルスだよ。一応、研究者ということになるのかな。それで、この子が弟子として育てているレナだよ」
「よろしくなのです」
紹介されて、レナはルイスに頭を下げた。
「それで、依頼の掃除というのは、ここのことですか?」
ルイスが、念のため程度にそう聞くと、男はふるふると首をふる。
「ここじゃなくて、家全体かな~。いろんな部屋が散らかってるんだ~」
「そ、そうですか……」
ルイスは、大して驚かなかった。
むしろ、いろんなというほどに部屋があることのほうに驚いたくらいだ。
「じゃあ、この部屋に入りましたし、ここからやりますね」
「よろしくね~。僕はそこで本でも読んでるから」
マルスは、部屋の一角に置いてある椅子に向かう。
そして、座って本を読み始めた。
(自分でちょっとは片づけたらいいのに……)
そう思いながらも、依頼は依頼だということで、ルイスは掃除を始めた。
ーーーーーーーー
回想シーンの途中ですが、長くなりそうなのでここで切ります。
あの後、家に入ったが、レカーティアは普通にルイスを出迎えてくれた。
そして、早くに帰ったため、レカーティアからのしごきがあり、あの会話は何も聞けなかった。
それに……聞いても、何もわからないような気がしたからだ。
あのしごきの後では、街の外で依頼を受ける気にもなれずに、街中でできる依頼を受けていた。
ちょうど、ルイスに指名依頼が来たから受けておけとダグラスに渡されたものだ。
今日の依頼は、部屋の掃除だ。これは、いつも定期的に受けている依頼でもあった。
(とりあえず、さっさと終わらせちゃおう!)
ルイスは、依頼人の家のドアをこんこんとノックする。
「ルイスでーす!指名依頼を受けて来ました~!」
ルイスが大きく声をかけると、中からドタドタと物音が聞こえる。
最初は何かあったのかと慌てていたが、いつもこうなので、ルイスも気にしなくなっていた。
待っていると、ルイスの目の前のドアが勢いよく開く。
開けたのは、ルイスよりも一回り大きな女の子だ。
「ルイス!待っていたのですよ!」
「お久しぶりです、レナさん」
「レナさん、じゃないのです!」
レナと呼ばれた少女がぷくりと頬を膨らませる。
ルイスは、渋々ながらも、以前に指定された呼び方をする。
「は、はい。レナ……お姉ちゃん」
ルイスがそう言うと、レナはやっと満足そうな顔をした。
「よろしいのです!師匠が待っているから入るのですよ!」
「あっ!待ってくださいよ!」
レナに腕を引っ張られ、ルイスは転倒しそうになるものの、持ち前の運動能力の高さで防ぐ。
なんとか、レナの歩幅に合わせながらついていくと、一人の男性の元に案内された。
それは、いつものようにボサボサの頭に、眼鏡をかけた不格好な姿だ。
「あっ、お師匠さま!ルイスが来るから支度するように言ったのに、何をしているのですか!」
「ごめんね~、レナ。そして、よく来てくれたね、ルイスくん」
「お久しぶりです、マルスさん」
レナに叱責されても、落ち込むでも暴れるでもなく、適当に受け流すところは、何も変わっていなかった。
(初めて会ったときは訳がわからなかったんだよなぁ)
ルイスは、二人に初めて会った日のことを思い出す。
◇◇◇
あの頃は、まだルイスが冒険者になったばかりで、冒険者等級も一番下の10級だった。
10級では、街の外に行くような依頼はあまりないので、街中での依頼を受けていた。
その中に、今回と同じ部屋の掃除依頼があった。
掃除なら、いつも家の手伝いでやっていたルイスは、それを引き受けた。
ルイスは、依頼書に書かれた地図の通りに依頼者の家まで行くと、ドアをノックする。
すると、中からドタドタと大きな物音が聞こえた。
(えっ!?なになに?)
ルイスがどうしたのかとドアに体を近づけると、ドアが勢いよく開く。
ルイスは、反応する暇もなく、ドアが体に思いきり当たり、悶絶した。
「あれー?子どもなのですか?」
少女は、ルイスを上から下までざっと見た後、そう言った。
ルイスが痛みを堪えながらも、そうですと頷くと、わかりやすくため息をついた。
「一応、案内しますけど、無理だと思ったら早く言ってください」
どうやらルイスは、見た目のせいで、ちゃんと掃除ができるとは思われていないらしい。
それでも案内してくれるだけ優しい人だなとルイスは感じた。
「最初にお師匠さまを紹介しておきます」
そう言って案内されたのが、マルスだった。
マルスの部屋に入ったルイスは驚愕した。
その部屋は、汚部屋なんて言葉では片づけられないほどにひどかった。
本が床一面に散らばり、埃まみれ。部屋の明かりはあるはずなのに、部屋全体が暗く見えたほどだ。
説明されなくても、わざわざ掃除を頼まれる理由がなんとなくわかったルイスだった。
「お師匠さま。依頼を受けてくれた子を連れてきたのです」
「ああ、レナ。ありがとう」
そんな声が聞こえると、本の山から、ゆっくりと何かが立ち上がるように動く。
それに、レナと呼ばれた少女は、かっと目を見開いた。
「お師匠さま!いつも身なりは整えるように言っているのです!人と会わないからって、怠けていい理由にはならないのですよ!」
レナは、頭についている埃を手で払いながら言う。
その最中、お師匠さまと呼ばれたそれは、ごめんと謝るばかりだった。
埃を払い、ある程度身なりを整えられると、やっと人に見えてきた。
それは、ルイスの父親よりも一回り若そうな男性だった。
「君が依頼を受けてくれた子か~」
「はい、ルイスと言います」
「丁寧にありがとね~。僕はマルスだよ。一応、研究者ということになるのかな。それで、この子が弟子として育てているレナだよ」
「よろしくなのです」
紹介されて、レナはルイスに頭を下げた。
「それで、依頼の掃除というのは、ここのことですか?」
ルイスが、念のため程度にそう聞くと、男はふるふると首をふる。
「ここじゃなくて、家全体かな~。いろんな部屋が散らかってるんだ~」
「そ、そうですか……」
ルイスは、大して驚かなかった。
むしろ、いろんなというほどに部屋があることのほうに驚いたくらいだ。
「じゃあ、この部屋に入りましたし、ここからやりますね」
「よろしくね~。僕はそこで本でも読んでるから」
マルスは、部屋の一角に置いてある椅子に向かう。
そして、座って本を読み始めた。
(自分でちょっとは片づけたらいいのに……)
そう思いながらも、依頼は依頼だということで、ルイスは掃除を始めた。
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回想シーンの途中ですが、長くなりそうなのでここで切ります。
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